ベトナムで人事を制する者はビジネスを制する 〜Vitnam HRM News〜
ベトナム経済はインフレ改善の兆しが見えますが、内需が低迷中でいわゆる不況期がつづいています。しかし、一方で、政府による最低賃金の引き上げもあり、人件費はインフレの影響と相まって上昇し続けています。ベトナムでは特に、中間管理職以上のマネージャー層の人材が不足しており、これらの人材の獲得と定着化、及び、内部育成が大きなテーマとなっています。
これまでの「低賃金な労働力がいる国」というメリットではなく、これから成長するであろうベトナム内需を狙って、将来を担う優秀人材を育成し、定着させた会社が中長期的な勝利をおさめるという構図になってきています。
まさに、「ベトナムで人事を制するものはビジネスを制する」という時代になってきているのです。
そこで、ベトナム・ホーチミンに、有限責任会社JIN-G(http://jin-g.com)にて運営をして、組織人事コンサルティングや人材育成、労務相談などをおこなっている私が、この状況に対して、いかに日系企業は対応していくべきかを、最新事例や情報を交えながら、報告していきたいと思っています。
こちらの写真にあるように、いまベトナム・ホーチミンでは「人事の大学」という活動(無料)をしており、日本人・ベトナム人、その他国籍を問わず様々なビジネスパーソンが、人事・人材開発や経営について語る場をつくっているので、その中でのトピックも随時提供していきたいと思います。
初回の記事である今回は、ベトナムという国の基本的な情報をお伝えしようと思います。ビジネスの基本、人事の基本は、まずは相手を知ることですから、このあたりの情報をしっかりと知っておくことは重要です。
ベトナムの正式な国の名称はご存知でしょうか?
それは、The Socialist Republic of Viet Nam (ベトナム社会主義共和国)です。
そう、ベトナムは社会主義国です。社会主義国、そして、共産党一党支配であるがゆえに起こっている現象や法律ルールなどについては、よく知っておく必要があります。
面積は、329,241平方キロメートルです。日本が377,900平方キロメートルですから、ちょうど九州の面積分を除くと、ベトナムとほぼ同じ面積ということでイメージしやすいでしょうか。
そして、人口は2012年の統計では約8970万人。首都ハノイには約645万人。南部の商業都市ホーチミンには約716万人。中部ダナンには約89万人が住んでいます。
ベトナムの在留邦人は平成24年外務省『海外在留邦人数統計』によると9313人と言われていますが、統計にのらない数値を加えればこの数倍の日本人がベトナム国土に常に存在していると思います。
民族としては、キン族(越人)が約90%で、53の少数民族が存在しています。
宗教としては、80%が仏教であり、その他にカトリックや新興宗教のカオダイといった宗教、その他いろいろです。
歴史的に観ると、アジア各国では「上座部仏教」として戒律の厳しい仏教が多い中、ベトナムは日本と同じく、おおらかな考え方をもつ「大乗仏教」が浸透した国です。参拝に習慣として通うものなどは少なく、日本と同じく、合格祈願など何かあるときだけ寺院を訪れるなどといった雰囲気を感じます。
ベトナムに祝日は少なく、旧暦の正月の時期にテトとよばれる元旦があり、その前後が長期休暇となります。1月1日の新しい元旦と旧暦3月10日のフンヴーン王の命日(ベトナムの始祖とされる初代国王)、4月30日の南部解放記念日(ベトナム戦争の終結)、5月1日のメーデー、9月2日の建国記念日など、祝日は少ないながらも存在します。
さて、
このようなベトナムの基本情報を知った上で、いよいよベトナム人事・人材開発事情を中心に、ベトナムの経済と経営について、最新状態でこれからレポートしていきたいと思っています。様々な最新事例も交えながら、日本にいたら伝わってこない情報を整理して、アップデートしながら報告していきたいと思います。今後のレポートに期待ください。
(つづく)