イスラエル ミサイル&ドローン迎撃の新たな防空「レーザーウォール」1キロ先上空まで確実に撃墜
アイアンドームよりも低コスト
イスラエルのベネット首相は、上空からの攻撃ドローンやロケット弾にレーザーを使用して防衛する防空システム「レーザーウォール(Laser Wall)」の試験運用を開始することを明らかにした。2021年に実証実験も行い、1キロメートル先の上空の攻撃ドローンを100%確実に撃墜したとのこと。現在は1キロ先の上空のドローンを撃墜できるが、イスラエル軍は将来には100キロワットのレーザーで20キロ先の上空の攻撃ドローンも撃墜することができるようにする。またイスラエルはレーザーウォールを近隣諸国へ輸出していく。
イスラエル軍の「アイアンドーム」と呼ばれるミサイル迎撃システムが既に存在しており、2021年5月10日から約3000発のハマスからのロケット弾や攻撃ドローンの9割を迎撃していたと報じられていた。実戦においてもアイアンドームの精度の高さを見せつけていた。アイアンドームは地上にいる人たちや建物への攻撃を回避させダメージを最小化させることが目的。アイアンドームは上空のロケット弾やドローンをレーダーが察知すると、地上からミサイルが発射されて、地上の標的が攻撃されて大惨事になる前に、敵のロケット弾や攻撃ドローンを上空で爆破させる。レーザーウォールはアイアンドームよりも低コストで開発、運用ができる。
安全保障に不可欠の上空からのドローン攻撃対策
2021年のイスラエルとハマスの紛争では空爆による空中戦が続けられ、地上にいる市民は恐怖だった。ロケット弾だけでなく、「Kamikaze Drone(神風ドローン)」、「Suicide Drone(自爆型ドローン)」、「Kamikaze Strike(神風ストライク)」とも呼ばれている攻撃ドローンも多く使われている。これは標的を認識すると標的にドローンが突っ込んでいき、標的を爆破し殺傷力もある。2020年に勃発したアゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノカラバフをめぐる軍事衝突でもトルコやイスラエルの攻撃ドローンが紛争に活用されていた。攻撃ドローンの大群が上空から地上に突っ込んできて攻撃をしてくることは大きな脅威であり、標的である敵陣に与える心理的影響と破壊力も甚大である。
また、ドローンは製造コストも高くないので、大国でなくとも大量に購入が可能であり、攻撃側は人間の軍人が傷つくリスクは低減されるので有益で、これからも様々な紛争で活用されてしまうだろう。そのため、上空からのロケット弾や攻撃ドローンからの防衛は国家の安全保障だけでなく、自国民の人間の安全保障においても不可欠である。イスラエルだけでなく全世界共通の安全保障である。
▼イスラエルのレーザーウォール導入を伝えるインドのメディア
▼アイアンドームでの迎撃の仕組みを解説している動画