在英ロシア大使館が岸信夫・首相補佐官のツイッター投稿を捏造
日本時間で8月16日に、在英ロシア大使館がTwitterで奇妙な投稿を行いました。8月11日に日本の岸信夫・首相補佐官がTwitterでウクライナのザポリージャ原発の付近での戦闘についてロシアを支持する投稿を行って直ぐ削除したと、スクリーンショット画像を紹介したのです。「We couldn't express it any better...(これ以上の表現はありません)」と称賛しています。
しかしスクリーンショット画像に書かれていたものは日本語の文章としては非常に奇妙なものでした。岸信夫・首相補佐官の普段の口調とは全く似ておらず、違和感しかありません。
脈絡なくアメリカ批判が飛び出し、人類が滅びると大袈裟に訴える文章の内容は、一般的な日本人が書くような文章にはとても思えません。海外の陰謀論者が考えた文章を日本語に機械翻訳したかのような不自然さが目立ちます。
「上空で爆発」というのも奇妙な表現です。もし危険を訴えるなら「直撃で爆発」や「付近で爆発」という表現になる筈です。もし上空で爆発したのが原子爆弾なら危険なことですが、通常弾頭のミサイルを想定しているなら日本語の文章としては表現そのものがおかしいでしょう。実際にウクライナのミサイルがザポリージャ原発の上空で爆発した事実もありません。
またロシア大使館のスクリーンショット画像にはザポリージャ原発の写真の右に「Hiroshima after …」と、被爆した神社の鳥居の写真が貼られていますが、実際にはこれは広島の写真ではなく、長崎の山王神社の写真です。
なおロシア大使館のUPしたスクリーンショット画像を画像検索に掛けて調べたところ、8月12日にロシアのSNSのVKに同じ内容のスクリーンショット画像が投稿されていたのが見つかりました。
参考:Портфель Генштаба 8月12日 19:55 (Webアーカイブ)
しかし8月11日に岸信夫・首相補佐官が投稿して直ぐ削除されたとされるツイートに日本人が誰も気付かず、暫くしてからロシア人だけが気付き、数日後にロシア大使館が紹介するという経緯は不自然さしかありません。
以前からロシア大使館はネット上で流れている画像を拾って来て紹介する場合がよくあります。今回もロシア国内で細々としか知られていなかった捏造の画像を、大使館が数日後に気付いて今さらになって紹介したという流れなのでしょう。
朝になって事態に気付いた岸信夫・首相補佐官はスクリーンショット画像の投稿は元々存在しないと否定します。画像は捏造ということです。実際に投稿が行われた痕跡は何処にもありません。Webアーカイブにも記録されていませんし、投稿に反応する返信なども一つも確認できません。
これはロシア大使館が流したプロパガンダのデマ宣伝、フェイクニュースです。最初からロシア大使館はこれが捏造された画像であることは百も承知だったでしょう。平気な顔をして嘘を吐いていることになりますが、ロシア-ウクライナ戦争でロシアを有利にするための宣伝戦なのです。
まともな人は誰も引っ掛かりませんが、陰謀論を信じている一部の層は簡単に引っ掛かります。こうして社会の分断を図るのです。これもまた戦争の一部なのでしょう。
- 追記1(8月16日20時23分):在英ロシア大使館はTwitterの投稿を削除しました。ただしFacebookでの同内容の投稿は現時点ではまだ削除していません。 Russian Embassy in London - Facebook
- 追記2(8月16日22時39分):在英ロシア大使館はFacebookの記事も削除しました。