リハビリテーションってどういう意味?【10月理学療法士を知ろう】
田舎の民間病院で理学療法士として勤務しているぴぴです。
みなさまにひとつでもためになるような知識や情報をお届けしていきたいと思います。
今月のテーマずばり「理学療法士を知ろう」です。
理学療法士ということばは聞いたことあるけど、一体何をしている仕事なの?どんなところで働いているの?そもそもリハビリってどういう意味?など、理学療法士に関する疑問を解決していきます。
リハビリテーションってどういう意味
リハビリテーション(Rehabilitation)とは
リハビリテーションということばは
re(再び・戻す)+habilis(適した・ふさわしい)
という言葉から成り立っています。
つまり「再び人としてふさわしい状態にすること」という意味になります。
ちょっとこれだけでは難しいですよね。
どのような使われ方をしてきたか
日本では医学用語として扱われていることの多い「リハビリテーション」ということばですが、もともとは医学用語ではありませんでした。
中世ヨーロッパでの「リハビリテーション」の意味
中世ヨーロッパでは「身分・地位の回復」「破門の取り消し」の意味で使われています。
王に与えられた身分が、なんらかの理由で剥奪されても、また元の身分に復帰することをリハビリテーションと呼んだのです。
近代での「リハビリテーション」の意味
近代に入ると「名誉回復」「権利の回復(復権)」「無実の罪の取り消し」などの意味が加わります。
もっとも有名な話はジャンヌ・ダルクのリハビリテーション裁判です。
ジャンヌ・ダルクは、当時の裁判で魔女(異端者)と決めつけられて火あぶりの刑を受けました。
しかし、亡くなってから数年後の再審にて、その罪が取り消され、名誉を回復しました。
このような名誉回復のための裁判を「リハビリテーション裁判」と呼びます。
現代の「リハビリテーション」の意味
現代に入ると、罪を犯した「犯罪者の社会復帰」、いったん失脚した政治家の「政界復帰」などの意味も加わっています。
さらに、人間以外についても使われることがあり、災害後の「復興」、また「都市の再開発」といったことを表現する際にも用いられるようになっています。
障害児教育や特別支援教育など、障害を持って生まれたお子さんの「できる」部分を認め、社会生活で必要なことを伝えていくことを教育的リハビリテーションと呼んでいます。
休職していた方の仕事復帰プログラムをリハビリ出勤と呼ぶこともありますね。
全人間的復権
理学療法士の養成校では、リハビリテーションの概念を学ぶ際に「全人間的復権」ということばを学ぶ学校が多いです。
リハビリテーションということばの意味は「病気を治す」「怪我を治す」という根本的な機能回復だけではありません。
障害を持った方が「あなたらしく過ごしていたころの状態を取り戻す」という意味が込められています。
人間らしく生きる権利を回復することを「全人間的復権」と捉えているのです。
まとめ
10月のテーマ「理学療法士を知ろう」にちなんで、わたしたち理学療法士が行っている「リハビリテーション」の意味や語源について解説してきました。
リハビリテーションという言葉、思っていたよりも奥が深かったのではないでしょうか。
次回は理学療法士の働く場所について解説していきます。
少しでも理学療法士やリハビリテーションに興味を持っていただけたらうれしいです。