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開幕4登板で50奪三振のエースは、バッティングも絶好調。現時点の打率は.545

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジェイコブ・デグローム(ニューヨーク・メッツ)Apr 23, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ジェイコブ・デグローム(ニューヨーク・メッツ)が、三振を奪いまくっている。4月23日の15奪三振により、今シーズンの奪三振は50に到達した。

 ESPNスタッツ&インフォなどによると、シーズン最初の4登板で50奪三振は、モダン・エラ(1900年以降)の新記録。それまでの最多は、1978年のノーラン・ライアンと今シーズンのシェーン・ビーバー(クリーブランド・インディアンズ)がそれぞれ記録した、48奪三振だったという。

 今シーズン、デグロームは29.0イニングを投げ、101人の打者と対戦している。9イニング平均の奪三振率は15.52。対戦打者に占める奪三振の割合は、49.5%に上る。

 また、与四球は3、WHIPは0.55。自責点は1しかなく、防御率は0.31だ。

 さらに、デグロームの驚異的なパフォーマンスは、マウンド上にとどまらない。ここまで、11打数6安打、打率.545。サンプルは少なく、長打は二塁打1本ながら、4試合ともヒットを打っている。スタッツ・バイ・スタッツによると、モダン・エラにおいて、連続する4先発で計50三振以上を奪って計5本以上のヒットを打ったのは、1984年のドワイト・グッデンに続く2人目だ。

 グッデンの4試合は、9月7日~23日。34.0イニングを投げて52三振を奪い(与四球5、防御率0.53)、打席ではデグロームと同じく、11打数6安打を記録した。このスパンを1試合前にずらし、9月1日~17日とすると、同じイニングで奪三振は53に増えるが(与四球9、防御率1.32)、ヒットは4本に減る。この年、グッデンはメッツからメジャーデビューした。

 デグロームが素晴らしい投手であることは、今さら言うまでもない。2018年から2年続けてサイ・ヤング賞に選ばれ、昨シーズンの投票では、ナ・リーグ3位にランクインした。

 打者としても、2014~19年に、通算打率.189(350打数66安打)、二塁打8本とホームラン3本を記録している。

 本拠地のシティ・フィールドで行われた4月23日の試合では、2打席目に二塁打で先制点を叩き出したのに続き、4打席にもヒットを打った。その直後には「MVP! MVP! MVP!」の大合唱が聞こえてきた。この日、デグロームは、自身が打ったのと同じ本数のヒットしか打たれず(与四球はゼロ)、完封勝利を挙げた。

 シーズンはまだ序盤に過ぎないものの、MVPはさておき、3度目のサイ・ヤング賞を手にしても、そこに驚きはまったくない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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