3億ドルの9番打者がグランドスラムでアメリカを救う。負ければ敗退の試合で満塁本塁打は…〈WBC〉
3月18日(日本時間19日)、アメリカは、9対7でベネズエラを下し、準決勝進出を決めた。7回裏を終えた時点では、5対7とリードされていたが、8回表の無死満塁から「9番・遊撃」のトレイ・ターナー(フィラデルフィア・フィリーズ)がホームランを打った。
ワールド・ベースボール・クラシックのグランドスラムは、見落としがなければ、通算14本目(14人目)だ。2006年は3人、2009年は2人、2013年は坂本勇人(読売ジャイアンツ)ら3人、2017年はアルフレド・デスパイネら2人。今年は、台湾の張育成/ジャン・ユーチェン(ボストン・レッドソックス)、韓国の朴健祐/パク・コンウ(NCダイノス)と金河成/キム・ハソン(サンディエゴ・パドレス)に続き、ターナーが4人目だ。
ターナーの前に、負ければ敗退となる試合で打った選手は、2017年のデスパイネしかいなかった。デスパイネのグランドスラムは、1次ラウンドの3試合目。それまで1勝1敗のキューバは、こちらも1勝1敗のオーストラリアと対戦。4対3で勝利を収め、この時点で2勝を挙げていた日本(3試合目も白星)とともに、2次ラウンドへ進んだ。
昨年、ロサンゼルス・ドジャースにいたターナーは、出場160試合のいずれも、遊撃手としてスターティング・ラインナップに名を連ねた。打順は、2番が78試合、3番が59試合、1番が23試合だった。
通算230盗塁に対し、ホームランは124本だが、パワーレスということではない。昨年は21本塁打。一昨年は28本塁打を記録している。また、満塁の場面では、通算91打席で打率.305と出塁率.341。全打席の通算とあまり変わらず、グランドスラムは5本を数える。昨年のシーズン終了後、FAになったターナーは、11年3億ドルの大型契約でフィリーズに迎えられた。
一方、ターナーに満塁本塁打を打たれたのは、シルビーノ・ブラーチョ(シンシナティ・レッズ)だ。昨年11月にアトランタ・ブレーブスからノンテンダー(契約解除)とされ、12月にレッズとマイナーリーグ契約を交わした。通算95登板で94.0イニングを投げ、防御率は4.88。被本塁打19本のうち、グランドスラムは2本だ。クリス・テイラー(ドジャース)とニック・ハンドリーに打たれている。ターナーとの対戦は、2016年に1打席だけ。場面は、10点差の9回裏、1死一塁。結果は一塁ゴロだった。
ちなみに、無死満塁としたのは、ブラーチョではなく、ホゼ・キハーダ(ロサンゼルス・エンジェルス)だ。7回表の2死一、三塁から登板し、カイル・タッカー(ヒューストン・アストロズ)を見逃し三振に仕留めたものの、8回表は、四球とシングル・ヒット――当たりはよくなかった――と死球でマウンドを降りた。ターナーとの対戦は、通算3打数1安打。2019年は二塁打を打たれたが、2021年は二塁ゴロ、2022年はセンター・フライに討ち取った。