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神戸の夜って昔は暗くて怖かった!?薄暗い夜景から一変、街がキラキラと輝きだしたその理由とは【神戸市】

Hinata Yoshioka旅するフォト&ライター(神戸市)
※写真提供 LEM空間工房

街中のライティングが綺麗な神戸の街。それって実はけっこう最近の話なんですよ〜ということでその謎を解くべく、とある場所へ話を伺いに行ってみました。

発想力の高さでオリジナリティーのある商品を常に生み出し続けている「フェシリモ」という会社があります。その本社ビルで、毎月のようにトークイベントが開催されているのをご存知でしょうか。

今回で第321回目に当たるトークイベント「神戸学校」。今までの登壇者の顔ぶれはとにかくバラエティーに富んでいて、ここでしか聞けないようなマニアックなお話が聞けたのだろうなと思える顔ぶれがずらり。

今回のゲストは、神戸のメリケンパーク・フラワーロードや大阪御堂筋イルミネーションなどの夜間景観・照明デザインなどを手掛けられている長町志穂さんです。

長町さんは、ただ照明のデザインをするのではなく、地域の課題に沿って社会実験などを行いながら行政、専門家、地元と連携して「課題解決」することを大切にしているのだそう。

照明の役割は、過去と現在では大きく変化していて、安全や美しさのためだったものが、今は個性の視覚化や、楽しさという部分にあると言います。

「ライティングデザインは、何もつくらず何も壊さずにできます。照明を変えるだけ、つまり見せ方だけを変化させるのです」という言葉の通り、神戸の名谷駅前やHAT神戸などの実施例を写真で示しながら、次々と照明の持つ可能性を教えてくださいました。

神戸の街の照明を徐々に手がけていった長町さん。最初、夜のメリケンパークには誰も人がいなかったんですよと話します。

もはやBE KOBEがなかった頃のことは思い出せないくらいにあのモニュメントが馴染んでいますが、そういえば昔はメリケンパークはもっと暗かったかもと思い出しました。下の写真はその頃のものだそうで、確かに薄暗いですね。

※写真提供 LEM空間工房
※写真提供 LEM空間工房

開港150周年を機に街中の照明を手直しした所、今では夜たくさんの人が集ってゆっくりできる場所へと変化したのだそうですよ。

それも全部、長町さんたちが何年もの時間をかけて夜の調査を行ってみた結果の変化です。「そこにある一番大事なものを探す」ということを続けてきた長町さん。

※写真提供 LEM空間工房
※写真提供 LEM空間工房

写真を見ると確かに照明を変えただけで、夜歩くのさえ怖かったような空間が一変して、人々がくつろいでいる姿がうかがえます。そんなちょっとした変更で、街の雰囲気は変わると長町さんは言います。

例えば、橋にある鋳物の高欄の部分を照明で美しく見えるようにする。こちら、実は取り壊したほうがいいのではというお話もあったそうなのですが、昔からあるものは質が高いものが残っているのでそれを生かすようにするほうがいいと長町さんのアドバイスでこうなったそうです。

この光っている部分にはごく簡単なライトが取り付けられているというお話で、帰り道に通りかかったので下から覗き込んでみました。「ライティングを変えるだけで大丈夫、工事もいらずペタッと貼っただけのもので充分なんですよ」と長町さんは笑います。

それだけで、お金もほとんどかけずに雰囲気はダントツに良くなる。例えば名谷前の照明も、元々あった照明のポールはそのままにしてスポットライトにして下向きに変え、木を下から照らすようにライトを2個つけただけなのだそうで驚きです。

ライティングデザインで大切なのは、照明が主役にならないことなのだとか。木や石、街の様子などがちゃんと見えていることが大事なのだと言います。

※写真提供 LEM空間工房
※写真提供 LEM空間工房

例えばこちら、白い照明で照らされた木々や道路、真っ白でお化けが出そうな雰囲気ですが、ライティングを少し変えるだけで…

※写真提供 LEM空間工房
※写真提供 LEM空間工房

オレンジ色の灯りで暖かみがあり、木々の様子も柔らかくて落ち着く雰囲気になっていますね。木々に守られているかのような気にさえなってきて、まるでマジック!

他の都市と比べても神戸は進んでいて、以前のような白い照明は神戸ではもうほとんど見られなくなっているそうですが、「まだの場所があったら通報してもらってもいいですよ」と言う長町さんの言葉に会場は爆笑。ユーモアたっぷりのお話で全く飽きさせません。

※写真提供 LEM空間工房
※写真提供 LEM空間工房

そうそう、話は変わりますがメリケンパーク一帯の照明色の変化の連動を実験的に行っている段階だそうで、もうすぐお目見えするそうですよ。かなり楽しみですね。

お話がおもしろ過ぎてあっという間に時間が過ぎ去ってしまいました。次回の神戸学校の予定は6月29日、映像ディレクターの「高瀬祐介」さん、7月27日は株式会社CAMPFIRE代表取締役の「家入一真」さんが決定しています。

ちなみにこの日の記念撮影。フェリシモの皆さんと長町さんとのショットですが、真面目な一枚を撮った後の最後の写真がこちら。

とても自由で伸び伸びしている雰囲気から、フェリシモのプロダクトの自由な発想力はこういった所からきているのかもと確信しました。

神戸学校の講師の選定も、一体誰がされているのだろうと思うくらい個性豊かなので、フェリシモセレクトの「神戸学校」のお話は聞きに行って損はないと思いますよ!皆さんもぜひ一度、参加してみては。

フェリシモ「神戸学校」(外部リンク)
参加のご予約はこちらから↑
お問い合わせ:
神戸学校事務局 078-325-5727
(平日と開催日の土曜10:00-17:00)
※神戸学校開催当日のお問い合わせもこちらの番号までお問い合わせください
場所:兵庫県神戸市中央区新港町 Stage Felissimo, 7-1

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旅するフォト&ライター(神戸市)

旅なしに人生は語れない、ノマド系フォトライター。国内から世界各国まであちこち歩きまわって取材する、体当たりレポートを得意とする。趣味は美味しいもの食べ歩き、料理、音楽、ダンス、ものづくり、イベント企画などなど、気になる物には何でも手を出してしまう。南国気質で、とにかくマイペースな自由人。

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