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竜王戦ドリームなるか? 伊藤匠五段(19)本戦開幕局で佐々木大地七段(27)に勝利!

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 6月28日。東京・将棋会館において第35期竜王戦決勝トーナメント▲佐々木大地七段(5組優勝、27歳)-△伊藤匠五段(6組優勝、19歳)戦がおこなわれました。

 佐々木七段先手で、戦型は相掛かり。角交換のあと互いに自陣に角を打ち合って、力のこもった中盤戦が続きました。

 100手を超えてもなお、形勢の針はどちらにも大きく傾かず、ほぼ互角の状態が長く続きます。

 佐々木七段は馬(成角)で伊藤五段の飛車を追いました。その手順を繰り返せば、千日手の可能性も生じてきます。

 112手目の時点で、持ち時間5時間のうち、残りは佐々木30分、伊藤14分。佐々木七段は手を代えて、千日手を選びませんでした。しかしそのあたりから、形勢は伊藤五段が次第にリードしていきます。

 下段の佐々木玉に対して伊藤五段は上から押していく、理想的な寄せ形を作ります。一方で伊藤玉は銀冠の堅陣が残ってすぐには寄らない形。最後は佐々木七段が攻防ともに見込みなしと見て、投了。22時28分、132手での終局となりました。

 熱戦を制して勝ち上がった伊藤五段。このまま波に乗って「竜王戦ドリーム」をつかむことができるでしょうか。次戦は大橋貴洸六段(4組優勝、29歳)と対局します。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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