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WBA&IBFスーパーウエルター級チャンピオン、ジュリアン・ウィリアムズの防衛戦が迫る

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
「ロッキーの階段」で有名なフィラデルフィア美術館(写真:ロイター/アフロ)

 ペンシルバニア州フィラデルフィア。頭角を現してからの故ジョー・フレージャーが住み、ティム・ウィザスプーン、メルドリック・テイラー、バーナード・ホプキンスらが誕生した地だ。映画『ロッキー』の舞台でもある。

Photo:Darryl Cobb/TGB Promotions
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 現WBA&IBFスーパーウエルター級チャンピオンのジュリアン・ウィリアムズ(29)も、その街で生まれ育った。来る18日にドミニカ人のチャレンジャー、ジェイソン・ロサリオとの一戦を迎える。

 先日、練習が公開された。

Photo:Darryl Cobb/TGB Promotions
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 ウィリアムズは地元で調整を重ねながら話した。

 「今、社会から自分を遮断しているんだ。とりわけ、今回はオームタウンでのファイトだろう。ファンは様々な方法で俺に近付いてくる。チケットを購入したり、バカな質問を浴びせて来たり…気が狂いそうになるんだ。だから、世間から距離を置いているのさ」

 サバサバとした口調ながら、このチャンピオンは人を食う発言を繰り返す。

Photo:Darryl Cobb/TGB Promotions
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 「勝つための行為だから、楽しい作業じゃないぜ。自分を磨くんだからさ。挑戦者のロサリオはチャンプになるっていう夢を描いている筈。ロサリオはきちんとした選手だけど、奴にとって難しいファイトになるよ。俺にとっては、それほどハードな試合にはならないだろう」

Photo:Darryl Cobb/TGB Promotions
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 「ロサリオは勝つことに対して非常に粘り強く、意欲を持って戦ってくるだろうよ。だからさ、過小評価しないでやってくれ」

Photo:Darryl Cobb/TGB Promotions
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 「俺が育ったこのフィリーって土地を堪能してくれ。この場所で俺は飢えていた。人生を切り拓こうと汗を流してきた。十二分なモチベーションを感じてプロボクサーになったんだ。とにかく、何者かになりたかった。

 今、チャンピオンになった俺について色々と下らないことを言ってくる奴がいる。酷評される事もある。気になることもあったが、もうそういう声について考えるのを止めたよ。俺は自分の拳で己の仕事をやるだけだ。自分のゴールはパウンド・フォー・パウンドのベストと呼ばれること。だから、スーパーウエルター級最強くらいじゃ納得できない。そして、何億も稼いで、歴史を築いてみせる」

 フィリーには我がブラザー、ティム・ウィザスプーン家の住居もある。当地でジュリアン・ウィリアムズは、存在感を示せるか?

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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