米大統領就任式で女性陣が紫色の衣装を着用した意味
アメリカ大統領就任式が1月20日、首都ワシントンで開かれ、ジョー・バイデン氏が第46代米大統領に就任した。
大統領就任式では女性陣の服装に目が行った。カマラ・ハリス副大統領とミシェル・オバマ元大統領夫人、ヒラリー・クリントン元国務長官が紫色(パープル)系のコートなどを着用したことだ。
なぜハリス氏をはじめ、女性陣は紫色の衣装を着用したのだろうか。
紫色は、米2大政党のカラーである青と赤の混ぜ合わせ(ミックス)の色で、連帯や超党派の精神、結束、融和を象徴している。
そして、ハリス氏が尊敬する故・シャーリー・チザム氏のテーマカラーが紫だったからだ。チザム氏は1972年に民主党の大統領候補指名予備選挙に、米2大政党では初めてのアフリカ系アメリカ人候補、また民主党として初めての女性候補として出馬した。選挙スローガンには「unbought and unbossed」(誰にも買収されていない、誰の指図も受けていない)を掲げた。
チザム氏は1968年にアフリカ系アメリカ人女性として初めて下院議員に当選以来、ニューヨーク州の下院議員として7期14年間を務めた。
ハリス氏は人種と性別の壁を崩してきたチザム氏を敬い、2019年の自らの大統領選挙キャンペーンの時から紫色の衣装をしばしば着用してきた。昨年5月には、マサチューセッツ州選出の初のアフリカ系アメリカ人女性下院議員のアヤンナ・プレスリー氏と自らの現在は、偉大なチザム氏の功績のおかげであるとツイートした。
ハリス氏は昨年11月7日夜の大統領選勝利演説でも、「黒人女性、アジア人、白人、ラテン、先住民の女性たちのことを思う。彼女たちが歴史を通じて、まさにこの瞬間への道を切り拓いてくれた。たくさんの女性が平等、自由、正義のために戦い、犠牲になった」「先人の大変な努力のおかげで今の自分がある」と述べた。ハリス氏は権利獲得のため、たゆまぬ努力をした先人たちに常に敬意を表してきた。
大統領就任式で女性陣が紫色の衣装を着用したとのニュースは、米メディアでも報じられている。
Why Kamala Harris, Michelle Obama, and Hillary Clinton All Wore Purple to the Inauguration
バイデン大統領は就任演説でunity(結束)やtogether(一緒に)という言葉を何度も使った。トランプ政権下で著しく深まった分断と憎しみ、傷を癒やし、米国民の結束と融和を訴えた。
ハリス、オバマ、クリントンの女性陣3人もパープル系の洋服を着て、人種差別解消や党派対立克服のためにアメリカ国民の団結や国内融和を呼びかけたものとみられる。
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