Yahoo!ニュース

レアルの「1049億円」の価値は維持されるのか?適応に苦しむアザールと、移籍を決断したヨヴィッチ。

森田泰史スポーツライター
マドリーでプレーするアザール(写真:ロイター/アフロ)

レアル・マドリーが、苦戦している。

マドリーはスペイン・スーパーカップ準決勝でアスレティック・ビルバオに敗れ、タイトルを逃した。配線の度に危機が叫ばれるのはビッグクラブの常だが、今季のマドリーが序盤戦で苦しんでいるのは確かだ。

今季、マドリーは公式戦26試合で14勝5分け7敗という戦績を残している。これはジネディーヌ・ジダン監督が指揮を託された2015-16シーズン、16-17シーズン、17-18シーズン、19-20シーズンと比較してワーストの数字だ。

筆者作成/単位(万・ユーロ)
筆者作成/単位(万・ユーロ)

■補強ゼロの夏

今夏、マドリーは補強を行わなかった。

マルティン・ウーデゴール、アンドリュー・ルニン、アルバロ・オドリオソラのレンタルバックが決定した一方で、外から補強してきた選手はゼロだった。新型コロナウィルスの影響で財政は圧迫され、フロレンティーノ・ペレス会長は現実路線でのメンバー構成を選択した。

それでも、マドリーの選手の「市場価値」は依然として高い。『KPMG』のレポートによれば、その額は8億7420万ユーロ(約1049億円)で、パリ・サンジェルマン(8億600万ユーロ/約967億円)、ユヴェントス(7億3400万ユーロ/約880億円)を上回るものだ。

マドリーのトップ3はカゼミーロ(7260万ユーロ/約87億円)、ラファエル・ヴァラン(7020万ユーロ/約84億円)、ティボ・クルトゥワ(6790万ユーロ/約81億円)となっている。そこに、エデン・アザールやルカ・ヨヴィッチの名前は含まれていない。

筆写作成
筆写作成

■アザールとヨヴィッチの適応

前述したように、マドリーは静かな2020年夏を過ごした。だが2019年夏には、大型投資を行っている。

移籍金1億ユーロを支払い、チェルシーからアザールを獲得。そして、移籍金6000万ユーロでフランクフルトからヨヴィッチを獲得した。この2選手は前線の起爆剤として大きな期待を寄せられていた。

しかし蓋を開けてみれば、今季マドリーで求められる決定力を示しているのはカリム・ベンゼマ(13得点)のみだ。次点にくるのはカゼミーロ(4得点)、ルカ・モドリッチ(4得点)と中盤の選手で、アタッカー陣はヴィニシウス・ジュニオール(3得点)、アザール(2得点)、マルコ・アセンシオ(1得点)、マリアーノ・ディアス(1得点)、ヨヴィッチ(無得点)と消沈している。

マドリーは今夏、カンテラーノのボルハ・マジョラルをローマに放出している。マジョラル曰く「クラブがヨヴィッチに賭けたがっていた」ようだが、そのヨヴィッチは今冬の移籍市場でフランクフルトへの移籍を決断した。そして、フランクフルトでのデビュー戦で2得点を挙げた。

2017-18シーズン、マドリーの看板3トップだった「BBC」は77得点を記録した。ベンゼマ(12得点)、ガレス・ベイル(21得点)、クリスティアーノ・ロナウド(44得点)という内訳だ。攻撃陣の得点力が落ち、価値を維持できるかどうかはタイトル争いと密接にリンクしてくるかもしれない。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

誰かに話したくなるサッカー戦術分析

税込550円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

リーガエスパニョーラは「戦術の宝庫」。ここだけ押さえておけば、大丈夫だと言えるほどに。戦術はサッカーにおいて一要素に過ぎないかもしれませんが、選手交代をきっかけに試合が大きく動くことや、監督の采配で劣勢だったチームが逆転することもあります。なぜそうなったのか。そのファクターを分析し、解説するというのが基本コンセプト。これを知れば、日本代表や応援しているチームのサッカー観戦が、100倍楽しくなります。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

森田泰史の最近の記事