主な新興国・米国経済ニュース(7月26日)
外務省、ロシア政府に対し廃車税めぐる協議を要請―WTO提訴視野に
外務省は24日、ロシア政府に対し、同国が国産車と特定の国(カザフスタンとベラルーシ)からの輸入車にだけ、廃車税を免除する余地を認めているのはWTO(世界貿易機関、加盟160カ国)協定に違反するとして、WTO協定に基づく協議を要請した。
この協議要請は、ロシア政府の廃車税の免除措置がWTO協定違反に当たるかどうかの検討をWTOパネル(第1審)に付託するのに先立つもの。外務省によると、ロシアの廃車税制度は2012年9月1日に、粗悪な中古車の処理を促進し環境を保護することを目的として導入されたが、現行制度は廃車税免除の余地をロシア国内生産車と、関税同盟関係にあるベラルーシやカザフスタンからの輸入車にだけ認め、その他の輸入車(中古車を含む)への免除の可能性が排除されている。このため、同制度はWTO協定に違反しているがある、としている。
モスクワ・タイムズ(電子版)によると、EU(欧州連合)も日本と同様に、ロシアの廃車税の免除措置はWTO協定に違反する恐れがあるとして、WTOに協議を申し入れている。ロシア政府が今後60日以内に日本やEUとの廃車制度の改善をめぐり合意できない場合に、日本とEUはWTOに審判を下すよう要請することになる。また、USTR(米国通商代表部)のマイケル・フローマン代表も先週、米国もロシア政府に対し同様な協議を行いたい考えを明らかにしている。
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ロシア中銀総裁、銀行の貸出金利の引き下げ措置検討へ―景気刺激で
ロシア中央銀行のエリビラ・ナビウリナ総裁は24日、ウラジーミル・プーチン大統領と会談した際、プーチン大統領が中銀に求めている金融政策を通じた景気刺激に関し、「中銀は金利水準を引き下げるための対策を取る。近い将来、銀行に金利を引き下げさせる措置を講じる必要がある」とし、銀行の貸出金利の引き下げを図りたい考えを示した。ロシアのプライム通信(電子版)が伝えた。
この点に関しては、中銀は12日の金融政策決定会合で主要政策金利であるリファイナンス金利を10カ月連続で現行の8.25%のまま据え置いた際に、新たに、銀行への流動性供給を潤沢にするため、期間12カ月で、最低入札金利(金融機関が入札可能な下限金利)を5.75%と低めに設定した、非流動性資産を担保にした貸し出しを15日から導入している。
エコノミストはこの5.75%という貸し出し金利は、既存の非流動性資産を担保にした同様な有担保貸し出し金利7.5%を1.75%引き下げたのに等しく、景気刺激に寄与すると見ている。
また、今後の中銀の金融政策の舵取りについて、インフレ抑制と銀行に対する監視を強化していくことを明らかにした。同総裁は、「中銀の重要な責務はインフレの低下を促す金融政策を目指すことだ。現在のインフレ率は中銀の物価目標である5‐6%上昇を上回っているが、今年末までにこの物価目標のレンジ内に戻ることを期待している」と述べている。
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トヨタ、インドネシア・カラワンに乗用車用エンジン工場建設へ
トヨタ自動車<7203.T>は24日、同社のインドネシア法人、トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・インドネシア(TMMIN)が西ジャワ州カラワンにある第1工場と第2工場の近くに乗用車向けエンジン工場を新設することを明らかにした。投資額は約230億円になる見通し。
生産開始は2016年前半で、生産能力は年間21万6000基となる。エンジン生産に伴い新工場では約400人の従業員を雇用する計画だ。トヨタはインドネシアでは1998年から操業を開始した第1工場ではSUV(スポーツ用多目的車)の「キジャンイノーバ」と「フォーチュナー」の2車種を年間11万台(今年9月から13万台)生産している。また、年内に第2工場で「エディオスファルコ」を年間7万台(2014年初めに12万台)生産する予定だ。
トヨタのインドネシアのエンジン工場としては、1973年に操業を開始した北ジャカルタにあるスンター第1工場があり、ピックアップトラック「ハイラックス」用のIMVエンジンを年間19万5000基生産している。トヨタは、声明文で、「スンター第1工場では、IMV用エンジンを生産し、アセアン、中南米、アフリカなどに輸出している。新工場で生産予定の乗用車エンジンについても、輸出する予定で、インドネシアは、今後もエンジンの重要な生産・供給拠点としての機能を拡大していく」としている。
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タイ石油公社、ベトナム・ビンディン省に最大級の石油精製所建設へ
タイ石油公社(PTT)はベトナム中南部ビンディン省のニョンホイ経済地区に、完成すればベトナム最大となる石油精製所を建設するため、同プロジェクトの資金調達と市場開拓、技術の3分野のコンサルティング業務に関する競争入札を実施する。同プロジェクトの投資額は270億‐280億ドル(約2.7兆‐2.8兆円)になる見通し。ベトナム通信(電子版)が24日に伝えた。
入札結果は8月初めにPTTとビンディン省当局によって発表される予定。同省ではこの入札とは別に、環境調査のために地元のコンサルティング会社を招へいするとしている。こうしたフィージビリティ(実現可能性)調査は終了するまでに6‐9カ月かかる見込み。
石油精製所の建設プ2016年から始められ、2020年半ばから商業生産に入る計画。年間の原油処理能力は3000万トンで、原油は中東やアフリカ、南米から輸入され、20種類以上の石油製品を生産し輸出するとしている。
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米フェイスブック、4‐6月期は330億円の最終黒字に転換―予想上回る
世界最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の米フェイスブックブック<FB>が24日に発表した13年4‐6月期決算は、携帯電話の広告収入の拡大が寄与して、最終損益が前年同期の1億5700万ドル(約160億円)の赤字から一転して3億3300万ドル(約330億円)の黒字となった。1株損益(希薄化後)も前年同期の8セントの赤字から13セントの黒字に転換した。また、調整後1株利益(株式報酬費(従業員へのストックオプションの交付費用)や法人所得税などを控除する前の利益)は19セントとなり、アナリスト予想の14セントを上回った。
売上高も昨年春から開始した携帯電話の広告収入が6億5560万ドルと、広告全体の売り上げの41%(1‐3月期は30%)に拡大したことで、前年比53%増の18億1000万ドル(約1810億円)となり、アナリスト予想の16億2000万ドル(約1620億円)を上回った。1カ月当たり利用者数(MAU)は6月末時点で前年比21%増の11億5000万人と急増し、同社の株価は25日午前9時時点(米東部時間)で、前日比29%高の34.25ドルとなっている。
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米携帯電話向け半導体大手クアルコム、4‐6月期最終利益は31%増
米携帯電話向け半導体大手クアルコム<QCOM>が24日に発表した13年度第3四半期(4‐6月期)決算は、携帯電話向け半導体の売り上げ増が寄与して、最終利益が前年比31%増の15億8000万ドル(約1580億円)、1株利益も同30%増の90セントとなった。また、調整後1株利益は1.03ドルとなり、アナリスト予想の91セントを上回った。
一方、売上高は同35%増の62億4000万ドル(約6240兆円)となり、アナリスト予想の60億5000万ドル(約6050億円)を上回った。また、同社は通期の業績見通しについて、売上高予想を前回発表時の240億‐250億ドル(約2.4兆‐2.5兆円)から今回は243億‐250億ドル(約2.43兆-2.5兆円)へ、また、1株利益(希薄化後)予想も4.4‐4.55ドルから4.48‐4.56ドルへいずれも上方修正した。同社の株価は25日午前10時現在(米東部時間)で前日比4.25%高の63.97ドルだった。
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アブダビ政府系ファンド、ブラジル鉄鉱石MMX鉱山買収に関心
今月1日にブラジル・カンポ・デ・トゥバラウン・アズル鉱区での石油生産中止を発表して以降、株価急落で経営問題に発展しているEBXグループは、経営再建策の一環として、傘下の鉄鉱石鉱山大手MMXの過半数の株式を売却する計画を進めているが、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビの政府系ファンド、ムバダラ・ディベロプメント・カンパニーとスイス資源大手エクストラータもMMXの買収に関心を寄せている。オ・エスタド・ジ・サンパウロ紙(電子版)が24日に伝えた。
これまでMMXの買収では、スイス商品取引大手グレンコア・インターナショナルやオランダ石油販売大手トラフィギュラの名前が挙がっていた。ブラジル大手週刊誌ベージャ(Veja)は、ムバダラはブラジルの匿名の物流会社とブラジル鉄道大手MRSロジスティカと共同で、MMXを買収する提案を行うと報じたが、MRSは買収の憶測を否定している。 (了)