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迫ってきた4冠統一ヘビー級タイトルマッチ

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:ロイター/アフロ)

 2024年2月17日(土)に組まれた4冠統一ヘビー級タイトルマッチ、WBA/IBF/WBOチャンピオンのオレクサンドル・ウシク(37)vs.WBC同級王者のタイソン・フューリー(35)戦の開始ゴングが、刻一刻と近付いてきた。このビッグマッチも、会場はサウジアラビアとなる。

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 試合が決まった際の記者会見で、WBC王者はウシクを次のように挑発した。

 「お前はソーセージのようだ。醜い、小さな男。まるでウサギだな。走れよウサギ、走れウサギ、走れ走れ走れ。何が起こるか分かっているか? お前は粉々に砕かれるんだよ、ソーセージ。史上最高の英国人ヘビー級王者と戦うんだぜ」

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 フューリーは3冠チャンプを執拗に扱き下ろした。

 「お前は他の奴らを下しはしたが、タイソン・フューリーには勝てていないんだよ、ソーセージ。決して俺に勝つことなど出来ない。もし、夢の中で俺を殴ったなら、目を覚まして謝るべきだ。俺はその面を殴り倒してやるぜ。この醜い小男め」

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 確かに、ついに最重量級主要4団体のベルトが束ねられるが、両選手共に直近の試合では評価を下げている。2023年8月26日、ウシクはダニエル・デュボアに倒されたが、レフェリーはローブローと判定。ウシクに回復の時間を与えた。その後、3冠王者は第9ラウンドでデュボアを止めたが、レフェリーの判断を疑問視する声は多い。

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 タイソン・フューリーも、昨年10月28日に元UFCヘビー級チャンピオンのフランシス・ガヌーとの試合で、第3ラウンドに左フックを喰らってダウンした。この日がボクシングデビューだったガヌーがポイントを奪ったかに見えたが、2-1の判定でフィーリーが辛勝している。

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 1999年3月13日、WBA/WBC/IBF統一ヘビー級タイトルマッチ、イベンダー・ホリフィールドvs.レノックス・ルイスがマディソン・スクエア・ガーデンで催された折、一部のメディアは「モハメド・アリvs.ジョー・フレージャー以来のメガ・ファイト」と記した。

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 しかし、ドローに終わった同ファイトは「アリ、フレージャーとは比較にもならない」と酷評された。私自身も会場で取材していたが、お寒いファイトだった記憶がある。記者席からは「凍えるほど、迫力の無い試合だ」という声が漏れていた。

写真:ロイター/アフロ

 現時点で、ウシクvs.フューリーが過去の統一ヘビー級タイトルマッチを超えると感じているファンはほぼいないだろう。さて、どんな一戦となるだろうか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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