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車窓に広がる宍道湖!島根県、「出雲市―松江間43分」のチョイ乗り鉄道旅、2つの魅力

鉄道乗蔵鉄道ライター
宍道湖は日本屈指のシジミの産地だ(筆者撮影)

 ご縁のくに「島根県」。出雲大社のある出雲市と県庁のある松江市の間には、宍道湖の北側に一畑電車が、南側にはJR山陰本線が通っている。いずれの路線も宍道湖のすぐそばを走ることから車窓風景は抜群だ。一畑電車は電鉄出雲市―松江しんじ湖温泉間33.9kmを約1時間かけて結び、JR山陰本線の普通列車は出雲市―松江間32.7kmを43分ほどで結んでいる。運賃は一畑電車が700円、JRが590円となっており、ちょっとした楽しみにチョイ乗りするにはちょうど良い時間と距離だ。筆者は、そんな島根県の出雲市―松江間で、JR山陰本線の普通列車にチョイ乗りしたので、今回はその魅力を紹介したい。

始発列車で「出雲市―松江間」をチョイ乗り

午前6時前ほ出雲市駅はまだ暗かった(筆者撮影)
午前6時前ほ出雲市駅はまだ暗かった(筆者撮影)

 出雲市駅のある島根県出雲市は人口およそ17万人の島根県第二の都市だ。出雲市駅の朝は早い。始発列車は午前4時42分発の特急やくも2号でこの列車に乗れば岡山駅に7時41分に到着できる。さらに新幹線ののぞみ2号に乗り継げば新大阪駅には8時28分に到着でき大阪での朝イチでの会議の出席に間に合うことを想定したかのようなダイヤ設定となっている。筆者はそんな出雲市駅から、普通列車の始発列車となる6時3分発の米子行へと乗車し松江に向かう。

 山陰本線は出雲市駅からがICカード乗車券ICOCAの対応区間となっており、特急やくも号の運行区間に沿って伯備線を経由し山陽本線の岡山駅方面までICカード乗車券の利用ができる。3月下旬の午前6時頃の出雲市はまだ暗く、出雲市駅の2番ホームからは数名の乗客が米子行へと乗り込んだ。車両は2000年代初頭、島根県と鳥取県の財政援助によって投入された2両編成のキハ126形気動車だ。車内に乗り込むと車載型ICカードリーダーが取り付けてあったが、この車載機は米子駅と境港駅を結ぶ境線での運行時にのみ使用されるものであることから、山陰本線内では使用停止状態となっていた。列車は6時3分になり定刻通りに出雲市駅を発車。進行方向左手側の車窓には出雲市駅に隣接した一畑電車の電鉄出雲市駅のホームも見えた

出雲市―松江間、車窓風景2つの魅力

 出雲市―松江間の車窓の魅力は大きく2つが挙げられる。ひとつは、出雲市―宍道間の田園風景。そしてもう一つは宍道―松江間の宍道湖の車窓風景だ。

宍道ー松江間は宍道湖に近い場所を走る(筆者撮影)
宍道ー松江間は宍道湖に近い場所を走る(筆者撮影)

 出雲市駅を発車すると列車はしばらく市街地を走るが、数分で宍道湖に注ぐ斐伊川を渡ると車窓風景は大きく変わり、広大な田園風景が広がる。この出雲平野では島根県内でも特に農業生産力の高い地域であり、出雲市での農業産出額は、島根県全体の23%を占め、特にブドウやイチジクなどの果実の生産額では県全体の58%を占める果樹園地帯となっているようだ。そして、列車は6時21分に宍道駅に到着。宍道駅を過ぎると車窓風景は大きく変わり、一面に宍道湖の湖面が広がった。

 宍道湖は、シジミの産地として有名であるが、実はこの湖は淡水湖ではなく、大橋川や中海などを介して日本海と接続している汽水湖で海水の10分の1程度の塩分濃度があるという。この宍道湖で漁獲されるシジミは日本全国の漁獲量の4割以上を占め、国内屈指のシジミの生産地となっている。宍道湖の対岸には一畑電車の路線が通り、さらにその先には標高300~500mの山並みが日本海との間を隔てている。

松江市の街並み(筆者撮影)
松江市の街並み(筆者撮影)

 そして、列車は宍道湖の湖畔に面した区間を20分ほど走ると、島根県庁のある松江駅へと到着した。松江市はおよそ20万人の人口を擁する島根県の中心都市だ。

駅では「しまねっこ」のパネルがお出迎え

 松江駅では乗客の入れ替わりがあり、松江駅で列車を降りた筆者は米子方面へ発車する列車を見送った。そして、高架の松江駅のホームから改札口に向かう階段を降りるとそこには、島根県公式観光キャラクター「しまねっこ」のパネルが出迎えてくれた。

松江駅も高架駅だ(筆者撮影)
松江駅も高架駅だ(筆者撮影)

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。

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