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極秘入院していたイ・ボミ、母が密かに明かしてくれていた本当の体調と今後のこと

金明昱スポーツライター
6試合ぶりのツアー出場を果たしたイ・ボミ(筆者撮影)

 イ・ボミが6月のサントリーレディスに出場してから、約6週間ぶりに姿を見せた。

 昨日、大東建託・いい部屋ネットレディスのプロアマ戦に出場して18ホールを回り「本当に久しぶりにラウンドしましたー!」と笑っていたが、現場に戻って来られた安堵感が漂っていた。

 ただ、一方で緊張感や不安が完全に払しょくされたわけではないかもしれない。長らく試合から離れており、感覚を取り戻すことは容易ではないからだ。

 それにイ・ボミは、休んでいる間、韓国で入院していたことをこう正直に明かしたのだった。

「体調が良くなかったのもあるのですが、急に大腸に炎症がおきてしまったんです。『憩室炎』と診断されて、病院で点滴や抗生物質の治療を行っていました。2週間後には再検査があって、再発防止に努めています」

食事は「野菜中心」

 イ・ボミにとって、このような病気にかかるのは初めてのこと。体調管理に気を付けているとはいえ、もっともストレスになりそうなのが食事だ。

「いまは野菜中心の食事を続けています。特に揚げ物や脂っこいものは控えるように言われていて。お肉もですよね。でもゴルフするのに力が出ないので、そこはとても困っています(笑)」

 いろんなことに気を使いながらの体調管理が続くが、それでも「家族で旅行に行ったり、友達と会ったりして過ごしてとてもリフレッシュできました」と笑っていた。

 オフは体調不良もあったが、しっかりと充電できたのだろう。そうした笑顔が戻ってきたことが一番の収穫かもしれない。久ぶりに会ったイ・ボミはこう切り出してきた。

「そういえばこの前、韓国の水原でお母さんに会ったんですよね? おいしいカルビをごちそうしてくれたでしょ? で、私はなんで会えなかったのかな? あ、ちょうど入院と通院していた時期だったんですよね…」

「ボミは長らく休んでいなかった」

 6月23日の土曜日。私はロシア・ワールドカップ(W杯)の韓国対メキシコ戦が行われた日、韓国国民の盛り上がりを取材するためソウルにいたのだが、少し時間があったので、いつもお世話になっているイ・ボミの母、ファジャさんにあいさつに行くことにしていた。

 ちょうどそのタイミングでイ・ボミが韓国でオフに入っており、体調のことも気がかりでもあった。

 水原のこぎれいなレストランでファジャさんと食事しながら色んな話をした。

「実はボミは入院していたんです。ちょうど退院したころなんだけれど、まだ安静にしていないといけなくて。でもそこまで心配することなくて、すぐに良くなりますよ」と切り出して、驚いた。

「ボミはここまでずっとゴルフばかりの生活が続いていて、休む時間が本当に必要だったんです。ほかの韓国の選手も、長期で休む時期があるのですが、ボミは日本に来てからは長らく、そうした時間を持つことがありませんでした。ゴルフをやってきてこれだけ長く休むことは初めてですが、ボミを見ていると、このまま試合に出続けると余計にダメになるのも分かったので、休ませるようにしたんです。今はもうしっかり充電できたでしょうし、後半戦からは必ず良くなりますよ。優勝できればまた自信もついて変わると思います」

「誰でも休みたいときはある」

 思えばイ・ボミは2011年から日本ツアーに参戦して、賞金女王という目標を達成するまでは、ほとんど休んでいた記憶がない。

 日本で3度、賞金女王になっているアン・ソンジュでさえも、2016年にケガが重なり、6月から約1カ月半、ツアーから離れていたことがある。

 かつてアン・ソンジュに「賞金女王の重圧」について聞いたことがあるが、「体調が悪かったり、ケガをするとずっと同じ状態でいるのは難しいし、誰でも休みたいときはあります。ゆっくり休んで、おいしいもの食べて、帰ってきたいときにまた戻ればいいと思いますよ。私も(ボミの)気持ちはわかります」と話していた。

 久しぶりに更新されたインスタグラムには、前夜祭のワンピース姿の写真がアップされ、ファンもようやく安堵したことだろう。

 2015年、2016年の賞金女王も今季の賞金ランキングは86位。今週から本格的にツアーに復帰を果たしたイ・ボミの巻き返しを期待したい。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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