【速報】本日、食品ロス削減全国大会in徳島 食品ロス削減推進法施行後、初の開催
3度目となる食品ロス削減全国大会が、2019年10月30日、徳島市で開催された。13時に開会し、16時30分に閉会した。
2019年10月1日に食品ロス削減推進法が施行されて初の大会である。
「エシカルでひろげよう」をテーマに、トークセッションでは「ICTを活用した食品ロス削減」をテーマに議論された。
最初に、阿波おどりの歓迎パフォーマンスが行われた。
次いで、徳島県知事、徳島市長による主催者挨拶、来賓祝辞として内閣府副大臣の挨拶があった(環境大臣政務官は遅れて到着され、14時10分にご挨拶)。食品ロス削減推進法に尽力された、参議院議員の竹谷とし子さんも参加され、お名前のご紹介があった。
プレゼンテーションのトップバッターとして、全31店舗でフードバンク事業を進めている株式会社キョーエイが先進事例を発表した。
先進事例発表(1)株式会社キョーエイ
フードバンクとくしまへ食品を提供する事業を、県内全30店舗で実施している。23のNPO団体と提携があり、その中で、生活困窮者など、フードバンクを必要としている人がいたというのが背景にある。
販売期限の過ぎた、鮮度のよい農産物に加えて、加工食品とお菓子を、フードバンクに提供。始めるにあたっては、先にフードバンクへの協力をしていた、岡山県の天満屋ストアに指導を受けた。2019年の一年間で、11トン以上の食品を提供できる見込み。
株式会社キョーエイは、すきとく市を実施している。農産物を、生産者自らが価格設定し、キョーエイが売り場を提供して販売する仕組み。中間流通コストがかからず、規格外や少量ロットでも販売できる。始めた当初は生産者5名のみだったが、今では契約生産者は2,700名にものぼる。徳島県外でも、関西84店舗で、すきとく市を開催し、地産地消だけではなく、地産多消も実施している。この、すきとく市で残った、販売期限の過ぎた、鮮度の高い農産物も提供している。調理法がわかりづらい野菜についてはレシピを提供する。
これ以外にもフードポスト(フードドライブ)を検討しており、適正な発注や、恵方巻きなど季節商品の予約販売の構成比率の向上に努めている。
フードバンク事業のほかに、はっぴいエコプラザという資源ごみ回収事業を実施している。収益は全てNPO団体に提供し、障害者の自立と循環型社会を目指している。初年度は11トンだったが、2017年には1,580トンを回収することができた。
先進事例発表(2)上板町高志小学校
上板(かみいた)町高志(たかし)小学校は、農産物の収穫後損失を減らす取り組みを行っている。農産物を捨てずに学校給食で活用して減らそう、という取り組み。
3年生・4年生・6年生は、2019年7月に、人参や桃の収穫を行った。また、4年生の児童がフードドライブ(家庭で余っている食品を集めて必要なところへ届ける活動)を始めた。「もったいない」(という気持ち、意識)を広めようとしている。
次の3つの活動を続けている。
1、自分たちで野菜を育てて食べる体験
2年生は夏野菜を育てる取り組みを行った。自分たちで育てる体験をすることで、嫌いな野菜も食べられた。給食で出たナンカレーを完食。4年生は、自分たちで育てた人参で、人参ジュースを作って飲んだ。
2、食べ物の背景を学ぶ
うなぎ給食(うなぎどんぶりの給食)の前に、環境学習を行った。
うなぎのことを学ぶことで、平成28年度の食べ残しに比べて激減した。
また、親子調理実習を行った。親子での調理経験が少ない家庭が多いので、有意義だった。徳島産の野菜(人参、ブロッコリー)を美味しく食べることを目的にした。
フランス料理ライブキッチンで、フランス料理が出来上がるまでのプロセスを学習した。この学習により、好きでない野菜も美味しく食べることができた。東京の人から見た徳島野菜を知ることで、こどもたちが、徳島の良さに気づくことができた。
3、こどものニーズを捉え旬の食材を使う
9月から、4年生・5年生・6年生の児童と栄養教諭が話し合いをし、食べ残しが出ないメニューの提案をしてきた。その一つとして、4年生が開発した「さつまいものポタージュ」というメニューを、2019年10月31日に給食で提供予定。
先進事例の紹介のあと、基調講演。
基調講演
「マルチステークホルダーで取り組むエシカル消費と食品ロス削減」
特定非営利活動法人 ゼロ・ウェイストアカデミー理事長 坂野晶氏
○×クイズから始まった。使われてから15分で捨てられてしまうレジ袋のような容器包装もある。
「わたしたちは一年間にクレジットカード1枚分のプラスチックを食べているか?」というクイズでは、正解はバツだった。
だが、実は、わたしたちは、一週間にクレジットカード1枚分のプラスチックを(知らずに)食べている・・・という事例が紹介された。
食品ロスは、次の3つに分けて考えられる。
1、生産段階で捨てられている
2、消費者が捨てている
3、長く保存するための容器包装が使われ、そのごみを捨てている
食品ロスを減らすための取り組みは2つ。
1、そもそも抑制する
2、ロスが出てしまったものを活用する。
農家でどれくらい農産物が捨てられたか?これは、日本の食品ロスには含まれていない可能性が高い(筆者注:政府の統計値には含まれていないことを農林水産省により確認済み)。
地域でできることとして、私たちがやっていることは、ゼロウェイスト認証制度を作ること。スーパーが量り売りをするのはハードルが高いので、地域の飲食店と一緒に頑張っている。
一人でもできることとして、次のようなことが考えられる。
ものを買わない。レンタルやシェア。
家の冷蔵庫を見直す。
マイバッグ、マイボトル、マイストローなど、使い捨てにしない。
規格外や中古(セカンドハンド)をチェックする。
できれば近くで買う。
自分の持ち物の素材を知る。
プラスチックゼロの日をつくる。
相手に断る意思表示をはっきりする。
無意識にやっていることを立ち止まってみる。
トークセッション
テーマに「ICTを活用した食品ロス削減」を掲げて、下記のメンバーが登壇した。
コーディネーター
加渡いづみ氏 四国大学短期大学部ビジネス・コミュニケーション科教授
パネリスト
遠藤正道氏 株式会社NTTドコモ 法人ビジネス本部 第二法人営業部 BtoBtoX推進担当部長
本間基寛氏 一般財団法人日本気象協会 事業本部 防災ソリューション事業部専任主任技師
崎田裕子氏 全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会 会長
清田麻利子氏 特定非営利活動法人 フードバンクとくしま 理事長
北條誠治氏 四国化工機株式会社 食品事業生産本部 食品事業企画管理室 商品開発グループ グループ長
プログラム概要
主催:徳島県、徳島市、全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会
共催:環境省、農林水産省、消費者庁
会場:徳島グランヴィリオホテル
12時開場
12時45分
歓迎パフォーマンス
阿波おどり (阿波おどり振興協会所属の連合連)
13時
開会
主催者挨拶
徳島県知事 飯泉嘉門(いいずみ・かもん)氏
徳島市長 遠藤彰良(えんどう・あきよし)氏
来賓挨拶
内閣府副大臣 大塚 拓氏
環境大臣政務官 加藤鮎子氏(スケジュール上、後で)
13時25分
先進事例発表
株式会社キョーエイ 専務取締役 埴渕恒平(はにぶち・こうへい)氏
上板町高志小学校 校長 武田國宏(たけだ・くにひろ)氏
14時5分
基調講演
「マルチステークホルダーで取り組むエシカル消費と食品ロス削減」
特定非営利活動法人 ゼロ・ウェイストアカデミー理事長 坂野晶(さかの・あきら)氏
15時5分
トークセッション
テーマ「ICTを活用した食品ロス削減」
コーディネーター
加渡いづみ氏 四国大学短期大学部ビジネス・コミュニケーション科教授
パネリスト
遠藤正道氏 株式会社NTTドコモ 法人ビジネス本部 第二法人営業部 BtoBtoX推進担当部長
本間基寛氏 一般財団法人日本気象協会 事業本部 防災ソリューション事業部専任主任技師
崎田裕子氏 全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会 会長
清田麻利子氏 特定非営利活動法人 フードバンクとくしま 理事長
北條誠治氏 四国化工機株式会社 食品事業生産本部 食品事業企画管理室 商品開発グループ グループ長
16時15分
大会宣言
徳島市佐古小学校
徳島市南部中学校
徳島文理高等学校
16時30分
閉会
取材を終えて
盛りだくさんの大会だった。2017年に開催された初回の長野県松本市、2018年に京都市で開催された第二回と、今回で3回目の食品ロス全国大会を経験した。どの開催地も、地元色をうまく出しており、登壇者も地元の方中心にされているので、毎回、新たな発見がある。パネルディスカッションでの「ディスカッション」の時間がもう少し長くなり、登壇者同士の議論が生まれるような、余裕を持ったスケジュールになれば、さらに充実すると思う。