淡路島でファーム交流試合のT-G対決!初戦は打ち負けました《5/19 阪神ファーム》
兵庫県立淡路佐野運動公園(ボールパークあわじ)第1野球場で、阪神がウエスタン公式戦を毎年行うようになって、ことしで10年を迎えたそうです。また、いつも玉ねぎや淡路ビーフなど地元特産品を景品で提供してくださっている、主催の『淡路日の出農業協同組合』が合併25周年とのことで、その記念に巨人を迎えてのファーム交流試合開催になったと伺いました。
来場者も19日が2731人、20日は3225人で合わせて5956人。これは過去9年で一番多かった2016年5月(ソフトバンク2連戦)の5306人を超え、最多記録です。ほぼ毎年のように巨人ファームとは対戦しているものの、淡路では初めてですね。19日の始球式には阪神の掛布雅之SEAも登場しました。そのあたりは次の記事で書かせていただきます。
さて淡路での巨人2連戦、まず19日は先制しながら逆転を許した阪神ですが、終盤に岡崎太一選手の2点タイムリーで追いつきます。しかし9回に石崎剛投手がスクイズとタイムリーで失点して敗戦。きょう20日は、2回に陽川、中谷両選手の連続二塁打で1点を取り、それを馬場、青柳、山本、守屋、モレノの5投手が完封リレーで守りきりました!巨人の6安打に対し、阪神は3安打で勝っちゃったんですねえ。すごいなあ。
では19日の試合結果をご紹介しましょう。雨天中止になった試合が既にいくつか、それだけでなく降り続く雨の中で登板したこともある、2018年版のスーパー雨男・望月惇志投手が先発でした。1週間前から複数の天気予報サイトでチェックしていた望月投手ですが、早朝に雨は上がって天気も回復!途中から青空が広がり、無事に行われました。でも北よりの風が強くて、涼しいというより寒かったですね。
《ファーム交流試合》5月19日
阪神-巨人 1回戦 (淡路)
巨人 000 310 103 = 8
阪神 300 000 020 = 5
◆バッテリー
【阪神】望月-守屋-島本-伊藤和-●石崎(1敗) / 坂本-岡崎(9回表)
【巨人】今村(6回)-森福(1回)-○篠原(1勝)(1回)-Sアダメス(1勝1敗1S)(1回)/ 宇佐見
◆二塁打 神:陽川、中谷 巨:北村
◆盗塁 巨:松原(7)
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率
1]中:高山 (5-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .286
2]左:島田 (4-1-0 / 1-1 / 0 / 0) .252
3]遊:北條 (4-1-0 / 1-1 / 0 / 0) .228
4]三:陽川 (5-1-2 / 1-0 / 0 / 0) .220
5]右:中谷 (3-1-1 / 1-1 / 0 / 0) .193
6]一二:西田 (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .333
7]二:森越 (2-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .200
〃打一:今成 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .216
8]捕:坂本 (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .389
〃打:緒方 (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .228
〃投:石崎 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―
9]投:望月 (2-0-0 / 2-0 / 0 / 1) .000
〃投:守屋 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―
〃投:島本 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―
〃打:小宮山 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .346
〃投:伊藤和 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―
〃打捕:岡崎 (1-1-2 / 0-0 / 0 / 0) .351
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
望月 5回114球(8-3-5 / 4-3 / 1.88) 152
守屋 1回 15球 (1-2-0 / 0-0 / 2.45) 147
島本 1回 14球 (2-0-0 / 1-1 / 7.45) 137
伊藤和 1回 17球 (0-2-0 / 0-0 / 2.30) 141
石崎 1回 36球 (2-2-3 / 3-3 / 9.00) 146
《試合経過》※敬称略
打線は1回、高山の左前打、島田はショートの送球エラーを誘う当たりで二、三塁とし、北條が四球を選んで無死満塁。続く陽川が右中間へタイムリー二塁打!2人を還す4番の仕事です。なおも無死二、三塁で中谷が右犠飛。1回に3点を取る、上々の滑り出しでした。
先発の望月は1回、先頭の松原に中前打と盗塁を許し、1死後に田中俊の投ゴロで松原を挟殺。送球の間に田中俊は二塁へ。さらに四球と自身の牽制悪送球で2死一、三塁となりますが、マルティネスは捕邪飛に打ち取って無失点!2回、3回もヒットや四球で走者を出しながら抑えた望月。
ところが4回、連打と死球などで1死満塁とし、松原の左犠飛。また四球で満塁になって田中俊の中前タイムリーで2人生還。追いつかれました。5回は1死から四球とヒット、捕逸で二、三塁。2死後に北村のタイムリーを浴び、4対3と勝ち越しを許します。
望月は5回で114球を投げ、8安打4失点(自責3)で交代。6回は守屋が登板して先頭にヒットを打たれながら後続をビシッと断って無失点でした。しかし7回の島本は1死から柿澤に中前打(これで4打数4安打)され、犠打で2死二塁として、北村のタイムリー二塁打。これで5対3とリードされます。
8回は伊藤和が2奪三振の三者凡退!相変わらずの安定感ですね。1回に先制したあとは走者を出しながら得点できなかった打線が、その裏にようやくで反撃。1死から中谷が四球を選び、西田は左前打、2死後に代打・緒方の四球で満塁として、代打・岡崎が初球を打って中前タイムリー!2人が生還し、これで5対5の同点です。
そのままマスクをかぶった岡崎と石崎のバッテリーで迎えた9回。延長に入らないため、抑えれば阪神の負けはなくなるところでした。まず先頭を3球三振に仕留めて、でも次の脇谷に左前打と暴投、四球、死球であっという間に満塁となり、ここまでタイムリー2本の9番・北村が初球でスクイズ!
1点勝ち越され、なおも1死二、三塁で松原が中前タイムリー。2人を還し、この回3失点。8対5となって、最後の攻撃は、既にイースタンで8セーブを挙げているアダメスに対します。先頭の島田が足を生かした内野安打で出塁するも、北條は初球で三ゴロ(二塁封殺)、陽川と中谷は揃って見逃し三振で試合が終わりました。
今までで一番しんどい内容だった
矢野燿大監督の談話は、まず先発した望月投手について。名前は、監督がいつも呼んでいる“もっちー”で表示させていただきます。「フォアボールも多いし、決めにいくとこでハッキリとボールになったり、カウントも作れなかった。あのイニングで、あれだけ球数いくってことに現れている。今までで一番しんどいピッチングだったよね」
登板間隔が空いた影響はあったかとの問いに「それはもう言い訳できないでしょう。地方のマウンドというのも。性格的に、もっちーは(言い訳を)しないと思うけどね。やっぱり上でローテーション守って、しかもしっかり勝てるピッチャーは、どんな状況でも自分のピッチングができるようでないと。もっちーは中心的エースになる素材を、身体的にも内面の部分でも持ち合わせていると思うから」と矢野監督。
常に望月投手に対して出てくるのは「すごい“もの”を持っている」という評価です。でも「完成度がまだ。安定して勝てるとか、というところの中身はまだ足りない。けど、そこへ行くだけの素材は十二分に持っているから、こっちも我慢じゃないけど、球数も投げるところから何かわかってくるかもしれないし。逆に力が抜けるかもしれない」と。今なお成長の過程であるということでしょう。
球数の制限はなく「打順が回る4回で変えてもよかったんだけど、球数を多く投げるのは、これから1軍に上がって必要になってくる」ことを考慮しての、もう1イニングだったそうです。「バテるのは当たり前。体力だけではない、そこに技術も入っての“投球術”。ファウルさせない真っすぐとか、一発で空振りさせる変化球とか、カウントを取れるボールとか、1つ1つの精度があれば成り立ってくる。真っすぐのスピードは出るけど当てられたりする、そこが課題」
収穫がなかったことも次への教訓に
悪いところが出た、その中で収穫は?と聞かれた矢野監督。「きょうは何もないなあ、ほんまに。バントも失敗したやろ?セ・リーグはDHがないから(バントを失敗したら)自分のリズムも崩れちゃうしね。あとはストライク取りたいところで取れないし、追い込んでも粘られる。カウントを悪くして真っすぐ投げてヒットを打たれる。ほんと、きょうはいいとこなかった。まあ球数を投げられたって部分くらいしかないかな」
内容次第で次は1軍というマウンドだったかと思われますが。「まあ俺らの期待というか、ここまで順調に来ていたから。今回が初めてでしょう?状態的にも、内容がちょっと落ちたかな、という気がするのは。でも悲観するほどのことではないし、うまくいかなくて“くそっ、次!”という性格はしているから。逆に次の登板を楽しみにしたいなと思う。焦る必要はない」
今後については「ファームは人が多すぎて…。投げさせたいところで、なかなか投げられないという事情が」と矢野監督も苦笑いでした。「まあでも、なるべく優先させるだけのものは持っているから。ある程度、いい感覚では投げさせたいと思っている。起こったことは仕方ないから、次回どうするか。これを続けてしまうと、本人も“あれっ?”っていう感じになると思うので」
また高橋建投手コーチは「イニング、球数が増えるとしんどいことを教訓にしてほしい。でもよく粘っていた。次回にどう生かせるか、生かせたらしっかりやってくれると思います」という言葉でした。
猛省、のち前進あるのみ
では望月投手本人のコメントです。最初に「ちょっと、ゾーン以外のボール球から入る形も多かったですし、前回から修正できずに今回も結構ヒットの数が多かったですし。毎回ランナーが出ていたので、そういう場面での粘りが全然。ちょっと最後の方はダメだったかなと思います」と全体を振り返りました。
いつもより変化球が多かったような印象。それは試合前に決めて臨んだ?「特には。試合中に坂本さんから、ちょっと変化球を3つ続けてみたり、そういうのを入れていくというのは言われていました」。今までは真っすぐで押していく感じだったが。「でも練習中は、最近ずっと変化球を投げていますし」。真っすぐの走りという点では前回の方がよかった?「そうですね。走りもそうですし、まとまりも前回の方がよかったです」
スピードも140キロ中盤が多かったですね。「ボール、ボールで細かいコントロールを気にしてという、よくないところが出てしまったかなと思います」。きょうは悪いところが全部出たくらいの感じですか?「そうですね。牽制もダメでしたし、ストレートもあまり…。悪いとこが出たかなと。よかった部分でいうと、変化球を続けてみたりというのは、これまでなかったので。そういうところを試合で試せたのは、前回よりよかったと思います」
ところで打席はいつ以来?「去年、鳴尾浜で立っているんですよね。1回だけ。それ以来です」。2017年9月8日のソフトバンク戦で、先発ではなく岩貞投手のあと6回から2イニングを投げた際の、6回裏に回ってきたもの。結果は遊ゴロでした。失敗してしまったバントに関しては「やっぱりバント1つが大事になってくるので、これからもっと今まで以上に練習したい」と誓う望月投手です。
監督は“仕事人”・岡崎太一を絶賛!
ここでまた矢野監督の話に戻ります。9回に登板した石崎投手について「流れもあったけど、ズルズルいくのはよくないよね。あそこをスクイズの1点で止めるっていうのが最低限」と話しました。
「石崎自身、上でも勝ちパターンの中に入っていかなあかんピッチャーやから。そういうところでは最後のタイムリーがもったいないし、その前も言えばフォアボールとか。結果的にデッドボールになったのは仕方ないにしても、ズルズルといかないことが必要。最後は相手に弱みを見せるピッチングになっちゃったから。それは反省すべきところ」
1回、2回と続けてヒットが出た高山俊選手には「内容もしっかりしたものはあったし。継続しながら、あとはインコースの対応。きょうもうまく打った部分もあったけど、上に行けばそこらへんを攻められるからね。どうさばけるか。またファームに来て、走ることへの意識レベルも変わっていけるように。まだ若いし、もともと走れるものを持っているので。あいつの新しい何かになっていけばいいかな。こういうこともできるっていうふうに」と矢野監督。20日の試合では2つ盗塁を失敗したようですが、これでいいんですよね。
そして囲み取材が終わりかけたところで、矢野監督自ら「きょうもすごいところで打ったなあ!あれ一発で決めるってのがすごい」と岡崎太一選手のタイムリーを挙げました。
「代打で出ていって、対戦もそんなにしていないピッチャーでね。あれをみんなに言ってる。一発で決めると。見ていたら、だいだいファウルするやん。バンと振って、いいタイミングでファウルする。それじゃあ、やっぱり2軍止まり。いいバッターは一発!カーンと前に飛ばして終わり。追い込まれたら粘るけど。一発で、と口を酸っぱくして言っているけど、一発で決めたからなあ。あいつは準備もできている。そこの気持ちを見習ってほしい。いいところで、いい仕事している」
すべてに通じる準備力?
次に石崎投手の話をご紹介します。「同点の場面で出させてもらったので、タイムリーとか点を与えてしまったのは…。それが一番の反省です。やっぱり自信を持って投げなきゃいけないと、いろんな選手から言ってもらったところがあるので、それを生かせたら。その場面、場面を把握して」。助言をくれたのは岡崎選手や、見ていた選手たちだそうです。
矢野監督絶賛の岡崎選手に、すべては準備ができているから?と聞いたら「準備は常に。僕らはずっと試合に出させてもらっているわけではないので、1打席にかける準備はしています。あれしとけばよかった、これしとけばよかった、と思うようなことがなるべくないように。準備不足で臨むのだけはイヤなので」とキッパリ。
そして「そのあとをしっかりふんばれたらよかったんですけど…」と、自身がマスクをかぶって勝ち越しを許した、最終回の守りを悔いていました。
最後は1回に先制のタイムリー二塁打を放った陽川尚将選手。「打ったのは真っすぐだと思います。追い込まれていたし、三振はよくないので、犠牲フライでも、という気持ちで打席に立った」そうです。いつも言っているように、他の打席が不満?「もう少し内容のある打席にしたいです」。とはいえ、4番に座ると4番の仕事ができる陽川選手。昨年、ウエスタン・リーグの記録を大幅に更新した91打点は伊達じゃありませんからね。あとは1軍で。
<掲載写真は筆者撮影>