南海トラフ地震の発生が懸念されている昨今ですが、実は地震に起因した他の災害が起こる可能性も少なくなりません。本記事では、1707年に発生した南海トラフ地震である「宝永大地震」と「富士山噴火」の歴史をご紹介します。

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■過去の富士山噴火も南海トラフ地震が引き金だった

富士山は標高3776ｍ、東京スカイツリー6本分で日本で最も高い山です。登山にも人気が高く、日本国民から親しまれている富士山ですが、実は活火山であることをご存知でしょうか？

富士山が歴史上最後に噴火をしたのは、1707年の「宝永大噴火」です。この噴火の約50日前には、日本最大級の地震とされる「宝永地震」が発生しており、最大震度7（マグニチュード8.9）の振動が引き金となって噴火へ至ったと考えられています。

そしてこの宝永地震、実は南海トラフのほぼ全域にわたってプレート間の断層破壊が起きていたと考えられているのです。関東から九州にかけての広範囲で、非常に強い揺れが記録されました。南海トラフとは、静岡県を起点として西日本側に伸びている大陸プレートの境目を指します。100~150年おきに蓄積したプレート間のひずみが解放され、大地震が周期的に発生しています。

この噴火により、静岡県の近くの村は火山灰で埋没するほどの被害が出ています。そして、火山灰は今の東京である江戸を超え、100km以上離れた千葉県の房総半島にまで大量に降り注いだと言われています。宝永噴火の影響により、死者は2万人を超えたと記録されています。

それでは、次の噴火はいつになるのでしょうか。史実によると、富士山は1100年までは頻繁に噴火を繰り返していましたが、それ以降は宝永大噴火を含めた3回のみです。つまり、300年かけて噴火のパワーを溜め込んでいるということになります。

■現代で富士山が噴火したら一体何が起こる？

8月8日、宮崎県沖で発生した震度6弱の地震を受け、気象庁は史上初となる「南海トラフ地震臨時情報」を発表しました。1週間以内にマグニチュード8クラスの南海トラフ地震が発生する確率が0.5%に増加したと言われています。そして、10メートルを超える津波が到達する可能性も示唆されています。それでは、もし南海トラフ地震を引き金として、現代で富士山が噴火したとしたら、どれほどの壊滅的な被害になるのでしょうか。

まず、火口から噴出したマグマは、最大で小田原や相模原まで流れる可能性が示唆されています。また、直径50cmを超える噴石が、秒速200メートルの速度で飛来することが予想されます。更に、噴き上げられた火山灰は風に流され関東全域に広がります。噴火から1時間で東京に火山灰が到達し、最大で10ｃｍ以上降り積もると言われています。その重みで倒壊する家や、電車・車での移動は困難になるでしょう。

実際に過去には、アイスランドの火山噴火により火山灰が上空に滞留したため、ヨーロッパ全体の飛行機が停止する出来事が起きています。そして、停電をはじめ、通信障害により一切の情報が入手できなくなることが考えられます。また、水質の悪化により水道の水は飲めなくなり、食料・日用品の物資供給も期待できません。

首都圏の機能が正常に戻り、復興を果たすには何年も必要になることでしょう。その被害総額は2兆5千億円にのぼると言われています。私たちの見慣れた富士山が噴火するのはにわかには信じがたいですが、必ず起こりうる災害と言われています。皆さんも、いざという時のために富士山の噴火に対して避難経路や手順の確認をお勧めします。

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