新監督は「育成のパイオニア」で有名「牛タン店」の店主。小斉祐輔監督が火の国サラマンダーズを率いる
プロ野球「ヤマエグループ九州アジアリーグ」の火の国サラマンダーズは22日、かつてソフトバンクと楽天で活躍した小斉祐輔新監督が就任することを発表し、同日に熊本市内で会見を行った。
小斉氏は球界のパイオニアとなった人物だ。
大阪府出身の41歳。PL学園高校から東京農業大学生物産業学部(現・東京農業大学北海道オホーツク)を経て、2005年にプロ野球で初めて行われた育成選手ドラフトで福岡ソフトバンクホークスから育成1位指名を受けてプロ入りした。
王監督が期待したスラッガー
左の長距離砲として期待され、プロ1年目の5月23日に同期入団した西山道隆投手(現・ソフトバンク球団スタッフ)と共に支配下昇格。NPB球団と育成選手契約を結んでいた野手として、史上初の支配下登録選手になった。
プロ3年目の2008年5月6日の楽天戦(クリネックス宮城=現・楽天モバイルパーク)でプロ初本塁打をマーク。育成出身第1号のメモリアルアーチでもあった。この年までソフトバンクを率いていた王貞治監督に「松中以来の左の大砲候補」と言わしめ、“平成唯一の三冠王”松中信彦や当時の不動の主軸だった小久保裕紀(現・ソフトバンク監督)とポジションを争いながら3番や5番でスタメン出場した試合もあった。
2011年のシーズン終了後に金銭トレードで東北楽天ゴールデンイーグルスに移籍した。2013年にリーグ優勝、日本一を果たしたシーズンでは日本シリーズ出場はなかったもののアジアシリーズでは全3試合に中軸で出場。2015年限りで引退した。一軍通算成績は165試合出場で打率.209、7本塁打だった。
引退後は修行を経て店を構える
現役引退後は意外な転身を遂げた。
料理人の道へ。牛タンが有名な神戸の名店「たん平」で約3年間の修行を経て、全国で唯一暖簾分けを許可されて福岡・中州で2020年に「博多 牛や たん平」を構えた。「もともと関西遠征の際に『たん平』に行っていて自分が大好きだったのと、牛タンが有名な仙台の楽天で最後プレーしていたのもあって、この道を選びました」。現在も、基本的に1人で店を切り盛りしている。
監督就任に際し「(監督は)お店をやりながらになります。今しかできないと思ったので、頑張ります」と意気込んでいた。
火の国サラマンダーズは今季3位に終わり、リーグ4連覇を目指したものの低迷した。今季は横浜ベイスターズで活躍したロバート・ローズ監督を迎えたが、開幕前に帰国して退団するドタバタ劇があった。荒西祐大監督代行は来季、投手兼ヘッドコーチとなる。そして、23年シーズンまで監督を務めていた馬原孝浩氏がGMとしてチーム復帰することもすでに発表されている。