「理解者がいたから救われた」男性更年期障害の体験談
更年期は女性だけのものではありません。男性にも更年期があります。一般的には、男性は女性と比べると性ホルモン(テストステロン)は緩やかに低下していく傾向がありますが、ストレスや生活習慣の乱れから低下が加速すると、更年期症状が現れてきます。
男性ホルモンの減少というと性欲減退やEDと結びつけられがちですが、「うつ病だと思っていたら男性更年期だった」というように、男性ホルモンは精神面にも大きな影響を与えます。男性の更年期はあまり知られていないため、誰にも相談できないケースもあります。本人も周囲も、更年期について正しく知っておくことが大切です。そこで、今回は、男性更年期のリアルな体験談をご紹介します。
無気力で何もできなくなった…Kさん(当時46歳)男性更年期体験談
—— 更年期と思われる症状はいつ頃出ましたか?
45歳の9月頃、ひどく疲れやすくなりました。時期が時期でしたので夏バテかなと思っていたんです。だんだんだるさがひどくなっていき、だるさだけでなく、気力がなくなり、何もしたくなくなってしまったんです。これはおかしいと自分でも思いました。と同時に無気力で何もできない自分に嫌気がさしてきました。
ちょうどそのころ、自分たちが初めて主催する芝居の公演を行う予定で、やる気満々だったんです。それなのに、いざ動こうと思うと全然動けなくて、それが自分で許せなかった。自分で自分に「お前は何やっているんだ」と思うのに動けないんです。
うつ病だったらこわいな…という思いと、でもうつではない気がする…という思いから、内科と精神科に行きました。誰かに確証をもらいたかったんです。そこで、内科の先生に無気力、ホットフラッシュや軽いED(勃起障害)など当時の症状を話すと「更年期ではないか」と言われました。更年期という言葉は知っていたし、男性にもあるらしいということは知っていたけれど、まさか自分がなるするとは思いませんでした。
更年期と聞いて、自分はとても楽になりました。自分は無気力でダメな人ではなかった。うつ病ではなかったんだということがわかって気持ちが救われました。
—— 自分なりの対策方法がありますか?
芝居の練習もままならず、「俺、実はこういう状態なんだよ。」と相方にいいました。そしたら「ちぇぶら*」を紹介してくれたんです。対策は、ちぇぶらの講座で教えていただいたエクササイズです。イライラした時やホットフラッシュが来る時は、自律神経を整える呼吸をしたりしています。
自分は、とにかくだるくて思い通りに動けないことが、自分でもとても嫌だったんです。でも今は、あえて自分を甘やかすようにしています。周りから見たら“だらしない”って思われるかもしれないけれど、甘やかさざるを得ない状態なので、それによって自分は体調を維持しているんだと思うようになりました。
それと、表現を仕事にしているので、SNSでみんなが活躍しているのを見ると凹んでしまうんです。だから今はSNSをシャットダウンしています。知り合いが頑張っている姿は、健康な状態だといい刺激になるのだけれど、体調が悪いと嫉妬してしまいます。努力できる状態にあることが羨ましくなる。そんな嫉妬をしている自分にまた落ち込む。だから、見ないようにしています。
—— 周りにかけてもらって嬉しかった言葉、辛かった言葉は?
年末に、芝居の活動をどうしようかという話を相方にしました。「実は俺は、更年期なんだよ。この状態では一緒に作品が出せないし、いつまで続くかわからない」と。「じゃあ解散しようか」と言われると思ったら、「じゃあ時を待とうか」って言ってくれたんです。それが嬉しかった。居場所を失わなかったこと、理解されたこと、待っててあげると言われたことが一番嬉しかった。
—— 今、男性更年期障害に悩んでいる方に一言お願いします。
我慢する勇気よりもカミングアウトする勇気を持つこと。男って、やせ我慢するし、見栄っ張りだし、だるくてできないってかっこ悪い感じがして受け入れ難い。特に我々の世代は、幼少期から男ならできるだろう、男だから頑張れって言われて育ってきているので。
でも、自分の状況説明として周りにカミングアウトした方が絶対いい。更年期の不調って周りからは見えない。仕事はなんとか続けていますが、それを言うと「なんだ大丈夫じゃん」と言われる。仕事はは意地でやってるんです。自分の場合は、うつうつとしていた状態から話せるようになったのは、理解者がいたからだと思います。(KO-NENKIの教科書より)
貴重な体験談のシェアを本当にありがとうございます。
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