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十五夜だけは勿体ない!10月の「十三夜」はどんな和菓子をお供えする?片見月を防いで縁起の良いお月見に

柳谷ナオ和菓子ソムリエ・ライター

蕎麦やうどん、つくねはもとより、ピザやハンバーガー、牛丼など、最近はテレビCMやSNSでもファストフード店のお月見商品の広告が目立つようになりました。

確かに、学校給食のみでお月見の習慣に触れるより、家族揃っての食卓でも話題に上る方がより習慣化するかもしれませんね。

しかし!!!

お月見、すなわち十五夜だけお月見をすると、「片見月」といいまして縁起が悪いといわれているのです。

今回は、福岡県をはじめ全国にファンを持つ人気店「鈴懸」さんの栗の和菓子と一緒に「片見月」と「十三夜」についてご紹介。

栗蒸し・お月見うさぎ
栗蒸し・お月見うさぎ

さて、東北地方から関東地方では十五夜の際にお供えするのは白くて丸い、お盆にお供えしたようなお団子が多く見受けられます。神様にお供えすること、という意味合いが強いという説もあり、最近ではそのままでも美味しく召し上がることができるように中にあんこを包んだお餅を積み重ねていることもあります。

穏やかな甘味と重厚感の二重奏に大満足
穏やかな甘味と重厚感の二重奏に大満足

そして愛知県、特に名古屋市の和菓子屋さんは涙型といいますか滴型のようなお団子。お団子というよりお餅と申しますか、主に上新粉を用いた甘い生地を楽しむタイプです。

仕上げに透明な寒天液を流して、艶出しと乾燥防止
仕上げに透明な寒天液を流して、艶出しと乾燥防止

そして関西。以前はこの時期になると里芋やさつまいもなどの新芋が出回る時期になり、芋類そのものをお供えしていた文化が和菓子屋さんたちの創意工夫により、お餅をあんこでくるりと巻いた里芋のような「月見だんご」が販売されます。

また、小豆の赤は魔除けの力が宿るとされたことも、お供えに取り入れられた理由とも推測されます。

仄かな塩味が余韻を程よく引き締めてくれます
仄かな塩味が余韻を程よく引き締めてくれます

そしてもうひとつ。十五夜と対で楽しむのが十三夜、別名「栗名月」と言われています。十五夜はかつて中国から伝わった文化がもとになっていますが、十三夜は日本で誕生した文化。

焼き印タイプではやや幅広のお耳さん
焼き印タイプではやや幅広のお耳さん

芋名月と同様に毎年日付が変わるのですが、芋名月に次いで美しい月とされており、この時期になると稲の刈取りがひと段落し、栗や豆類が収穫時期を迎えることから栗の和菓子やおこわなどをお供えし、自然の恵みを得られたことに感謝をするというしきたりがあります。

ふわりと軽やかでもっちりとした繊細な皮は、当日限りの儚い食感
ふわりと軽やかでもっちりとした繊細な皮は、当日限りの儚い食感

秋の恵みを祈る十五夜、無事に収穫できた感謝を伝える十三夜。勿論諸説ありますが、食欲の秋と申しますように、ぜひ十三夜も忘れずにカレンダーへチェックしておくことをおすすめいたします。

小豆と栗、二重のあんこで贅沢気分
小豆と栗、二重のあんこで贅沢気分

ちなみに2024年の十三夜は10月15日(火)。栗の和菓子は、同じ栗きんとんや栗蒸し羊羹などでも早いうちに収穫できた早生栗を使用したもの、その季節にあわせて9月から12月頃まで産地を変えながらお作りなっているものなど沢山あります。

いつ拝見しても独特な書体
いつ拝見しても独特な書体

十三夜までに、いろんな栗の和菓子を予習しておくのも、食欲の秋の楽しみ方といえるのではないでしょうか。

最後までご覧いただきありがとうございました。

柳谷ナオ

<鈴懸・本店>
公式サイト(外部リンク)
福岡市博多区上川端12-20ふくぎん博多ビル1F
092-291-0050
9時~19時

和菓子ソムリエ・ライター

■年間400種を優に超える和菓子を頂く和菓子ソムリエ&ライター。美味しさだけではなく、職人さんやお店、その土地の魅力をいかに伝えるかに重きを置いて執筆中! ■製菓衛生士免許所持・製造・販売・百貨店勤務経験有 ■和菓子・お取り寄せ・お土産・アンテナショップ・都内物産展&催事・和菓子とお酒&珈琲&ノンアルコールとのペアリングなどの執筆や取材、監修を得意としています。

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