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なぜバルサはレヴァンドフスキを獲得できずにいるのか?バイエルン、デ・ヨング、マネ...それぞれの思惑

森田泰史スポーツライター
移籍の可能性があるレヴァンドフスキ(写真:ロイター/アフロ)

難しいシーズンを、終えたばかりだ。

バルセロナは今季途中に監督交代を行った。ロナルド・クーマン前監督を解任して、シャビ・エルナンデス監督を招聘。結果はリーガエスパニョーラで2位、ヨーロッパリーグでベスト8、コパ・デル・レイでベスト8だった。

■補強と獲得候補

そして、新たなシーズンに向け、バルセロナは動き始めている。

具体的には、補強だ。現在、トップターゲットと目されているのはロベルト・レヴァンドフスキである。

シュートを打つレヴァンドフスキ
シュートを打つレヴァンドフスキ写真:なかしまだいすけ/アフロ

「こういうシチュエーションは好ましくない。僕のバイエルンでの時代は終わった。バイエルンでプレーを続ける可能性は、まったくない。この2週間で、それは見て取れたはずだ」

「これ以上、バイエルンで続ける可能性はないので、移籍がベストの解決策になる。僕をつなぎ止めようとしないことを願っている」

これはレヴァンドフスキのコメントだ。

ただ、バイエルン側はレヴァンドフスキの移籍を容認していない。「レヴァンドフスキがああいった発言をした理由はわからない。公共の場でこういったコメントをしても、どこにも辿り着かない」とはバイエルンでゼネラルディレクターを担当するオリバー・カーンの言葉である。

■移籍市場でアタッカーを確保

バルセロナは、今季開幕前に複数のアタッカーを引き入れた。メンフィス・デパイとセルヒオ・アグエロをフリートランスファーで、ルーク・デ・ヨングをレンタルで獲得した。加えて、冬の移籍市場でフェラン・トーレス、ピエール・エメリク・オーバメヤンを獲得。アグエロが心臓の問題で引退を余儀なくされたとはいえ、前線の「駒不足」という状況には陥らなかった。

だが今季のバルセロナは得点を量産していたわけではない。公式戦86得点という数字は、近年では2004−05シーズンに並ぶワーストのものだった。

レヴァンドフスキは今季、公式戦46試合で50得点をマーク。ブンデスリーガでは34試合に出場して35得点を記録している。スタッツだけ見れば、シャビ・バルサにとって心強い補強になるだろう。

ボールをコントロールするデ・ヨング
ボールをコントロールするデ・ヨング写真:なかしまだいすけ/アフロ

一方、バルセロナはレヴァンドフスキを確保するために、課題を解決しなければならない。端的に言えば、お金が必要だ。現在、バルサスタジオやバルサライセンシング&マーチャンダイジング(BLM) 社の一部売却、CVCファンドとの契約締結などによって、資金を調達することが検討されている。

また、マンチェスター・ユナイテッドが、フレンキー・デ・ヨングを狙っている。移籍金7500万ユーロ(約93億円)を準備しているとみられ、デ・ヨングの売却が資金捻出につながる可能性がある。

リヴァプールのマネ
リヴァプールのマネ写真:Maurizio Borsari/アフロ

バイエルンとレヴァンドフスキの契約は2023年夏までだ。バイエルンとしては、レヴァンドフスキを安売りするつもりはない。

他方で、バイエルンはレヴァンドフスキの後釜を確保しようとしている。リヴァプールのサディオ・マネが、そこに入りそうだ。「ファンは素晴らしかった。彼らと、監督と、チームメートに感謝したい。彼らの幸運を願っている」というチャンピオンズリーグ決勝後のマネの言葉は“別れ”を想起させるものだった。

ベティス戦のシャビ監督
ベティス戦のシャビ監督写真:ロイター/アフロ

「レヴァンドフスキは、ひとつの選択肢だ。彼自身が、移籍したいと話していた。だが、その間には交渉というのが存在する。相手はバイエルンだ。一筋縄ではいかないだろう。でも、彼の加入は選択肢に入っている」とはシャビ監督の弁だ。

バイエルンとの話し合いはタフだ。それはバルセロナ側も理解している。しかし、レヴァンドフスキには移籍の意思がある。あとは、資金を作れるかどうか、そして交渉を詰められるかどうかだ。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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