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【秋田県大仙市】熱燗におでん、〆はお茶漬けで晩冬をゆく!大曲丸の内の人情酒場『美春』とは?

KANEYANライター/地域クリエイター(大仙市・横手市・仙北市・仙北郡)

酒呑み人の安息の地!大曲丸の内エリアで長年愛されている『美春』とは?

微かに春の足音が聞こえ始めた晩冬の夜、私は大曲の繁華街にある酒場へと向かった。長年に渡り大曲の酒呑み人に愛されている名店『美春』である。

風情のある暖簾をくぐり店内に入ると、親切なご主人と女将さんが迎えてくれた。さっそく私はカウンターに腰をおろし、瓶ビールを注文。大曲で一杯ひっかけた後に〆のラーメンやお茶漬けを求めやってくるお客さんも多い『美春』だが、今日の私はこの老舗酒場でじっくりと「ひとり酒」を楽しもうという魂胆だ。

まずは瓶ビール(600円)で乾杯
まずは瓶ビール(600円)で乾杯

お通しの鯵から感じる名店の予感
お通しの鯵から感じる名店の予感

今宵、まずはビールで乾杯といこう。お通しの鯵は身が締まっており、下に隠れているキュウリとの相性も抜群だ。お通しから感じる名店の予感。旨い鯵を頬張りつつ目の前のコップを空にした私は、さっそく品書きに目をやった。

品書き(一品料理・お酒類など)

品書き(一品料理・お酒類など)
品書き(一品料理・お酒類など)

一品料理

シューマイ:600円、とりわさ:500円、なめこおろし:500円、おでん:500円、ししゃも:500円、冷ややっこ:500円

お酒類

ビール:600円、生ビール大:800円、生ビール中:600円、各種チューハイ:500円、熱燗(出羽鶴):300円、冷酒(高清水辛口):800円

〆は『美春』名物のお茶漬けを頼もうと心に決めている私だが、その前にまずは酒の世界に浸ろう。一品料理は、おでんとりわさなど酒呑みのハートをくすぐるメニューが並ぶ。寒い冬に恋しくなる熱燗が300円とリーズナブルなのも嬉しい。

おでんをアテに熱燗を呑みながら春を待つ!人情酒場で過ごす晩冬の夜とは?

シューマイ:600円
シューマイ:600円

まず私が注文したのは好物のシューマイだ。肉の旨味がしっかりと感じられるこの逸品をビールで流し込む。ああ、幸せ。ひとり旨い酒とアテで酔いしれる私の隣では、他の店で一杯ひっかけてきたお父さんが〆にラーメンを注文。……と思いきや、すかさず「ビールも1本けれ」との声も。わかるわかる。この店に来たら〆るつもりでも、ついつい酒が欲しくなる。

熱燗(出羽鶴):300円
熱燗(出羽鶴):300円

冷えた瓶ビールを空にして俄然勢いがついた私は熱燗へとシフト。こいつに合わせるのは冬の風物詩・おでんだ。

おでん:500円
おでん:500円

大根、ちくわ、煮卵にさつま揚げ。旨い出汁をまとった精鋭たちを熱い酒で迎え撃つ。良い塩梅で煮込まれた大根は、私の口の中でとろけて消えた。

熱燗とおでんの最強コンビで晩冬をゆく
熱燗とおでんの最強コンビで晩冬をゆく

「お酒、もう一本ください」

おでんをアテに熱燗を呑みながら春を待つ2月の夜。ひとり幸せに浸る私だが、気づくと休日前の店内は大盛況。老舗の酒場に轟く大曲の酒呑みたちの賑やかな声を聞きながら、私はおでんの汁をチェイサーに日本酒をチビチビ。酒呑みの上級者は、時にこんな芸当を行うものである。

さて良い感じに酔ってきたところで、そろそろ〆へと進もうか。

品書き(そば、うどん、ラーメン、お茶漬けなど)

品書き(食事)
品書き(食事)

そば

天そば:800円、月見そば:600円、山かけそば:700円、肉そば:800円、カレーそば:700円、冷やかけそば:700円、冷やし納豆そば:800円、冷やし山かけ:800円など。

うどん

天うどん:800円、月見うどん:600円、山かけうどん:700円、肉うどん:800円、カレーうどん:700円、鍋焼きうどん(エビ天入り):1,000円など。

ラーメン

ラーメン:700円、カレーラーメン:800円、チャーシューメン:900円、ザル中華:700円

やきそば

やきそば:800円、カレーやきそば:900円

おにぎり

さけたらこすじこおかかこんぶうめうに:各3個600円(1個でも注文可)

お茶漬け

サケ茶漬け梅茶漬けたらこ茶漬けすじこ茶漬け:各700円

その他

特製カレーライス(ひき肉のカレー):800円、牛丼(卵、みそ汁付き):800円、なめこ汁:300円、わかめ汁:300円、かに雑炊:800円など。

そばうどんラーメンカレー。お茶漬けのほかにも、〆に食べたい役者が勢ぞろいの美春。私は品書きを見つめながら、すっかり思案モードだ。

「ラーメンください!」

「かに雑炊ふたつ!」

「私は冷やし納豆そば!」

座敷の団体さんから聞こえてくる声に耳を澄ましながら、品書きと対峙する私。正直全部気になるが、ここは初心貫徹、お茶漬けでファイナルアンサーだ。

人情酒場に轟くお客さんの笑い声!〆のお茶漬けを味わいながら感じたコロナ禍の夜明けとは?

すじこ茶漬け:700円
すじこ茶漬け:700円

すじこ茶漬けが到着。〆の一品に迷った私だったがこいつは大正解。たっぷりのすじこと一緒にご飯を掬い口に運べば、心も体もじんわりと温まる。定番のラーメンで〆るのもいいが、本格的なお茶漬けで飾るフィナーレも悪くない。そんなことを思いながら、せっせとレンゲを動かす私だ。

料理の味もさることながら居心地の良い名店だ
料理の味もさることながら居心地の良い名店だ

数年前、コロナ禍ですっかり活気の無くなった大曲丸の内を歩きながら、私は一抹の寂しさを感じていた。大曲の中心部を覆う閉塞感。灯りの消えた飲食店を見渡しながら歩く私の足音も、どこか重たかった。

「ああ、また戻ってきましたね」

そして2023年の2月、気づくと私はこんな言葉を女将さんに投げかけていた。

〆のお茶漬けを味わいながら感じたコロナ禍の夜明け。再び大曲の街は、息を吹き返そうとしている。

酒呑み人の安息の地『美春』が私にそう教えてくれた。

【店舗情報】
美春
住所:秋田県大仙市大曲丸の内町5-28
営業時間:19時~25時
電話番号:0187-63-2693
定休日:日曜日

ライター/地域クリエイター(大仙市・横手市・仙北市・仙北郡)

大仙市在住のWEBライター。趣味は酒場巡り。現在はYahoo!で地域情報を発信しているほか、秋田市のフリーペーパー「あおぽ」でグルメ記事の執筆や「大仙経済新聞」の運営にも携わっています。

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