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ホークス野村大樹、自主トレは松中氏や中村晃も師事したトレーナーに入門

田尻耕太郎スポーツライター
台湾でのウインターリーグも数多くの貴重な経験を積んだ(筆者撮影)

台湾武者修行で得た収穫

 台湾で行われていたアジア・ウインターベースボールリーグは15日までに全日程が終了。ソフトバンク勢の所属するNPB紅は決勝戦までコマを進めたが、最後は日本社会人野球選抜に敗れて準優勝に終わった。

 ソフトバンク勢は16日に帰国。17日にはヤフオクドームを訪れて球団へ報告を行った。また、来季への契約更改を終えていなかった野村大樹内野手と育成の清水陸哉外野手は球団と交渉を行い契約書にサインした。

 1年目のシーズンを終えた野村は初めての契約更改に笑顔を見せた。30万円増の年俸630万円でサインを終えた野村は「上がるとは思っていなかった」と驚いた様子。ただ、その金額もさることながら「初めてだったけど、緊張というか楽しかったです。球団の方といろんな話が出来て」と明るい表情のワケを語った。

 ウインターリーグでは15試合に出場。48打数14安打で打率.292、0本塁打、5打点の成績を残した。

「前半は全く打てなかったけど、後半はバッティングの状態が上がっていった」

 自身の出場8試合目までは20打数4安打の打率.200だった。だが、以降7試合では28打数10安打の打率.357と別人のようによく打った。そこには一つの工夫があった。

「審判のストライクゾーンが日本と違いました。外角が甘くて、内角は厳しい。僕は比較的外角は得意なのでベースから少し離れて立っていたのですが、身長が大きいわけではないので当然腕も届かない。なので、10cmほどですがベースに近づいて立つようにしました。そういう対応の仕方が出来たのがウインターリーグでの一番の収穫です」

トレーナーに密着20日間

 野村は決して器用なタイプではないが、だからこそ一度何かを掴むと実力をすぐに発揮する。今季は三軍で打率3割超をマークするも、二軍では1割台を苦しんだ。それでもシーズンの最終盤だった9月28日のオリックス戦(京セラドーム)で一軍デビューを果たすとプロ初打席で見事に初ヒットをマークした。

「僕の中ですごく自信になった。打席での心構えや相手に向かっていく気持ちが全く変わりました」

 10月のみやざきフェニックスリーグでは打率4割を超えた。精神面の成長が大きかった。加えて、「木製バットのしなる動きを自然と頭の中で理解できるようになった。金属との大きな違いはそこにありました」と振り返った。

 2年目に向けて、「1年目は一軍ベンチに2試合しかいることができなかったし、二軍でも49打席しか立っていません。まずは二軍でしっかり打率3割を打って、一軍にシーズンの半分はいられるようにしたいです」と話す。そして「野球は点を取り合うゲーム。だから打点にこだわりたい」と勝負強さをウリにする。

 短いオフになるが、ゆっくり休むつもりはない。自主トレは「島袋トレーナーのもとで、住み込みでやります。12月もやりますし、1月は20日間くらい」とプランを明かした。島袋裕二トレーナーは、平成唯一の三冠王である松中信彦氏や2度の沢村賞に輝いた斉藤和巳氏、最近では中村晃といったホークスの主力の選手たちが師事をした。

「僕はまだまだ走り込みや体幹の強さが足りない。プロ1年目は探り探りだったので、ウエイトも十分には出来ていなかった。体を強くしたい」

 来年2月の宮崎キャンプインの頃には、プロ2年目の野村大樹が見違えるような姿で現れるかもしれない。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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