オートバイのあれこれ『チャンプ・オン・ザ・ロード!』
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今日は『チャンプ・オン・ザ・ロード!』をテーマにお話ししようと思います。
1979年(昭和54年)にデビューし、瞬く間に大ヒットモデルとなった『Z400FX』。
その後継モデルとして生まれてきたのが『Z400GP』でした。
FXに対し“後出しジャンケン”で登場してきた高性能なライバルたち(『XJ400』『GSX400F』『CBX400F』)を打ち負かすため、カワサキはFXに大幅なアップデートを行いGPを世に放ちました。
エンジンはFXのものをベースに、圧縮比の向上、カムシャフト形状の刷新、キャブレターの大径化などを実施。
主にピークパワー増強のためのメニューが施され、GPのエンジンは最大のライバルだったCBXと並ぶ48psを獲得しました。
また、フレームについては新たに拵えた新設計品となっていました。
スチール製のダブルクレードルタイプなのはFXと変わらないものの、パイプの太さや断面の肉厚が綿密に吟味され、FXのフレームからするとかなり軽く仕上げられていました。
Z400FXは海外仕様の『Z500』と共通のフレームで、これがFXの重量がかさんだ原因だったわけですが、カワサキはGPの開発では海外向けの『Z550GP』とフレームを分けることにし、400GPのフレームは400ccに最適化させたことで、フレームを軽くできたのです。
また、リヤサスペンションに『ユニトラックサス』が投入されていたこともGPのディティールとしては見逃せません。
FXでは旧来的な2本ショックでしたが、ホンダがCBXへ1本タイプ(モノショック)の『プロリンク』サスペンションを採用していたことに対抗し、カワサキもモノショックの『ユニトラックサス』を取り入れました。
路面追従性に優れ、さらに車体の中心部に設置しマスの集中を図れるモノショックユニットは、当時「新世代」を語るには欠かせない装備になっていたといえるでしょう。
FXから目覚ましい進歩を遂げていたGPは、デビューイヤーの82年に開催された鈴鹿4時間耐久レースに参戦すると、さっそく優勝。
最高の形でその性能の高さを世間へアピールすることができました。
GPはCBXをも凌駕する実力を秘めていたものの、当時はメーカー同士の開発競争が熾烈な時代。
カワサキもGPの性能にあぐらをかいてはおれず、早くも次なる新型車『GPz400』の開発に着手しており、GPはこのGPzへバトンをつなぐ形でわずか1年で現役を退くこととなってしまいました。
颯爽と現れ、鈴鹿で圧倒的な速さを見せつけ、その速さのまますぐに消えていったZ400GP。
Z400GPは、まさに彗星のような存在だったといえるでしょう。