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アンジュルム・笠原桃奈がホラーでドラマ初出演  「ビビリですけど自分でない人になる感覚は楽しくて」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
「ほぼ日の怪談。/高笑いする女」に主演の笠原桃奈(アンジュルム)

ハロー!プロジェクトの新旧メンバーが毎話主演する『ほぼ日の怪談。』(テレビ神奈川/ひかりTV、dTVチャンネル)で、アンジュルムの笠原桃奈がドラマデビューする。第3話の『高笑いする女』に主演し、初めてとは思えないナチュラルな演技を見せている。アイドルとして活動している彼女が、女優業にはどんな意欲を持っているのだろう?

自分がドラマに出るとは想像してなくて

笠原桃奈は現在16歳。モーニング娘。に憧れて、2015年よりハロプロ研修生となった。パフォーマンス力を評価されて、12歳だった2016年、アンジェルムに当時の最年少メンバーとして加入した。

――ハロプロ研修生になった時点で、演技にも興味あったんですか?

笠原  いえ、自分がドラマに出演させていただくのは、まったく想像してなかったです。アンジュルムで舞台をやったときも、そんなに台詞が多い役ではなかったんですけど、その中で演技が面白いと思うようになりました。

――自分でドラマや映画は観ますか?

笠原  映像作品を観るのは好きです。小松菜奈さんが大好きで『溺れるナイフ』を観たとき、いろいろ感じるものがあって、「こういう演技をしてみたい」と初めて思いました。

――今回の『ほぼ日の怪談。』で主演の話が来たときは高まりました?

笠原  突然聞いてビックリしました。私はビビリで、ホラーをあまり観ないので、最初は「できるかな?」と思って。実際にホラーの演技は独特で難しかったんですけど、自分でない誰かになり切るのは、やっぱり楽しかったです。

――ホラーに馴染みはなかったんですね?

笠原  誰かと一緒でないと観られないですね。怖いもの見たさはちょっとあるので、夏にアンジュルムのメンバーと、『世にも奇妙な物語』とか王道の怖いドラマを観るのは楽しいです。でも、ずっと目を手で隠しながら観る感じです(笑)。

――ホラー映画をわざわざ観に行くことはしません?

笠原  誰かとなら行きたいですけど、私は音も怖いので、目も耳もうっすら開けて観ます(笑)。『IT』が公開されたとき、メンバーみんなで行く話になったのに、15歳以上しか観られない作品で、私は当時14歳でギリギリダメで、悔しかったのを覚えています(笑)。

――おばけ屋敷くらいだと、どうですか?

笠原  今年、外出自粛の少し前に、メンバーみんなで遊園地に行ったとき、久しぶりに入りました。ずっとサブリーダーの川村文乃ちゃんにしがみついて、何も聞かない、何も見ないで歩いていました(笑)。

(C)ほぼ日/2020「ほぼ日の怪談。」製作委員会
(C)ほぼ日/2020「ほぼ日の怪談。」製作委員会

夜道で想像で怖くなって走り出します(笑)

――ビビリというのは普段も出ますか?

笠原  夜中に家で1人でリビングにいるのも怖いです。霊感がまったくないので、逆にいろいろ想像しちゃって。夜中に道を歩いていて、何かが後ろから来そうな気がして、めっちゃ走ることもあります(笑)。実際に出たことは、1回もありませんけど。

――ツアーで1人でホテルに泊まるときは?

笠原  その日にもよりますけど、怖くなって、友だちにずっと電話しているときもあります。一度、楽屋で急に電気がパンと消えたときは、みんなで叫びました。

――今回の『高笑いする女』でも、クライマックスに絶叫シーンがありました。

笠原  ああいう叫び声は普段出さないですよね。しかも、私はそんなに声が高いほうではないので、いろいろなアングルから何回も撮りながら、最後まで出せるか心配でした。完全にCGだったので、想像で怖がらないといけない緊張もあって。でも、逆に叫ぶことで「怖い……」という気持ちになれました。

――普段、勝手に想像して怖がっていたのが、役に立ったのでは(笑)?

笠原  そうですね。演技する直前に「おばけはこういう感じ」という写真は見せてもらいました。

――笠原さんが実際に驚いたときは、どんなリアクションをしますか?

笠原  「キャーッ!!」とはならないで、「うわっ!」という感じです。声は出ないけど、めっちゃ飛び跳ねちゃいます。グループではリーダーの竹内朱莉さんが声が大きくて、急に何か言われるとビクッとなっちゃいます(笑)。

(C)ほぼ日/2020「ほぼ日の怪談。」製作委員会
(C)ほぼ日/2020「ほぼ日の怪談。」製作委員会

大げさでもあっさりでもダメな演技が難しくて

『ほぼ日の怪談。』は、糸井重里が主宰する人気サイト『ほぼ日刊イトイ新聞』で16年続く、読者が怪談話を投稿する企画をドラマ化。笠原が主演した『高笑いする女』は、引っ越してきた家の隣りから、毎晩のように奇妙な女性の高笑いが聞こえてきて……というストーリーだ。

――「ホラーの演技は独特で難しい」とのことでしたが、どういう部分でそう感じました?

笠原  普通の演技と違う独特な間があると聞いていて、それが想像以上に大変でした。たとえば振り向くときでも、普通にパッとやらないでゆっくりとか、独特な演出があって。大げさすぎてもダメだし、あっさりしすぎてもダメ。その微妙なラインが難しくて、何回も撮り直しました。

――隣りの部屋の高笑いは実際に聞こえていたんですか?

笠原  あれも全部想像です。タイミングだけ教えてもらって、無音の中で聞こえたように恐怖の表情をするのも大変でした。

――他に撮影で覚えていることはありますか?

笠原  1日で撮って、夕方くらいまで、ずっと1人のシーンだったんです。初めての演技で1人というのは心細くて、いつもはメンバーがいる分、寂しさもありましたけど、夜にお姉さん役のるうこさんが来てくれて。現場を盛り上げてくれる明るい方だったので、すごく救われました。

――特に時間がかかったり、意外に手間取ったシーンはありました?

笠原  私が錯乱して、お姉ちゃんに助けられるところは、時間がかかりました。お互いに緊迫した雰囲気がないと噛み合わないので、細かく何回も撮って。あと、最初に撮ったのが電話をしているシーンで、1人でポンポン会話している表情と動きができなくて、ちょっとパニックになりました。

(C)ほぼ日/2020「ほぼ日の怪談。」製作委員会
(C)ほぼ日/2020「ほぼ日の怪談。」製作委員会

年齢より上に見えるのが役に合ってました

――演じた鈴は大学生の設定?

笠原  高校を卒業して、大学に入学するのと同時に上京して、お姉ちゃんと一緒に暮らし始めた感じです。私はまだ高校2年生なので、それくらいの年齢になった気持ちで頑張りました。

――でも、笠原さんは昔から、実年齢より大人っぽいと言われてましたよね?

笠原  そうですね。小学生の頃から高校生に見られたり(笑)、今も「20歳くらい?」とか言われて、結構コンプレックスです。ちょっと幼く見える人がうらやましいです。

――今回の役ではちょうど良かったですね。

笠原  役の年齢と私の見た目は合っている感じでした。

――完成して観ても、イメージ通りになってました?

笠原  自分がドラマに出るのが初めてで、何か不思議な感じがしました。ライブの映像を観るのとは全然違って、演技で動いてしゃべっているのが新鮮すぎて、恥ずかしかったです。周りからはどう観られるんだろう? 家族には私がいないときに、配信で観てほしいです(笑)。

――たくさんの人が観ると思いますが。

笠原  私自身、ホラーが苦手なので、完成品をちゃんと観られるか心配でしたけど、「来るぞ、来るぞ」みたいなところで心構えができて、意外と観られました。どんな方でも楽しめると思います。

(C)ほぼ日/2020「ほぼ日の怪談。」製作委員会
(C)ほぼ日/2020「ほぼ日の怪談。」製作委員会

ヒロインを助ける役をやりたいです

――1日の撮影ということでしたが、演技の面白さも感じました?

笠原  役に入り込んで、自分でないけど自分が演じている感覚は面白かったです。今回はホラーでしたけど、いろいろな役をやってみたい気持ちは芽生えました。

――学園ドラマとか?

笠原  めちゃくちゃやりたいです。私はヒロインタイプではないと思うので、ヒロインを助けて応援したり、出るとホッコリするような役が向いている気がします。

――少女マンガ原作の恋愛モノは?

笠原  恋愛に関しては未知数すぎて、自分がやるのは想像つきません。マンガも私はアクションとか少年ジャンプ系の作品を読むことが多いんですけど、メンバーでは少女マンガが好きな子が多いので、やったら絶対楽しいんだろうなとは思います。

――ハロプロの先輩でも工藤遥さんのように女優として活躍している人もいますが、歌やダンスに打ち込んできたことが、演技に役立つ部分もあると思います?

笠原  パフォーマンスも表現という括りでは同じで、演技と通じるものはあると思います。私も何もしてなかったら、全然違っていたように感じました。

人狼ゲームでは「ウソがうまい」と言われます(笑)

――笠原さん自身が最近、高笑いしたことはありますか?

笠原  最近はハロプロ全体のコンサートをチームに分かれて回っていて、他のグループの皆さんとお話する機会が増えた中で、公演が終わった後に、広い楽屋でソーシャルディスタンスを保ちながら、いろ鬼をやったんですよ。私は参加しなかったんですけど、何か楽しくなって、めっちゃ笑ってました。

――笠原さんは年齢的に、もう鬼ごっこをするノリではなくて?

笠原  そうなんですけど、やっていたのはモーニング娘。’20さんの大人な小田さくらさんから、若い方だとJuice=Juiceさんの工藤由愛ちゃんとか、年齢関係なく走り回ってました(笑)。

――でも、笠原さんは見ていたと?

笠原  参加したかったんですけど、コンサートで疲れちゃって、動画を回しながら笑ってました。いつの間にか始まって、見てたら終わっちゃった感じで、「みんな体力すごいな」って、すごく面白かったです(笑)。

――自分はあまりはしゃがないタイプですか?

笠原  アンジュルムでは、みんなではしゃいで遊ぶほうです。ずっと人狼ゲームがグループ内で流行っていて、普通は疑心暗鬼な感じで推理するじゃないですか。でもアンジュルムでやると、「絶対人狼だ!」とか騒ぎまくります(笑)。

――笠原さんは人狼か村人かバレるほう?

笠原  私は普段はウソを全然つけないんですけど、人狼ゲームはなぜか得意で、勝つほうです。周りから「マジでウソつくのがうまいね」と言われます(笑)。

――そういうところも、女優に向いているのでは?

笠原  どうなんだろう? 自分ではわかりませんけど、機会があればまた経験を積みたいし、やりたいかと聞かれたら、めちゃくちゃやりたいです(笑)。新しい自分を見つけられたらと思います。

Profile

笠原桃奈(かさはら・ももな)

2003年10月22日生まれ、神奈川県出身。

2015年4月にハロプロ研修生となり、2016年7月よりアンジュルムに5期生として加入。28thシングル「限りあるMoment/ミラー・ミラー」が発売中。

『ほぼ日の怪談。』

テレビ神奈川/水曜23:00~放送

ひかりTV、dTV チャンネル/日曜19:00~配信

笠原桃奈主演の第3話『高笑いする女』は8月30日より配信、9月2日に放送。

公式HP

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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