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世界一強い将棋AIは? コンピュータたちの熱い戦い、第5回電竜戦! 11月30日・12月1日開催

松本博文将棋ライター
(画像提供:NPO法人AI電竜戦プロジェクト)

 人間界では現在、藤井聡太竜王(七冠)と佐々木勇気八段の竜王戦七番勝負が佳境を迎えています。

 一方、コンピュータ将棋界の方でも、これから熱い戦いの幕が開こうとしています。それが11月30日・12月1日に開催される、文部科学大臣杯第5回世界将棋AI電竜戦です。

 詳細は電竜戦公式チャンネルをご覧ください。

 解説はコンピュータ将棋に造詣の深い勝又清和七段。聞き手は将棋系Vtuberの鷺宮ローランさんと真澤千星さんが務めます。

 今回の見どころについては、水匠開発者のたややんさんが紹介しています。

 休日のひととき、将棋AIたちが繰り広げる激闘の観戦はいかがでしょうか。

向上し続ける将棋AI、変わらぬ開発者たちの情熱

 現在のコンピュータ将棋界は、世界コンピュータ将棋選手権(WCSC、毎年5月開催)と、この電竜戦が2つの大きな競技会です。

 すでに恐ろしいまでに強くなった将棋AIですが、現在も強豪からエンジョイ勢まで、多くの開発者たちが、これらの大会を目標にして開発を続けています。その情熱が織りなす人間的なドラマもまた、この世界の見どころの一つです。

 電竜戦1日目の予選リーグは、スイス式7回戦。2日目の決勝リーグは総当たり9回戦となります。

 統計上、将棋は先手番がわずかに有利で、人間同士では52%前後の勝率となります。現代の強豪AI同士では先手番有利の傾向がさらに顕著にあらわれるため、本大会では1回戦ごに、互いに先手1局と後手1局を1セット(表と裏)としておこないます。

 第4回大会は昨年12月2日、3日におこなわれました。

 ハイレベルな戦いの中で白星を重ねていったのが、dlshogi with HEROZと水匠。両者は最終9回戦に対戦。互いに先手番を取り合って1勝ずつをあげ、わずかな差で水匠が優勝を飾りました。

 予選の▲dlshogi with HEROZ-△水匠戦であらわれた角換わり腰掛け銀の進行は定跡となり、のちに▲千田翔太七段(現八段)-△羽生善治九段(B級1組順位戦)の対局でも現れています。

 現代将棋の最前線をフォローする上でも、本大会の観戦は必須といえそうです。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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