難関突破のゲン担ぎ「最中勧進帳」にたっぷり詰まった瑞々しい抹茶餡と歌舞伎の人気演目の歴史浪漫
全国的にファンが多い和菓子の中には、郷土色が盛り込まれたお菓子も多数。それは特産品だけではなく、民話や歴史といったその土地に纏わる逸話がもとになっているものもありますね。そこが和菓子の秘める浪漫のひとつだと思っております。
ところで、「十八番(おはこ)」という言葉の語源には、歌舞伎でもお馴染みの市川宗家の歴代役者が得意としてきた演目たちからきているという説があります。お家芸、というといささか薄っぺらい印象になってきますが、長きに渡る歴史の中で受け継がれ改良されと今に至るまで人気を博している中のひとつが、源義経と武蔵坊弁慶の絆が如実に伝わる「勧進帳」。
その中に登場する重要な役割を担っている役柄に所縁のあるといわれている「ふがく堂」さんでは、その演目と伝承に基づいた名物を作っていらっしゃいます。
今回はふがく堂さんの「最中勧進帳」をご紹介。
最中にしてはなかなか独特な筒状の最中。こちらは勧進帳というお寺に寄付を募る文面が書き記されている巻物を読み上げたということから(実は何も書かれていない巻物を即興で弁慶が読んだといわれています)きています。
ふわりと柔らかな最中種の中には、たっぷりの抹茶餡。その抹茶餡も非常に柔らかく、不思議なことに飲み込んだ際には喉を潤すような印象もチラリ。あんこがやわらかいので、最中種も幾分ぱりっとした歯応えは控えめです。
抹茶餡は抹茶の味わいというよりは、香り立ちを担当しているようなさらりとしたあんこですっきりとした余韻の甘さです。また、ふたくちめに登場する和胡桃もなかなか大胆な食感。やや大きめにカットされた和胡桃なので、ぽりぽりという歯応えだけではなくどこか男らしいしたたかな木の芳しさも。
源義経や武蔵坊弁慶にみる主従関係に惹かれる歴史ファンだけではなく、ピンチを突破するということから試験前や大事な局面にも縁起の良いお菓子としても購入なさる方が多いのだとか。局面前の気分転換にどうぞ、とお渡ししたら喜ばれるかもしれませんね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<ふがく堂>
公式サイト(外部リンク)
石川県野々市市本町3-8-9
076-214-6634
10時~16時
定休日 土日月曜