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二刀流ブルドーザー・鈴木大介九段 VS. 公式戦11連勝中・藤本渚五段 5月2日、王座戦挑決T1回戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 5月2日。東京・将棋会館において第72期王座戦・挑戦者決定トーナメント1回戦、鈴木大介九段(49歳)-藤本渚五段(18歳)戦がおこなわれます。

 本局の勝者はベスト8に進み、佐々木大地七段と対戦します。

 五番勝負の舞台で待つのは、現在八冠をあわせ持つ藤井聡太王座(21歳)です。

将棋と麻雀の二刀流、鈴木大介九段

 タイトル挑戦はこれまで2回。ほか、多くの棋戦で上位に進出してきた鈴木九段。王座戦では2008年度のベスト4進出が最高です。 

 鈴木九段は今期、二次予選で藤井猛九段、佐藤和俊七段、横山泰明七段を連破して、7期ぶりに本戦(ベスト16)に進みました。

 最近では麻雀プロとしての活躍がよく知られている鈴木九段。

 「二刀流ブルドーザー」の異名通り、将棋の方でも久々の大爆発となるでしょうか。

現役最年少棋士、藤本渚五段

 一方の藤本五段は王座戦参加1期目。一次予選では平藤眞吾七段、矢倉規広七段、高田明浩四段、服部慎一郎六段を連破しました。

 さらに二次予選では阿部隆九段、山崎隆之八段に勝っています。

 この二次予選での2勝も含め、藤本五段は年度をまたぎ、現在公式戦11連勝中です。

 藤本五段、この勢いのまま、参加1期目にして王座挑戦権獲得となるでしょうか。

振り飛車 VS. 急戦?

 鈴木九段と藤本五段はこれまで対局がなく、本局が初手合となります。

 戦型の予想としては、振り飛車党の鈴木九段がまずどこに飛車を振るのか。対して藤本五段は、振り飛車に対しては急戦を多く採用しています。

 鈴木九段はかなり以前から藤本五段の才能、実力を高く評価していました。両者ともにスリリングな、華のある将棋。見ていて面白い一局になるのは間違いなさそうです。

史上最年少記録の可能性

 現在の将棋界には藤井王座よりあとに生まれた棋士は3人いて、現役中最年少が藤本五段です。

 藤本五段は現在、王位戦リーグ紅組で暫定トップに立っています。

 もし今期王位戦で勝ち進み、藤井(21歳)-藤本(18歳)のタイトル戦が実現すれば、両者の年齢を足して39歳は史上最少となります。

 史上最年少王座の記録は藤井現王座の21歳2か月です。

 もし今期、藤本五段が19歳で王座を獲得すれば、その最年少記録が更新されます。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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