大量の入試採点ミスは教員意識の低さに原因あり
一生を左右する問題として若者や保護者が神経を尖らせているのが、入試である。学校の価値観も同じで、「受験がすべて」のような教育方針をとる学校も少なくない。
その入試で大量の採点ミスがあった。今春と昨春の東京都立高校入試で2000件以上の採点ミスが発覚し、本来は合格していたにもかかわらず不合格とされた受験生が18人もいたという。
不合格にされた受験生にしてみれば、新しい学校生活は始まっているだろうし、「何をいまさら」の感が強いに違いない。都教育委員会(都教委)の担当者が受験生の家庭を訪問して謝罪したというが、そんな謝罪で片付けられる問題ではない。
なぜ、こんなことが起きるのか。採点するのは人間だからミスもある、という意見もあるだろう。それを全面的には否定しない。
しかし、採点にあたる教員の意識の低さが根本的な原因であることもまちがいない。都教委による学校側への聞き取り調査で、以下のような回答があったことを『東京新聞』(6月4日付 電子版)は伝えている。
「受験生の人生に影響する認識が希薄だった」
「採点に誤りはないとの思い込みが点検者にあった」
さらには、「採点には時間的に厳しい状態が続いていた」と、高校の校長たちは釈明している。時間がなかったからだ、というわけだ。上記の回答とあわせて、校長をふくめた教員の意識の低さを感じないわけにはいかない。
意識が低いなかで、いくら制度を改めてみたところで改善は望めないはずだ。教員の意識が低いからこそ、1回の入試だけで受験生の人生を左右するような入試制度も変わらない。教育の質も向上しない。