Yahoo!ニュース

「ドイツ撃破の日本に続け!」ウルグアイに挑む韓国の勝算は?エースのソン・フンミンは先発出場か

金明昱スポーツライター
フェイスガードをして練習するソン・フンミン。ウルグアイ戦で先発出場はあるか(写真:ロイター/アフロ)

 連日の番狂わせに寝不足の人も多いのではないだろうか。カタール・ワールドカップ(W杯)のグループリーグ初戦でサウジアラビアがメッシ率いるアルゼンチンに2-1で逆転勝利したかと思えば、優勝候補と言われたドイツに日本が2-1で逆転の大金星。

 開催国のカタール(0-2、対エクアドル)が敗れ、イラン(2-6、対イングランド)とアジアの国が大敗したあとだっただけに、サウジアラビアと日本の勝利はスカッとするものがあった。

 ここに続きたいのが、今日22時(日本時間)から初戦のウルグアイ戦に挑む韓国代表だ。下馬評ではもちろんウルグアイが優利と言われている。その顔ぶれも豪華で、FWスアレス(ナシオナル)、FWカバーニ(バレンシア)、FWヌニェス(リヴァプール)のほか、MFバルベルデ(レアル・マドリー)、MFベンタンクール(トッテナム)、DFヒメネス(アトレティコ・マドリー)とビッグクラブでプレーするタレントが揃う。また、現在のウルグアイ最強のDFと評される23歳のアラウホ(バルセロナ)もいるが、ケガの復帰を待っている状態で、韓国戦には出場しないと見られている。

 そんな中、サウジや日本のように、韓国にもジャイアントキリングを期待してしまうのも無理もない。

 では、韓国のチーム事情はどうなのか。攻撃陣は歴代韓国代表のなかでも、屈指のタレントが揃っている。昨季プレミアリーグ得点王のソン・フンミン(トッテナム)を筆頭に、ファン・ウィジョ(オリンピアコス)、ファン・ヒチャン(ウルヴァーハンプトン)のほか、中盤にはブンデスリーガでプレーするイ・ジェソン(マインツ)、チョン・ウヨン(フライブルク)、そして久保建英と同僚だった21歳のイ・ガンイン(マジョルカ)の活躍も期待されている。

フェイスガードでソン・フンミン出場か

 ソンとファンのスピードに乗ったタテの突破力は、相手の脅威となるのは間違いない。ただ、不安要素がある。それはソン・フンミンの顔面骨折の回復状態だ。すべての選手がベストコンディションとはいかないのが、W杯の難しいところ。

 カタールW杯開幕3週間前の11月1日、欧州チャンピオンズリーグ(CL)グループステージのマルセイユ戦で、相手選手の肩が左目に接触して、顔面を骨折。その後、すぐに受けた手術は成功したものの、カタール入りしたあとはフェイスガードを着用して、練習に参加していた。もちろん本人は笑顔を見せるなど存在感をアピール。

 昨日23日の前日会見で韓国代表のパウロ・ベント監督は「ソンフンミンは出場が可能だ。最終的な判断はゆっくりと決めたい」と話していただけに、先発出場の可能性は高い。

 チームの主将でもあり、緩急をつけたドリブル突破、最終ラインからの抜け出しとクロスに合わせる絶妙のポジショニング、両足の決定力も一級品。ピッチにいるだけで相手の脅威となるだけに、彼が抜きの初戦は考えられない。

「ビルドアップ」を徹底してきた韓国

 最終ラインの要は身長190センチで“怪物”の異名をとるキム・ミンジェ(ナポリ)の存在感は大きい。Jリーグからの選出はクォン・ギョンウォン(ガンバ大阪)が唯一。その他の守備陣は日本でプレー経験もあるキム・ヨングォン(蔚山現代)やキム・ジンス(全北現代)といったメンバーで、GKはヴィッセル神戸と柏レイソルでプレーしたキム・スンギュ(アル・シャバブ)だ。

 意外にも日本に馴染みのある選手が多く、見る側にとっては楽しみな面もあるが、守備ラインの安定感とボランチの連係にミスが出ると一気に崩れてしまう可能性もある。

 というのも、2018年に韓国代表監督に就任したポルトガル人のパウロ・ベント監督は、4年もの歳月をかけ、後方からパスをつなぐ「ビルドアップ」サッカーを徹底。韓国サッカーのイメージは球際やフィジカルの強さがよく取沙汰されるが、ボールポゼッションを高めて「つなぐ」サッカーを追求してきた。

 そこで重要になるのが、GKや最終ラインとボランチ。特に攻守のつなぎ役となるファン・インボム(オリンピアコス)やチョン・ウヨン(アルサッド)などのパフォーマンスはチームの出来に大きく関わってくる。9月に行われたW杯出場国とのテストマッチではコスタリカに2-2、カメルーンに1-0で勝利し、敗れはしなかったものの、パスミスをつかれての失点が課題と言われているだけに、前線からのハイプレスには警戒したいところ。

 特にウルグアイはハイプレスで高い位置からの守備でインターセプトを狙い、素早い攻撃に転じてくる。

 いずれにしても難しい試合になるのは必至。パスミスを減らしてボールポゼッションを高め、時にはタテへのスピードで抜けていくソン・フンミンのドリブル突破から勝機をつかみたい。日本に続いて、韓国も強豪・ウルグアイ撃破となるのか注目だ。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

金明昱の最近の記事