目標設定は、心で感じ、頭で整理し、腹で決める
12月になりました。
1年間の締めくくりとして、振り返りをして、来年の目標を設定する人もいると思います。
今回は、目標設定をテーマにお話をしていきたいと思います。
私は、企業人事のコンサルタントとして、そして経営者として、目標管理の仕組みづくりをしてきました。
しかし、この目標管理というのは、うまく運用するのが本当に難しい取り組みです。
経営者としての私も試行錯誤を続けてきました。
目標設定をすることによって、社員のモチベーションがあがったかと思ったら、期の途中から高すぎる目標に苦しめられて、チーム全体のモチベーションがどんどん下がっていくという経験もしました。
うまくいかないときは、もう目標設定なんてしなくてもいいのではないかと思い、目標管理の仕組みを手放したこともあります。
しかし、稲盛和夫さんの勉強会に参加した際に、「目標というのは本当に難しい、でも目標設定について悩んでいるという時点で、経営の仕事を真剣にやっているということです」という話を聞き、目標を一人ひとりがたてるという行為は、経営において、とても大切なものなのだと再認識させられました。
以降、どういう目標が、経営において、一人ひとりのキャリアデザインにおいて、大切なのだろうと、考えることを続けてきました。
そこで、見つけたのが「目標設定は、心で感じ、頭で整理し、腹で決める」というものでした。
最初に「心で感じる」という部分が大切です。これは内発的動機を感じとるということでもあり、自分自身のミッションを発見するということでもあります。この部分がない目標設定は、やらされる目標設定(=ノルマ目標)であったり、外側にある世界に対応した受動的な目標設定(=外発的目標)になってしまいます。
「心で感じる」というのは、社会人たるものこれぐらいはやるべきだとか、やらないと上司に嫌われるといった、「べき」「ねば」を見つけることではありません。「べき」「ねば」は、思考の動きであり、頭で考えていることです。
「頭で考える」のではなく「心で感じる」というのは、これをやっていると時間を忘れて取り組んでしまうとか、過去に体験した苦しい体験が報われるとか、何か心にエネルギーを感じるものをみつけだすということです。
このエネルギーは、その人の心の源泉であり、その人らしさでもあります。ここを見つけることが、目標設定の一番最初にあるのです。
しかし、「心で感じる」ものというのは、言語化がしにくいものであったり、論理的に説明しづらいものであることがほとんどです。「なんか、こんな感じ」「この感じ、いつも感じるけれども、なんだろう」といった感じで、身体が反応したり、感情があらわれたりする領域なのです。
そこで、次に活用するのが「頭」です。頭を使い思考で整理するのです。
目標設定の際は、頭で先に考えるのではなく、先に心で感じるのです。言い換えれば、思考で外側に答えを探しにいったり、論理で答えをつくるのではなく、まず最初に心で感じることを素直に感じ取り、その感覚と感性にとどまり、十分に味わってから、その感覚を頭で整理するのです。
目標設定は、「心」が先です。「感性」が先です。
そして、感性が動くところを、頭で整理して言語化します。
ここがあることで、はじめて、「腹」に落ちる目標が見つかるのです。
「腹」は意志です。私は必ずやるという意志です。
意志が本当に力強く発揮されるのは、「心」が動いているときなのです。
「心で感じ、頭で整理し、腹で決める」
感性で味わうことができるゴールを、思考で整理して言語化し、意志をもって腹落ちさせるのです。
日本語には、次のような表現があります。
「心が躍る」「心が痛む」「心地よい」
「頭でっかち」「頭を冷やす」「頭に血がのぼる」
「腹を決める」「腹落ちする」「腹を括る」
「頭」だけで決める目標をやめて、「心」が先の目標設定を、来年の目標設定の際にはチャレンジしてみませんか?