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藤井聡太叡王、4連覇に近づくか? 伊藤匠七段、無敵八冠をカド番に追い込むか? 5月2日、叡王戦第3局

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 5月2日。愛知県名古屋市・名古屋東急ホテルにおいて、第9期叡王戦五番勝負第3局▲藤井聡太叡王(21歳)-△伊藤匠七段(21歳)戦がおこなわれます。棋譜は公式ページをご覧ください。

 五番勝負はここまで第1局は藤井叡王、第2局は伊藤匠七段と、いずれも先手番の側が勝っています。第3局は藤井叡王の先手となります。

 藤井叡王がここでまた突き放して防衛、4連覇に近づくのか。それとも伊藤七段が初タイトル獲得に迫るのか。いよいよ天王山の第3局を迎えることになります。

 両者のこれまでの対戦成績は、藤井11勝、伊藤1勝、持将棋1局。伊藤七段は前局で、藤井叡王を相手に、ついに初勝利をあげたわけです。

 長い将棋界の歴史を振り返ってみると、最初は一方的に押されていた側が、途中から押し戻していく例もしばしば見られます。伊藤七段にとっても、ここは反転攻勢の好機でしょう。

 藤井八冠は過去21回登場したタイトル戦の番勝負で一度も敗退していません。

 またそれぞれのシリーズでは一度も連敗をしたことがなく、先にカド番に追い込まれたこともありません。

 藤井八冠があまりに強いので、このまましばらくタイトル全制覇の状況が続くのではないか。そんな見方をする観戦者も多い中で、もし伊藤七段がまた勝てば、一気に「八冠危うし」というムードになるのかもしれません。

 藤井叡王の今年度成績は3勝1敗です。

 本シリーズと並行しておこなわれている名人戦七番勝負は、第1局に続き、第2局も劇的な逆転で藤井名人が挑戦者・豊島将之九段を降しています。

 伊藤七段の今年度成績は2勝2敗です。

 直近の王将戦一次予選では、八代弥七段と対戦。八代七段先手で相掛かりとなったあと、中盤で伊藤七段が少しずつリード。最後は伊藤七段が八代玉の長手数の詰みを読み切って、鮮やかに勝ち切りました。

 藤井叡王と伊藤七段。今回もまた、充実の両者による名局を期待したいところです。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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