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豊島将之挑戦者、ペースをつかんだか? 藤井聡太王位、筋違い角がはたらくか? 王位戦第2局1日目終了

松本博文将棋ライター
嵐山から見た北海道旭川の町並み(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

広瀬「18時になりましたので、藤井王位、次の手を封じてください」

藤井「封じます」

 7月13日。北海道旭川市・花月会館において、お~いお茶杯第62期王位戦七番勝負第2局▲豊島将之竜王(31歳)-△藤井聡太王位(18歳)戦。藤井王位が42手目を封じて、1日目の対局が終わりました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 戦型は角換わり早繰り銀。互いに端を突き越す駆け引きの末、後手の藤井二冠が先に動いていきます。

 31手目。豊島挑戦者は歩を打って藤井二冠の攻めの銀の態度を聞きました。

 藤井二冠がなおも攻めてきたら、筋違い角を打ってカウンターに出る順を含みにしています。藤井二冠は銀をじっと引いて、次の戦機をうかがいました。

 豊島挑戦者は35手目を長考。そのまま昼食休憩に入ります。

 13時30分、対局再開。昼食休憩の1時間をはさんで、豊島竜王は1時間48分を消費。そして6筋に玉を上がりました。豊島竜王は記録係から棋譜を受け取り、目を通します。時間のペース配分などを確認したのでしょうか。

 藤井王位は深緑色の羽織を脱ぎ、時間をかけて、丁寧にたたみます。左手で扇子を手にして、前傾姿勢。いかにも長考に入りそうな姿勢に見えました。 

 藤井王位はやはり熟慮に沈みます。2日制のタイトル戦で1日目がスローペースなのはしばしばあること。局面はなかなか進みません。

 15時過ぎ。藤井王位の手がようやく動きます。交換した歩を合わせて、再度攻めにいきました。そのタイミングで豊島挑戦者も攻め合いに。激しい変化を含みとして、いよいよ本格的な戦いが始まりました。

 40手目。藤井王位は自陣に筋違い角を据えます。豊島陣の二方をにらんで攻めと受け、両方に利く位置。この角がはたらくかどうかが、藤井王位にとっては大きなポイントです。

 41手目。豊島挑戦者は自陣玉頭の歩を銀取りに突きました。相手の角と銀が利いている個所だけに深い読みの裏付けが必要とされそうなところ。そしてこれがうまい切り返しか。形勢は互角に近いながらも、先手の豊島挑戦者がわずかにペースを握りつつあるようにも見えます。

 将棋の2日制タイトル戦では1日目夕方、「封じ手」をして指し掛けになります。

 17時46分頃、藤井王位は記録係に図面作成を頼みます。次の手を指さず封じ手にする意思を示し、たたんでいた羽織をまた着ました。

 18時を過ぎ、藤井二冠は42手目を封じ手としました。封じ手用紙2通に次の手を記入し、それを入れた封筒を2つ、立会人の広瀬章人八段に預けます。これで1日目の日程が終了しました。

 明日2日目は午前9時、封じ手が開封されて始まります。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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