緊急地震速報が間に合わない「首都直下地震」過去には南海トラフ地震と連動した可能性も
南海トラフ地震に関するニュースが増えてきておりますが、本記事では同時に注意すべきである「首都直下地震」の詳細、そして南海トラフ地震と首都直下地震が連動する可能性について紹介していきます。
■数十年おきに発生している「首都直下地震」
相模トラフとは、関東地方を起点として南東方向に延びている大陸プレートの境目を指します。数百年間隔でマグニチュード8クラスの巨大地震が発生しており、直近では1923年に皆さんも良く知る「関東大震災」が発生しました。この地震では最大でM8.3を記録しました。そして、それより前の1703年には、日本最大級の地震とされる「宝永地震」が発生しており、最大震度7(M8.9)の振動であったと言われています。この宝永地震を引き金とし、富士山が歴史上最後に噴火をした「宝永大噴火」も発生しています。これらの地震は「相模トラフ巨大地震」と呼ばれています。
そして、関東南部地方を震源として、相模トラフ地震よりひとまわり規模の小さいM7程度の地震が、数十年に一度発生しています。例えば、1855年の安政江戸地震(M6.9)や、1894年の明治東京地震(M7.0)などで、これらは「首都直下地震」と呼ばれています。この地震は震源が海底ではなく内陸であることが特徴です。南海トラフなどの海溝型地震の場合、震源が陸地から遠いことが多く、エネルギーが減衰しますが、津波などの被害が発生しやすいと言われています。一方で、内陸型地震の場合、震源が近いことから揺れが大きいことが多く、緊急地震速報が皆さんの携帯電話に届く前に本震が始まってしまうと考えられています。直近での大きな地震は、1987年に千葉県東方沖でM6.7の地震が発生しており、それから37年の間はエネルギーを蓄積しているのです。
■南海トラフ地震と首都直下地震は連動する?
南海トラフとは、静岡県を起点として西日本側に伸びている大陸プレートの境目を指します。南海トラフでは、100から150年程度の周期で巨大地震が発生しており、1854年には南海トラフ沿いで「安政東海地震」(M8.4)が記録されています。そしてその1年後の1855年には、首都直下地震である「安政江戸地震」(M6.9)が立て続けに発生しているのです。直接的な因果関係は証明されている訳ではありませんが、南海トラフと首都直下地震が連動した例として挙げられています。
そして、2024年8月8日には宮崎県沖で震度6弱の地震が発生し、気象庁は史上初となる「南海トラフ地震臨時情報」を発表しました。さらに、翌日の8月9日には、神奈川県西部で震度5弱の地震が発生しており、その震源は1923年の関東大震災とほぼ同じであると考えられています。必ずしも地震が連動する訳ではありませんが、巨大地震の連動には注意が必要であると言えるでしょう。
現代で首都直下地震が発生したと想定すると、死者は2.3万人でその7割は火災による被害となると推定されています。被害総額は95兆円に達すると言われています。今後30年で70%の確率で発生すると言われている首都直下地震、災害に備えた備蓄や避難ルートの確認が大切になるかもしれません。
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