検索ワードからみえる気象ビジネス
急上昇ワードに「台風」
グーグルは16日、「検索で振り返る2014」を発表しました。日本国内で、昨年に比べて急上昇した検索キーワードは、1位ワールドカップ、2位妖怪ウォッチ、3位ソチオリンピック、4位台風、5位アナ雪でした。世界では、1位ロビン・ウィリアムズ、2位ワールドカップ、3位エボラ出血熱、4位マレーシア航空、5位ALSアイスバケツチャレンジです。
世界的なスポーツイベントや事件・事故が顔をそろえるなか、日本国内では4位に台風がランクインしました。今年、日本に上陸した台風はあわせて4個、とくに10月には相次いで台風が上陸しました。台風被害が大きかった結果だとする報道が見受けられますが、はたしてそうなのでしょうか?
台風の接近・上陸は毎年のようにあり、被害の大きい、小さいの違いはあるものの、台風の影響がない年の方が珍しい。台風の統計が残る1951年以降で、台風が上陸しなかった年はわずか4年です。今年の台風被害が特別であったとは言えないでしょう。むしろ、自然災害が頻発し、社会や経済に与える影響が増している現状を反映しているからだと思います。
また、過去のグーグル検索急上昇ワードランキングをみてみると、昨年(2013年)は台風が1位、2012年も3位に入っています。台風が上位になるのは今年で3年連続です。
天気予報はテレビからネットへ
もうひとつ気になったのは、気象情報を入手する方法が変わってきたのではないか、ということです。
気象庁が平成14年度(2002年度)に行った天気予報に関するアンケート調査では、「天気予報等を何から見聞きしていますか?」という問いに対して、郵送調査では約86%の人がテレビと答えました。合わせて行われたWEB調査でも半数の人がテレビと回答し、インターネット・携帯と答えた人は約33%でした。
それから10年が過ぎ、気象情報を取り巻く環境は大きく様変わりしました。今はどうなっているのか、詳しくはわかりませんが、検索ワードの上位に台風があることを考えると、パソコンやスマートフォンなど情報端末で気象情報を知る人が増えているのではないでしょうか。
もちろん、世代によって違うとは思いますが、テレビとインターネットの垣根はますます低くなっていると感じています。
必要なときに、必要な人へ、確実に届く
気象情報がテレビからインターネットへ移行することで、気象ビジネスは徐々に拡大しています。ただ、広がりはゆっくりで、予報業務許可事業者は現在、100事業者を超えているものの、気象関連事業の年間売上高はこの20年間、約300億円前後で推移しています。
防災気象情報のニーズは年々、増加していても、ビジネスとしてはいまひとつ盛り上がりに欠けているのです。その背景には気象情報を有料化しにくい現状があるのでしょう。
ビジネスとして成功することが必ずしも良いこととは思いませんが、気象情報はだれもが必要としている情報です。必要なときに、必要な人へ、確実に届く。これこそが一番大切なことだと思います。
【参考資料】
Official Google Blog「A Year in Search:the moments that defined 2014」
気象庁,平成14年度天気予報に関するアンケート調査
気象庁,気象業務はいま2012