「時代の流れに逆行してます」神戸で一番古いアイリッシュパブが、愛され続けている理由【神戸市】
先日、三宮のとあるパブで行われていたDJイベント。お店の外からガラス越しに中を覗くと、その狭い空間は人で溢れかえっていました。
中に入ると音楽が大音量で流れていて、カウンター横のDJブースではレコードを選ぶDJが、今流している曲のジャケットをレコードプレイヤーの隣に立てかけています。
この日は「The AVERY'S IRISH PUB(エイバリーズ)」の17周年記念とあって、お店はお祝いに駆けつけた常連客で大賑わい。
突然サプライズが始まり、誕生日をお祝いしたりととにかく皆がこの日を心から楽しんでいる雰囲気です。
エイバリーズは神戸で一番古いアイリッシュパブ。こういったイベントは不定期で、普段は野球やサッカーの生中継がモニターで流れ、お客さんはその試合に一喜一憂して盛り上がりながらお酒を飲んでいたり、静かに語り合う日などもあるようです。
音楽は常に流れていて、たまに自分でレコードをかけるお客さんも。ここではカメラで読み込める「レコードライブラリー」があって、その中から曲をリクエストするとレコードをかけてもらえるのだとか。
「若い子たちが感動してくれるんですよ、レコード聴くの初めてだから」と教えてくれたのは、マネージャーの良さん。
去年2月に、店の音響を良く変えようとしてレコードデッキも購入。まず30枚ほどのレコードを店に置くと、常連さんたちが自分の家に眠っていたレコードを持ってきてくれ始め、今ではもう600枚ほどあるのだそう。
「元々は、街の中にフラッと立ち寄れる場所があれば皆喜ぶだろうからという理由で、オーナーがここでパブを始めたんです」
「家に帰る前のサラリーマンや、待ち合わせしている人がその前後に気軽に立ち寄れる場所になれたらと。パブはセカンドハウスであり、寄り合い所でもあるから」
良さんの言葉の通り、皆さん自分のタイミングで入れ替わり立ち替わり、一杯飲んではさっと帰ったり周りのお客さんとコミュニケーションを取ったりとそれぞれに過ごしている様子です。
「キャッシュオンだから、その人のさじ加減でいけるから、お客さんが主導になれるのがこのお店のいいところかな。演劇に例えたらここはステージで、お客さんは登場人物。みんなが主役になれる場所ですね」と。
なるほど、だからお客の皆さんはキャラが少しばかり濃いめなのですね。そんな、見ていて面白い空間がここにはあります。
ここでぜひ飲んでみて欲しいのは、アイルランドが発祥の地であるギネスビール。そのクリーミーな泡の上にはアイルランドのシンボルマークである三つ葉のクローバー「シャムロック」が描かれていました。
お仕事帰りにグイッと一杯、心がゆるむ幸せなひととき。「何を飲むか」ではなく「誰と飲むか」ということを大事にしてきたエイバリーズだからこそ、人々が自然とここに集ってくるのでしょうね。常連客に愛され続けて今や神戸で一番古い老舗パブとなりました。
雰囲気ある内装は、100年前の床板を使っていたり、150年前のドアをリペアしたものだったり。テーブルやカウンターなどは古いものに見立てて作られたオリジナルの家具。リアルと作り込んだものを合わせて古いパブを再現したのだとか。
アイリッシュコーヒーを注文すると、サイフォンでコーヒーを入れ始めたので驚きました。まるで純喫茶です、これはエモいですね。コーヒー豆も「リマコーヒー」の豆を使っていて、かなりこだわりがある様子。
「ほんと時代に逆行してますよね、レコードといい、サイフォンといい。ちなみにうちはタバコも吸えます。実は一度禁煙にしようとした所、常連さんから大反対にあって戻しました」と、良さんは笑います。
さて、DJイベントも終盤にさしかかってきました。愛知から今日のためにやって来た「DJ TOM」がレコードをまわします。名古屋でラジオ番組を持ちながら、海外もあちこち飛び回って活躍中という彼。
続いて、エイバリーズを我がホームと呼ぶ「TAKANORI OZAKI」がギターアクションで盛り上がりながらのDJ。彼は以前、日本に帰国する前はL.A.で音楽をやっていたのだとか。
エイバリーズの夜はまだまだこれから。もしレコードが気になったのなら、一度曲をリクエストしがてら飲みに行ってみませんか?ギネスももちろん美味しいですが、アイリッシュコーヒーもおすすめですよ。
The AVERY'S IRISH PUB(エイバリーズ)
営業時間:月〜金 17:00 - 1:00
土日 15:00 - 1:00
※祝日は基本15:00open
電話:0783912757
場所:兵庫県神戸市中央区北長狭通1丁目10番地9号 生田新道ビル1F