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藤井聡太王座に挑戦するのは羽生善治九段か? 永瀬拓矢九段か? 7月22日、王座戦挑戦者決定戦

松本博文将棋ライター

 7月22日。東京・将棋会館において第72期王座戦挑戦者決定戦・羽生善治九段(53歳)-永瀬拓矢九段(31歳)戦がおこなわれます。棋譜は公式ページをご覧ください。

 勝者は藤井聡太王座(22歳)への挑戦権を獲得します。

名誉王座 VS.前王座

 将棋界で数々の栄冠を手にしてきた羽生九段。中でも王座戦では19連覇、通算24期という、タイトル戦史上最高の記録を達成しています。

 また羽生九段は中原誠16世名人とともに史上2人しかいない「名誉王座」資格保持者です。

 もし羽生九段が挑戦権を獲得すると、藤井王座(七冠)とは2回目のタイトル戦。羽生九段にとってはタイトル100期目を目指す戦いとなります。

 一方の永瀬九段は王座4連覇を達成。昨年2023年、藤井聡太挑戦者(現王座)との五番勝負も記憶に新しいところです。

 もし永瀬九段が藤井王座に挑戦すれば、前期のリターンマッチとなります。

充実の両者

 羽生九段は今期、佐藤康光九段、糸谷哲郎八段、広瀬章人九段に勝って挑決に進んできました。

 一方の永瀬九段は郷田真隆九段、菅井竜也八段、鈴木大介九段に勝っています。

 今期は鈴木大介九段(50歳)のベスト4進出も話題となりました。鈴木九段は現在、麻雀のプロとしても多忙で「二刀流」の日々を送っています。

 7月7日、ABEMAでの王位戦第1局の解説中、鈴木大介九段は準決勝の永瀬九段戦を次のように語っていました。

鈴木「私の引退試合でしたね(笑)」「7月入ってからとにかく、自分の時間のすべてを将棋のことに費やして、この対局に全てをかけたつもりで」「久々にAIもいっぱい回して挑んだんですが、序盤早々外され。当たり前ですけど(永瀬九段の)素晴らしい序盤研究でリードされ。がんばったんですけど、実力及ぼすということで。たぶんこんだけ大きい舞台で指すこと、私もう一生ないでしょうから、いい思い出になりました(笑)」「勝てば羽生さんと挑決でやるんだと。そうなったらいいなと思って指しましたが、相手が強すぎましたね。あとで帰ってから調べましたけど、ほとんどノーミスで。終盤、一瞬チャンスがあったんですけど。まあ、私の力では発見できる順じゃなかったんで。仕方ないかな。疲れ果てました(笑)。将棋って、一生懸命やるとこんなに疲れるんだと思いました」

 羽生九段の今年度成績は8勝1敗です。

 永瀬九段の今年度成績は4勝3敗です。

 羽生九段と永瀬九段の過去の対戦成績は羽生8勝、永瀬15勝。永瀬九段が勝ち越していますが、直近では羽生九段が2連勝中です。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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