太陽の力で加速する「ソーラーセイル」JAXAのIKAROSが切り開いた宇宙大航海時代とは
もし宇宙でもヨットに乗っているように優雅に航海ができたら、とても楽しそうな時代が訪れるとは思いませんか?
本記事では、日本が世界で初めて宇宙実証に成功した、太陽の力で永遠に加速できる「ソーラーセイル」をご紹介していきます。
無限エンジン「EMドライブ」原理は不明だが、燃料なしで半永久的に加速し続けられる!?
■光子力を利用して前に進む「ソーラーセイル」
ソーラーセイルとは宇宙でセイルを開き、太陽の力だけで進むことのできる夢の無限エンジンを搭載した宇宙機のことです。最初のアイデアは、17世紀にドイツの天文学者のヨハネス・ケプラーにより提案されたと言われています。
原理は簡単で、まず皆さんも良く知っているヨットは、大きなセイルを開くことで風の力を受け、前へ進むことができますよね。風の方向を調節してあげればエンジンを搭載する必要がなく、非常に効率の良いメカニズムです。その原理を利用して、宇宙では太陽の力を利用します。太陽の力と聞いて「太陽風」を思い付く人がいるかもしれません。太陽風はフレアのようなもので物理的な力を得ることができないんです。その代わり、常に太陽から出ている「光子力」を利用します。これは微弱なんですが、太陽光を受けているものは全て力を受けているんです。ソーラーセイルは大きな帆を広げ、この力を最大限に利用しています。
。ウサギとカメの童話ではありませんが、化学ロケットは最初の推進力は非常に大きいのですが、そのうち燃料が尽きてしまいます。これに対してソーラーセイルは燃料を必要としないので、太陽が輝いているかぎり永遠に加速し続けることができます。
■日本が世界で初めてソーラーセイルの宇宙実証に成功
今まで仮設や理論などが提唱されてきましたが、2010年に遂にJAXAのIKAROSによって宇宙実証されました。IKAROSのセイルは、蛇腹織のような谷折りと山折りを繰り返すような折られ方をしています。折りたたまれたセイルは、中央の円形の人工衛星部分に巻きられます。元々は14m四方のセイルですが、この本体の寸法は約1.6mほどしかありません。
まず、IKAROSは回転しながらセイルの拘束を外し、4つの帯を解放させます。この帯の先端には重りがついていて、イカロスが回転することでこの重りによる遠心力で、徐々にセイルの帯が伸びていきます。最後に、本体で拘束していたセイルの4つの部分を解放することで、セイルは帯状から正方形に展開していきます。ものすごい難しそうな展開方法ですね。
そして、IKAROSはソーラーセイルによる発電、加速、姿勢制御の実証にも成功します。その力は約0.1gという非常に弱い力ですが、燃料を必要とすることなく宇宙で加速することができました。SFや小説の世界の技術を、遂に現実で実証できたのです。
その後、世界でもソーラーセイルを開発する試みが始まることになります。それらの記事はまた次回とさせて頂きます、お楽しみに!
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