芋名月の定番はシンプルなこし餡と粒餡「仙太郎」さんの月見だんごはほんのり甘いお餅が食べやすい王道です
花より団子、というわけではありませんが、十五夜に欠かせないものと言えばお供え物。ここ数年でお供え物のお団子に地域性があるということがメディアでも取り上げられ、以前より浸透してきたと思うのですがいかがでしょうか。
さて、青森県出身かつ都内在住の私にとっては、十五夜といえば白いお餅をピラミッド状に積み上げた白いお団子が主流でした。神様にお供えする、という意味合いが強いのでしょうね。
しかし、関西地方ではこのころになると里芋やさつまいもが新芋として出回り始めることから芋類をお供えしたり、その里芋を模した月見団子をお供えするようになりました。
栗餡やさつまいも餡など、四季折々のあんこを使用した月見だんごもございますが、今回は京都の人気店「仙太郎」さんの「月見だんご」をご紹介。
こし餡、粒餡二種類での展開です。真っ白な丸いお餅の部分は煌々と輝く満月、あんこの部分は夜空や雲に見立てているとのことです。素朴な見た目ながらも、風流を愛する日本人の感性の豊かさに触れたような気が致します。
こし餡はあっさりとしているものの、あとから顔を覗かせる仄かな渋みのおかげで滋味に富んだ余韻が訪れます。お餅をすっぽり包み込むためにある程度ぽてっと練り上げられていますね。粒餡に比べると幾分淡い色合いなのも、月光を反射する雲のよう。
粒餡は深い色合いの如く、その味わいも力強さを醸し出すような食べ応えも魅力的。シャキシャキとした皮の歯応えや、噛みしめるたびに溢れ出すお餅の旨味がダイレクトに舌の上を満たしてくれます。
肝心なお餅はほんのり甘く、適度な粘り気とコシはあるものの、いずれもさほど強調されているわけではありません。どちらかというとキレの良さが印象的なので、小さなお子様に食べさせる際にもスプーンやフォークなどで一口サイズに掬いやすいのも嬉しいところ。
世代問わず名月を楽しみ、秋の訪れとその恵みに感謝しながら、残り少なくなってきた一年に思いを馳せる素敵な夜を迎えられますように。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<仙太郎・本店>
公式サイト(外部リンク)
京都市下京区寺町通仏光寺上る中之町576
075-344-0700
8時~18時(時期によって変動あり)
定休日 元旦