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「暑苦しい人」がリーダーとしてふさわしくない、意外な理由とは?

横山信弘経営コラムニスト
暑苦しいリーダーの問題か。(写真はイメージ)(写真:アフロ)

■ ビジネスで使う「暑苦しい」

8月3日、久留米で38.4度、京都で38.2度を記録するなど、梅雨が明けてから日本列島は猛烈な暑さに見舞われています。連日、熱中症で搬送される方が増えていますので、暑さ対策をじゅうぶんにして仕事をしていきたいですね。

さて、ビジネスにおいて「あつい」という表現は、「熱い」「暑い」「厚い」のうち、だいたい「熱い」と「厚い」を使います。例文を書いてみましょう。

「あのリーダーは、このプロジェクトに熱い気持ちを持っている」

「多くの部下からの信頼が厚い、あの人こそ組織改革のリーダーにふさわしいんじゃないか」

いっぽう「暑い」という言葉は、このままでは使いません。使うのであれば「暑苦しい」という表現で、です。

「あのリーダーは、顔を見るたびに『気合いだ』『気合いだ』と言ってきて、暑苦しい」

■ 暑苦しい人の問題は?

「暑苦しい」という言葉は、「暑くて、苦しい」という意味ですから、かなりネガティブな印象を周囲に与えています。現代においては、不快だ、鬱陶しい、という意味の、いわゆる「うざい」という表現がいちばんピッタリくる言葉と言っていいでしょう。

暑苦しい人の問題は、相手と正しくペーシング(調子を合わせること)できないことです。つまり、気を遣うことがヘタ。

なぜこの仕事をしなければならないのか。なぜ、意欲的に仕事を取り組むことが必要なのかを丁寧に説明してくれれば、キチンとやるのに、と思っている人に、ただ、

「とにかく目標を達成していこう、な!」

「どんな壁があっても、みんなで力を合わせて乗り越えていこうぜ、な!」

などと精神論や、価値観の押し付けがあると、

「暑苦しいな、ったく」

と周囲の人から思われます。価値観は、みな同じではないので、相手に合わせる――つまりペーシングすることが、とくにリーダーには求められることです。

■ メンバー選出の問題か

ただ、「暑苦しい」という表現を使う人にも問題があります。

なぜなら、冷めているからです。もし、何らかの目的を果たすために召集されたプロジェクトメンバーであれば、リーダーが熱いメッセージを出そうとするのは当然のこと。その態度に対して「暑苦しい」と受け止めてしまうのなら、そのプロジェクトに選ばれてはいけない人であった、ということです。

先述したように「暑苦しい」と受け止めるメンバーに対して、いちいちリーダーはペーシングしなければならない。相手の言い分を傾聴し、動機付けをし、主体性を発揮してもらうよう取り計らわなければなりません。そのコストは誰が払うのか。プロジェクト全体で支払っていることを、メンバーは意識すべきです。

リーダーが多少言葉足らずで、精神論だけ言っていても、

「あのリーダー、また『気合いだ』とか言ってる。ま、たしかに、気合いは必要なんですけど」

と、苦笑いして受け止めるぐらいの度量が必要です。暑苦しいなどと思わず、

「不器用だけど、根は優しい人だから、あのリーダーについていこう」

と思えばいいだけのことですから。

■ 採用プロセスが何よりも大事

今後、少子高齢化が加速度的に進む日本において、何事も拡大路線を走るのは愚かです。企業も、組織単位で動くのではなく、社内外でメンバーを募り、プロジェクトを形成し、しかるべき目的を果たしていくスタイルに変容していくことでしょう。

熱いプロジェクトリーダーが、組織に縛られず熱いメンバーを募れば、マネジメントコストをよけいに支払うことなく、プロジェクトの成功確率はぐんと高まります。

ということは、「選ばれる人財」にならない限り、今後は、いい会社にも、いいプロジェクトにも採用されなくなる、ということです。

したがって、誰かに対して「暑苦しい」などと冷めた表現をするような人は、「選ばれる人財」とはみなされないのです。

暑苦しいとよく言われてしまう人は、その人の性格や態度に問題があるのではなく、メンバー選定プロセスに問題があることを、必ず知っておくことが重要です。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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