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全身真っ白の集団が公園をジャック!約650名が突如として街中でディナーを始めたらこうなった【神戸市】

Hinata Yoshioka旅するフォト&ライター(神戸市)

先日、東遊園地でとても興味深いイベントが行われました。その名も「神戸ホワイトディナー」

真っ白な格好をした人々が総勢650名集まり、街中で突如ディナータイムを始めるというかなりブッ飛んだ企画。その気になる全貌をレポートしますね。

このイベントは、参加者の皆さんがおウチから会場まで全身白色の格好でやって来るところから始まります。

そして彼らが運んでくるのは美味しい料理やワインなどをはじめ、お皿やカトラリー、ワイングラス、そして装飾など全てです。

そう、このイベントはあらかじめ用意された物で楽しむ「受け身的」なものではなく、自分たちの手によってクリエイトしていく「自己発信型」のイベント。

元々は、実行委員長の福岡さんがパリで始まった「ディネ・アン・ブラン」のN.Y.での開催動画を見て感銘を受け、それを神戸でもできないかと提案したことから始まったと言います。会場を変えながら今回で8回目の開催なのだとか。

会場の公園内にはテーブル、椅子が並び、そこから飾り付けがスタートしています。各テーブルごとの個性がとにかく素晴らしい。そのクオリティーの凄さには圧倒されるものがありました。

お花をあしらい、バルーンや立体装飾で空間が次第にエレガントに変化していきます。それを見ているだけでも面白いのですが、これはもうディナーというかアートの域ですね。

老若男女分け隔てなく、チームごとに皆で協力し合って空間を作り上げていく素晴らしさ。そしてこの暑さなのに誰も文句も言わず、自ら進んで笑顔で役目をこなしているような姿に、このイベントの本質を見た気がします。

お料理は手作りのものから、ケイタリングで用意されたものまで様々。もちろん買ってきたお弁当などの持ち込みでもOK。

どのテーブルもそれぞれです。色鮮やかでどれも美味しそう、中には「映え」の究極形のようなテーブルも。

さて、いよいよディナー開始の時間となりました。ステージで「乾杯!」と、声高らかに白ワインのグラスを空高く掲げたのは神戸市長の久元喜造さん。それに合わせて総勢650名の人々が一斉に乾杯!

その光景は本当に圧巻でした、こんなに沢山の人と乾杯を分かち合える幸せ。皆さん各テーブルで乾杯してから周りのテーブルとも笑顔で乾杯を交わしています。グラスの合わさる音が楽しげに鳴り響く会場。

会場には色んな参加者さんがいましたが、どんな人が参加しているのかとても気になりますよね。では早速テーブルをまわってみましょう。

「とにかくお金をかけずにどう豪華に見せるか」を楽しんでいたのは、彫刻家、書家、シンガー、ディレクター、神社の権禰宜、画家などが集ったアーティスト集団。

どことなくオーラがあり既に目立っていた彼らですが、書家の作品をテーブルに敷いたり、彫刻家の作品が飾られていたりと、テーブル上が発表の場ともなっているような素敵空間になっていました。

こんな風にふたり連れの小さなテーブルや、家族と友人で参加したという小さなグループなどもあり色んなスタイルでの参加があるようですが、とにかく皆さん自由に楽しんでいらっしゃる様子。お誕生日の人もいたようですよ。

普段は大阪で「水辺の活性化」の活動をしていて、今回は初参加したという人も。自分の街でも同じようにできないかと思って体験しに来てみたのだそうですよ。神戸での取り組みが、大阪にまで噂となって届いているなんて凄いですね。ちなみに彼女たちのテーブルのテーマは「グリーン」だそうです。

外国の方々も沢山いらっしゃいました。神戸に住む人も多いようです。その中には神戸のアンバサダーをやっているという方も何名かいらっしゃって、さすが港町神戸といった様子。

テーブルには、シニアの方々もいらっしゃいました。お孫さんたちも集まり3世代での参加。神戸を作り上げてこられた先輩方からのお話に、長い時の流れを感じます。お話を聞かせて下さった女性は73歳で、このイベントには初回からずっと参加されているのだとか。

「神戸という街を見てきているので、戦後からずっと、貿易の時代からね。神戸が盛り上がっていけば本当にいいなと思って。だからこういうイベントなどは先頭に立ってどんどんやっていってあげなきゃって、歳がいっても若い子たちがやっていることをバックアップして応援してあげたいと思って頑張っていますよ」と、素敵な笑顔です。

ミュージシャンたちが、演奏しながら各テーブルをまわっています。生演奏に沸く人々、立ち上がって踊ったり手拍子したりと愉快そうです。

市長さんも色んな人と入れ替わり立ち替わり笑顔でお話をされています。肩書も年齢も国境も超えて楽しめる空間が、街のど真ん中に出現した面白さといったらないですね。

そろそろ夕方、空が美しい黄金色に変化してきましたよ。高層ビルに囲まれた中のオアシス、木々の緑とビルのコントラストも面白いですね。街と自然の調和を感じる空間、その中に人々が集い楽しい時を過ごしているという世界観。神戸って素敵だなぁと思えたひとときです。

この後、演奏しながら客席を練り歩きステージまで向かった「Aco106」ですが、観客のノリが良すぎて皆さん次々とステージに上り、我が主役と言わんばかりにダンスを始めました。そう、もちろん今日は参加者みんなが主役です!

そして夜になってからが更にこのイベントの本領発揮といったところで、夜の公園をオレンジの灯りが美しく彩っています。それにしてもゴージャス!

DJタイムも始まり、ドイツで活躍されているISAO SUDOさんの兄弟ユニット「SUDO BROTHERS」のDJタイムがスタート。心地よいダンスビートが会場中を包みます。

そろそろイベントも終わりに近づいて来ました。ちょっとだけ席についてシャンパンをひと口頂き、長かった今日一日を振り返ります。「このイベントは女性のパワーが凄いね、ホント女性あってのこのイベントだよ」と、しみじみ語る男性の言葉を思い出しました。

確かに女性たちが率先して飾り付けなどをして、とにかくキラキラと輝いていました。男性はそれをしっかりとサポートしているような、素敵な光景があちこちに見られた気がします。

そんな大人たちの真剣な遊びを、近くで見つつお手伝いをしていた子供たち。このイベントは、コミュニティーの形成にも繋がっていくような社会的要素も含んでいるように感じました。まるで神戸の未来が目に見えるかのようです。

「神戸の良さは人にある」というBE KOBEの精神を、リアルに実証するかのようなこのイベント。市民が街を所有する感覚を持ち、面白い街は自分たちで創るという気質が神戸という街の真価なのかもしれません。

この日、会場はとても素敵な笑顔で溢れていました。このイベントは誰もが自由に参加することができるのですが、参加はチケット制になっています。ライブなどのパフォーマンスなども見られるので参加協力費といったところ。

実行委員会もほぼ手弁当でやっているようでした。それも全ては、神戸をより面白い街にしたいという想いあってのこと。来年もやるそうなので、皆さんもお友達や友人を誘ってぜひご参加あれ!

ホワイトディナー2024 (外部リンク)
kobewhitedinner インスタグラム(外部リンク)
日時: 2024.5.18(土)
15:00〜20:00
場所: 東遊園地 芝生ひろば特設会場
(神戸市役所南側)
今年は終了いたしました、来年はぜひ参加して楽しんでみては!

旅するフォト&ライター(神戸市)

旅なしに人生は語れない、ノマド系フォトライター。国内から世界各国まであちこち歩きまわって取材する、体当たりレポートを得意とする。趣味は美味しいもの食べ歩き、料理、音楽、ダンス、ものづくり、イベント企画などなど、気になる物には何でも手を出してしまう。南国気質で、とにかくマイペースな自由人。

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