消費税10%と幼児教育無償化 実現されたら、家計はどうなる?年4万円負担増も
安倍首相は9月25日の会見で、2019年10月に予定通り消費税率を10%に引き上げた上で、増収分の使い道を変え、約2兆円を国の借金返済から幼児教育無償化など「子育てと介護という、現役世代が直面するこの2つの大きな不安の解消」に振り向けると説明をしました。
消費税が増税された上で、幼児教育が無償化されたら家計にどのように影響するのでしょうか。今回は家計目線でその影響を解説したいと思います。
まず、消費税が2%上がると多くの家庭では月3000円前後(年4万円前後)の負担増が予測されます。例えば、年収300万円の単身家計で、1ヵ月の消費支出(貯金や貯蓄型の保険を除く)が18万8000円の場合、月2460円の負担増が、年収500万円の子育て世帯で、1ヶ月の消費支出が25万6000円の場合、月3120円の負担増が消費税10%時に予測されます。
次に幼児教育無償化による恩恵はどれくらい受けられるのかを考えましょう。安部首相は「2020年度までに3~5歳まで、全ての子供たちの幼稚園や保育園の費用を無償化し、0~2歳児も、所得の低い世帯では全面的に無償化する」という方針を示しました。
文部科学省の子供の学習費調査(平成26年度)によると、公立幼稚園の年間費用は学校教育費が年11万9175円と、月1万円程度の支出になっています。仮にこの費用が無償化になると、子育て世帯の家計負担は軽くなります。前述の年収500万円の子育て世帯の場合、消費税10%と幼児教育無償化によって、月6880円家計負担が少なくなります。
ただし、多くの家庭では浮いた分を子供の習い事などに回すことが予測されます。とはいえ、保育料負担が減ることにより、子供を預けて働きたいというインセンティブが働きます。「パートに出ても保育料でかえって赤字になる」という状況が変わることが予想され、共働きをすることによって家計収入が増える可能性も高まります。
OECDインディケータ(Education at a Glance)によると、日本の公教育支出をGDP比で見ると、OECD諸国の中で最下位レベルになっており、たびたびメディアでも話題になっています。とりわけ就学前教育に対するGDP比の公支出は最低レベルで、各家庭での負担の割合が高いのですが、私費を足しても諸外国と比べると未就学児にかけられるお金が少ないです。今回の政策により、この状況が改善されることが期待されます。
だた、幼児教育無償化の恩恵を受けることができるのは限られた世帯になり、該当年齢の子供がいない世帯は負担だけ増えて恩恵を受けることができません。更なる負担増に備えて今から家計を引き締める必要があります。