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羽生善治九段(52)史上最年長で王将リーグ全勝達成! 若き王者・藤井聡太王将(20)への挑戦権獲得!

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 11月22日。東京・将棋会館において第72期ALSOK杯王将戦・挑戦者決定リーグ最終戦▲羽生善治九段(52歳)-△豊島将之九段(32歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は18時38分に終局。結果は117手で羽生九段の勝ちとなりました。

 リーグ成績は羽生6勝0敗、豊島4勝2敗。羽生九段は自身2度目となるリーグ全勝を達成しました。

 羽生九段は自身が持つ王将リーグ全勝の最年長記録を大幅に更新して、52歳での快挙達成となりました。

 羽生九段は王将位を通算12期を獲得し、永世王将の資格も保持しています。王将戦七番勝負登場は2015年度以来、7期ぶりとなります。

 王将位12期も含め、羽生九段のタイトル通算獲得数は99期です。

 羽生九段が今期七番勝負を制すると、タイトル通算100期に到達します。

 藤井王将と羽生九段のタイトル戦番勝負での対戦は、今回が初めて。多くのファンが望んでいた夢の対決が、ついに実現したことになります。

 これまでタイトル戦番勝負で一度も敗退がないという、常識外の強さを誇る若き王者を相手に、百戦錬磨のレジェンドがいかに戦うか。今期王将戦七番勝負は、将棋史上空前のフィーバーを巻き起こすのかもしれません。

 七番勝負第1局は年明けの1月8日・9日、静岡県掛川市・掛川城二の丸茶室でおこなわれます。

これぞ永世王将! これぞ永世七冠の強さ

 本局は羽生九段先手で、戦型は角換わり。羽生九段が早めに仕掛けて戦いが始まりました。

 36手目。豊島九段は銀を捨てます。王手飛車を見せた鋭い手のように見えて、実は豊島九段らしからぬ大きなミス。その先、さらなる返し技があったのを見落としていたか、羽生九段が一気に優勢になりました。

 誤算に気づき、落胆した様子にも見えた豊島九段。しかしそう簡単には土俵を割りません。豊島九段は軌道修正し、駒損に甘んじて辛抱する順を選びます。

 対して羽生九段はいつもながらに、攻防とも正確な指し回し。優位をそのまま保ってゴールを目指します。

 苦しいながらも、決して相手を楽にさせない豊島九段。羽生九段が一手でも大きなミスをすれば、とたんに逆転していたでしょう。

 最終盤、羽生九段は手を震わせ続けながら、豊島玉に王手。見事に寄せきって、難敵から値千金の勝利を収めました。

 服部慎一郎四段(現五段)、糸谷哲郎八段、近藤誠也七段、渡辺明名人、永瀬拓矢王座、そして豊島九段。羽生九段は錚々たるメンバーを相手に6連勝し、堂々たる成績で今期王将リーグを制しました。

 羽生九段と豊島九段の通算対戦成績は羽生20勝、豊島26勝となりました。

【追記】▲糸谷哲郎八段-△近藤誠也七段戦は18時51分、184手で近藤七段が勝利。近藤七段がリーグ残留を決めました。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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