切れない刃物も研ぎ直せば切れるようになる【刃物研ぎのコツ】
刃物は使っているうちに切れ味が落ちてしまいます。これは仕方がない事です。私がいつも使っている釣った魚を料理する時に使う刃物は定期的に研ぎ直しています。
定期的に研ぎ直すと言っても半年に1回位、それも切れ味が落ちてきたなと感じた時だけです。切れ味が落ちてもいないのに研ぐのは刃物が不必要に細るだけで刃物にとっては意味がありませんし良くもありません。
刃物の切れ味は刃物を構成する鋼材の種類と焼入れの品質で決まります。高級な鋼材を使った値段の高い刃物は焼入れの品質も高く研いだとき素晴らしい切れ味の刃になりそれが長く続くものです。逆に安価な刃物は鋼材と焼入れの質どちらもそれほど高くはなく、研いだ時に如何に切れ味の良い刃になるかと言う刃付け特性、研いだ刃の切れ味がどれだけ長持ちするかと言う刃持ち特性、このどちらもそれほど良好ではありません。しかし、切れ味が落ちたら研ぎ直せばそれなりに切れる刃物として実用的に使えます。
刃物の切れ味を調べる簡単な方法
刃物が切れるか否かを調べるには新聞紙などの紙を切ってみれば分かります。
新聞紙をまな板の上に置いてそこに刃物の刃を軽く押し当てます。
この状態で軽く押し当てたまま手前に引きます。切れる刃物なら新聞紙が切れているはずです。
今度は100円均一で購入した果物ナイフでやってみます。
同じように新聞紙に刃を軽く押し当て引いてみます。
新聞紙に傷は付いているが切れてはいません。
この切れない100均の果物ナイフでも研ぎ直せば切れるようになります。今回はこの100均の果物ナイフを研いでみましょう。
砥石の種類
刃物を研ぐ時には砥石を使います。砥石と言ってもいくつかの種類があります。入手しやすい砥石の種類としては下の写真の左側の人工石で出来た砥石、真ん中の天然石で作られた砥石、右側の金属ベースの砥石、この3種類の砥石はホームセンターなどで販売されています。
新たに購入するなら価格は少し高めですが金属ベースにダイヤモンドの粉末が塗られている上の写真の一番右側の砥石良いと思います。金属ベースのダイヤモンド砥石は実用一辺倒の砥石ですが平面性が良好で研磨力も高く長持ちする上に、裏と表の各面が粗さ違いになっていてひとつで二個分の砥石の役目を果たします。普段使いの刃物を研ぐ砥石としては重宝します。
砥石の目の粗さ細かさは番手(ばんて)と言う数値で表す事が多いです。400#(400番)は刃物を大まかに削る時に使ういわゆる荒砥です。普段の研ぎ直しでは余程の事がなければこちら面は使いません。
1000#(1000番)の側は中砥です。普段の研ぎ直しではこちら側だけを使います。尚、金属ベースの砥石にはいわゆる仕上げ砥がありません。普段使いの刃物では仕上げ砥まで使って研ぐ必要がそれほど無いからなのかも知れません。そう言った意味で金属ベースの砥石は美術刃や観賞用の高級ナイフを研ぐには向いていません。
刃物研ぎのコツ
刃物を研ぐ時は刃付けされた刃の角度を良く確認して、この角度で刃物を砥石に当てます。今回研ぐ100均の果物ナイフの研ぐ部分(刃付けされている部分)は下の写真の黄色矢印で示した黄色線で囲まれた部分です。
要するに研ぎたい面が砥石の表面にピタリと付いている状態を常に保ったまま刃物を砥石面の上で滑らせます。これが刃物研ぎのとても大切なポイントです。
研ぐ面が浮き上がったり逆に立ってしまったりすると、ひどい時には研ぐ事が逆効果になり「研ぐ前より研いだあとの方が切れない」などと言う本末転倒な結果になってしまいます。
研ぐ時には砥石に水を掛けながら研ぎます。
刃物の角度を保持したまま下の写真の黄色い矢印の方向に砥石の上を刃物を滑らせます。この時、刃物を砥石に強く押し当てる必要はありません。力を入れ過ぎると刃を保持する角度(研ぐ面が砥石とピタリと接するような角度)が動いてしまい刃物の刃付け面が湾曲したいわゆるハマグリ刃になってしまいます。ナイフや包丁などの刃の薄い刃物ではハマグリ刃になると切れ味は極端に落ちてしまいます。矢印の方向に滑らす時はほんの少し押し当てる力をかけて、戻る時には力を抜いて、これをテンポ良く数回繰り返します。
刃物を砥石の上で数回滑らせて研いだら、研いだ面を確認します。研いだ面に光が当たるようにして見ると研ぎ方の良し悪しが確認できます。刃物の研いだ面が真っ平らであれば研ぎは上手くいっています。
ナイフなど両側から刃付けされている刃物はは片側が研げたら刃物を左右持ち変えてもう片側も同じように研ぎます。出刃包丁などの片刃の刃物は研ぐのは片面だけでOKです。
研ぎ終えたら試し切り
研ぎ直しが完了したら試し切りをしてみましょう。
研いだ直後の刃物は例え100均商品と言えども素晴らしい切れ味があります。
安価な刃物でも研ぎ直せば切れるようになります。但し、安価な刃物は前にも書きましたように鋼材と焼入れが優秀とは言えません。よって刃持ちが良くなく直ぐに切れなくなってしまいます。でも、その時はまた研ぎ直せば切れるようになります。直ぐに研ぎ直せる技術を身につければ100均ナイフだって何万円もする高価な刃物と同じくらいの切れ味を保つ事が出来るのです。
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