できる人はなぜ、「ビジネスリュック」を使うのか?
鞄の中身を見れば、仕事ができるかどうかがわかる!
私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。絶対達成をスローガンにしてコンサルティングしているため、口先だけでなく、本当に仕事ができる人と、そうでない人との見極めができます。
「仕事ができる人」を見極める要素はいろいろあります。その人の姿勢、口ぐせ、行動パターン……多岐に渡ります。”持ち物”もその要素のひとつです。常日ごろから何を持ち歩いているかによって、その人が「仕事ができる人」なのかそうでないのか、何となくわかるのです。
薄っぺらいビジネスバッグを使う人は、その仕事ぶりも薄っぺらい
業界や職種によるので、その人が仕事をするにあたって何を持ち歩くのかは異なって当然です。ただ確実に言えることは、今の時代、物をあまり持たない人は「仕事ができない人」と言って、まず間違いないと言えます。
鞄に何が入っているかも大事ですが、持ち歩くもの、そのものの量が極端に少ない人が「できる人」であるはずがありません。手ぶらであったり、薄っぺらいビジネスバッグで通勤している人のことです。付き人に荷物を持たせる社長もいますが、こういう人も、現時点において「仕事ができる人」とは言えないでしょう。昔は仕事ができたかもしれませんが、今は”自らの成功の上にあぐらをかいている人”になり下がったからです。
通勤時間であったり、出張やお客様への訪問にかかる移動時間は、大切な自分のリソース(資源)です。このリソースを有効活用できない人は、単純に会社から与えられた仕事をこなしているだけ。仕事の道具をすべて会社に置いている人は、自己投資意欲も少ないはずです。
スマホやノートパソコンなど、情報デバイスの進化は留まることを知りません。とはいえ、紙がゼロになることはなく、手帳やノート、資料、ファイル……などを加えると、過去に比べ相対的にビジネスパーソンの持ち物の量は増え続けているのが実情です。
持ち物が多ければいいわけではありません。しかし、スマホと財布とハンカチぐらいしか持ち歩かないようなビジネスパーソンは、一部の天才を除いて「できる人」とは言えないでしょう。
大きな手帳とノートパソコンをいつも持ち歩く
「仕事ができる人」は、
● いまの仕事に必要な物
● 将来の仕事に必要な物
の2種類を常時持ち歩きます。
いまの仕事に必要な物というのは、前述したような、会社の資料であったりファイルを指します。いっぽう将来の仕事に必要な物は、仕事の工程表や、スケジュール、タスク管理している手帳。アイデアを書き出すためのノートや情報収集するための端末。自己投資するための書籍や教材です。
新しいアイデアがひらめく環境は「4B」で表現できます。「バー」「バス(風呂)」「バス(乗り物)」「ベッド」の4つ、と覚えましょう。お酒を楽しんでいるとき、お風呂に入っているとき、移動しているとき、眠る前後など、要するにリラックスしているとき、筋肉が弛緩しているときに、新しい発想がひらめくのです。
移動中は新しいアイデアを出すための絶好のタイミング。「仕事ができる人」は、そのタイミングを逃さないよう、思いついたアイデアを記録するグッズを常に持ち歩きます。手帳であったり、ICレコーダー、ノートパソコンなどのことです。手帳も大きめであれば、その分発想も広がります。
また、移動中はビジネス書を読む絶好のチャンスです。英会話や資格試験を勉強する最適なタイミングでもあります。スマホをぼーっと眺めるのもいいですが、読書や勉強の時間にあてたいものですね。このように、常に自己投資している人は、それなりに荷物が増えるはずなのです。
なぜビジネスリュックなのか?
私は以前から持ち運ぶ荷物の量が多く、かつては大きめのビジネスバッグを使っていました。ところが4年ほど前に、左の肩関節を悪くしました。いわゆる四十肩です。痛みが強く、長期間に及んだため、病院の先生から勧められたこともあってビジネスリュックを使いはじめました。
ただ、当初は”スーツにビジネスリュック”という組み合わせで街を歩いている人をほとんど見かけませんでした。そのせいで仕事用にリュックを背負うことに強い抵抗を覚えたのです。できる限り、手で持つタイプの、普通のビジネスバッグを使いたかったのですが、肩が痛いため、そうするとあまり荷物を入れることができません。さらにヒドイことに、左肩のみならず右肩も私は痛めてしまいました。このため、観念してビジネスリュックのみで通勤したり、出張したりするようになったのです。
最初はしぶしぶ使いはじめたビジネスリュック。しかし、使い続けていると、次第に良さがわかってきました。ビジネスリュックの最大のメリットは、何といっても移動時の負担がとても少ないことです。片手で重いビジネスバッグを持っていると、体にかかる負担はかなり大きい。特に首や肩、腰、背中を痛めている人にとっては、無視できない負担です。ショルダーベルトを肩にかけても、それほど負担は軽減しません。
しかしリュックですと、背中全体で重さを受け止めます。片手で持つ負担を「10」とすると、「8」とか「7」に軽減されるぐらいではなく、いきなり「2」ぐらいの負担レベルに落ちるのです。レベルが違うとは、まさにこのこと。本当に、驚くほど体にかかる負担が削減されます。一度ビジネスリュックに馴れてしまうと、なかなか手持ち鞄に戻ることができなくなるほど、メリットを実感できます。
健康管理は「できる人」の基本
日頃からデスクワークをしている人は、腰痛や肩こりに悩まされているケースが多いでしょう。ひどい場合はそれらが原因で寝不足になったり、頻繁に偏頭痛を覚えたりします。体調管理は「仕事ができる人」の基本。ファッション性の問題は残りますが、その欠点を補って余りある恩恵があると言えます。
また、ビジネスリュックを使うようになってから気付いたメリットもあります。それは、リュックを正しく背負うと姿勢がとても良くなることです。特に歩いているときの姿勢は、手持ち鞄を使っていたころに比べれば歴然です。そして何より、歩くことに対する意識が見違えるように変わりました。
移動中は常に「ウォーキング」を意識する
ビジネスリュックを使うことで、両手が自由になります。自由になった両手を正しく振ることで歩くリズムが出てきます。まさに「ウォーキング」の要領です。「ウォーキング」の意識が、移動という概念を劇的に変化させてくれます。
私の場合、重い荷物を片手で持ってダラダラ歩いているときと比べて、心も体も健全になりました。胸を張って颯爽と歩けるから、健康的な気分を味わえます。「仕事ができる人」は日頃から運動をし、しっかり体力をつけています。しかしスポーツジムに通ったり、走ったり歩いたりする時間も限りがあるでしょう。仕事も家庭も趣味も巧みにこなす人は、この移動時間を最大限利用し、自己投資のための勉強をしたり、体力をつけたりするのです。ビジネスリュックは、そういう意味でも、とても有効なアイテムと言えます。
ビジネスリュックの「デメリット」
私が使い始めた4年前と比べて、ビジネスリュックを使う人は劇的に増えています。そのせいで、ラインナップも豊富になりました。有名なファッションブランドからも、普段ユースに耐えられるビジネスリュックが次々に登場しています。
しかし、そうは言っても、まだまだファッション性にかけてはイマイチな製品が多いと言えます。総じて野暮ったいデザインが多いし、「おじさん臭さ」が強い。もっともっといろいろなメーカーから、多彩な提案をしてもらいたいと私は思います。
他にもデメリットはあります。背負っていると、すぐに荷物を取り出すことができません。また、暑い日に背負って移動していると、背中にすごい汗をかきます。スーツやシャツに皺ができることは覚悟しましょう。購入を考えている人は、こういったデメリットも頭に入れておいたほうがいいと思います。
ビジネスリュックの選び方
続いてどんなビジネスリュックを選べばいいのか私見を書きます。
ビジネスで使用するため、書類収納用のパーティションは不可欠です。また、多くの人がノートパソコンなどを収納するでしょうから、分厚いパッドで保護された、パソコンやタブレット専用のポケットも必要でしょう。折り畳み傘やペットボトルを収納するためのポケットもあればいいですが、あまりに盛りだくさんの機能を望むと、リュックが大きくなりますし、スマートさに欠けるデザインとなります。ここは好みが分かれるところですね。
背中への負担を軽減させるパッドが入っていることも確認したほうがいいでしょう。肩や腰が悪い方にとっては、最も重要視する部分かと思います。
ちょっとしたことですが、自立するタイプのリュックを私はお勧めします。地面にちょっと置くときに倒れないかどうか、ということです。自立しないと、電車の中とかで困ります。底鋲が付いていると、リュックの底が汚れにくく、なお良いでしょう。ネット通販で買うより、お店で倒れず自立するかどうか確認してから購入してはどうでしょうか。
また、個人的な意見ですが、「3WAY」のビジネスバッグはお勧めいたしません。一見、普通のビジネスバッグに見えるのですが、背面に収納しているショルダーストラップを取り出すと、リュックに変形するタイプがこの「3WAY」バッグです。普段はリュックとして使用するのですが、必要なときに手持ちの鞄になるので便利そうに見えます。しかしショルダーストラップを取り出したり収納したりするのが、意外に面倒です。
リュックから手持ちのスタイルに変えようとしたとき、ストラップがぶらぶらして、とても不恰好になります。しかしワンタッチで変形できないため、結局、ストラップを収納して使い続けることになるのです。
それほど頻繁にリュックにしたり、手持ちにしたりとスタイルを変えることはないでしょうから、それなら最初から両方買うことをお勧めします。(お金はかかりますが)つまりビジネスリュックと、普通のブリーフケースの両方を買うのです。私はそうしています。名刺入れやペンケース、ティッシュ、ノート、文房具などは、それぞれリュックにもブリーフケースにも入れておき、パソコンやタブレット、システム手帳など、常に持ち歩くものだけ入れ替えるようにしています。
個人的なこだわりは、リュックの上部に取り付けられている「グリップハンドル」です。いわゆる「取っ手」。アウトドア用のリュックやデイバッグだと、布一枚でできているこのハンドルが、本革や合皮など、丈夫で肌触りのいい素材でできていると、長時間手持ちでリュックを持ち歩いてもストレスになりません。ここはぜひ購入する前に、実際に手で触ってチェックしたいポイントです。
電車の中でのマナーは大事
ビジネスリュックに限らず、リュックを使う場合、背負ったまま電車に乗るのはやめましょう。当然ですが、乗車する前に手持ちに変えるのです。このとき前述したように、グリップハンドルが握りやすいとストレスがかかりません。底面がしっかりしていて、自立するリュックだと、車内の床に置いても倒れないので便利です。放っておくと倒れてしまうようなリュックだと、両脚で挟んで支えるしかなくなるからです。
昨今、ビジネスリュックを使う人がとても増えています。私のように肩や腰に問題を抱えている人のみならず、若い人でも使っています。愛用している経営者も多い。まだまだ「リュックを仕事に使うなんて」と思う人も多いでしょうが、私としては、もっと普及してもいいビジネスアイテムだと考えています。