「スマホ依存症」と「うつ病」の関係
スマホ依存症の問題は「姿勢」にある
スマホ依存症、ネット依存症が社会問題となっています。特にスマホ依存症は、場所を選ばず、どこでも、誰の目があっても依存するという面で、深刻で根深い問題です。
依存することで大切な時間が奪われる、注意欠陥となり意思をコントロールできなくなる。また、長時間うつむき姿勢を続けることで頭痛や肩こり、首の痛みが激しくなり「ストレートネック」のような症状を覚える。……などなど、「スマホ依存症」の問題は多岐にわたります。ひどい場合は「うつ病」にも似た症状に見舞われることもあり、私たちは無視できない問題に直面していると言えます。
「表情」「発声」「姿勢」が心に及ぼす影響
私は営業コンサルタントですから、コミュニケーションの専門家です。「非言語データ」がどれほど人に影響を与えるかを知っています。言葉の使い方はとても大切ですが、言葉を受け取っている側は意外と正しく認知していないものです。(これを「選択的認知」と呼びます)
先入観というフィルターがあるため、正しく「言語データ」を受け取ることができません。「伝え方」をどんなに工夫しても限界があるのはこのせいです。反対に、言葉で表現されない「表情」「発声」「姿勢」などの「非言語データ」は人に強い影響を及ぼします。背筋を伸ばして笑顔で快活に話すと、内容はどうあれ、その「態度」に相手は感化されます。このように「非言語データ」は人の知覚に対する効果が高いのです。そしてこの非言語データは他人のみならず、自分自身にも大きな心理的インパクトを与えることを覚えておきましょう。
特に「姿勢」は顕著です。
「心の状態が姿勢を作ることもあれば、姿勢が心を作ることもある」と言われます。
身体心理学による研究
「身体心理学」の分野では、「顔」と「背筋」の組み合わせで6種類の姿勢をセッティングし、それぞれ人がどのような心理状態を作るのかを実験しています。
● 顔の状態 …… 「上向き」「真正面」「下向き」
● 背筋の状態 …… 「伸ばしている」「曲がっている」
これらの6パターンで実験したところ、環境がまったく同じであっても、顔が「下向き」かつ背筋が「曲がっている」姿勢が、最も気分をネガティブにし、知的活動も低下させると判明しました。 (※春木豊著「動きが心をつくる」より)
うつ気分が慢性化し、意欲が減退しているから、姿勢が悪くなる。つまり、うつむき加減になり、背中も丸まってくる、ということもあります。しかし、その逆もある、ということです。
「姿勢」が心を作ってしまう、ということです。したがって、背中を丸めてスマホの画面を長時間眺めているだけで、精神状態が後ろ向きになる可能性があるということです。
しかも「脳のミラーニューロン」の特性からして、人間は周囲の人の言動を無意識のうちに真似てしまいます。スマホを眺めている人が大勢集まる満員電車の中では、ネガティブな「空気」が蔓延し、そこにいるだけで気分がふさぎ込んでしまうかもしれません。
スマホ依存症の人は「枯れたヒマワリ」
人間の頭部は、体重の約10%です。とても重いものを首や肩で支えています。スマホばかりを眺めていると、ちょうど「枯れたヒマワリ」のような姿になっていきます。
もしもあなたがスマホに依存しかけていたら、こうイメージしてみてください。背中を丸めながらスマホを眺めている人は「枯れたヒマワリ」だと。電車の中には「枯れたヒマワリ」ばかりがいると想像してみましょう。きっとそのようにはなりたくない、その仲間にはされたくない、と思えてくるでしょう。私はいつでも胸を張り、太陽に向かって咲くヒマワリのように前を向いていたい、と考えるのが普通です。もしそうなら、「姿勢」もそのようにすべきです。姿勢が心の状態をつくってしまうからです。
スマホは便利な情報端末ですが、心も枯れないよう、ほどほどにしたほうが良さそうですね。どうしてもスマホを長時間見ていたいなら、せめて背筋は伸ばしたほうがよいでしょう。