米国でAH64アパッチヘリが今月2度目の墜落事故、ミシシッピ州兵2人死亡 陸上自衛隊も12機運用
米国南部ミシシッピ陸軍州兵に所属する攻撃ヘリコプター「AH64アパッチ」が2月23日、同州内で墜落し、搭乗していた州兵2人が死亡した。同州のテイト・リーヴス知事が発表した。
リーヴス知事によると、AH64は23日午後2時ごろ、定期訓練飛行中に同州プレンティス郡ブーンビル近郊の森林地帯で墜落し、乗員2人が犠牲になった。
事故原因については調査中であり、現時点で発表されていない。
●AH64墜落事故は今月2件目
これで米国内でのAH64の墜落事故は今月に入って2件目となった。12日にはユタ州兵所属のAH64Dが州都ソルトレイクシティ近郊で墜落。パイロット2人が残骸から脱出し、地元の病院に搬送されたが、容体は安定しているという。事故原因は分かっていない。
米陸軍では2023年3月29日、ケンタッキー州でHH60ブラックホークヘリコプター2機が空中衝突し、両機の乗組員9人全員が死亡。さらに、同年4月27日にはアラスカ州でも2機のAH64が空中衝突し、3人が死亡、1人が負傷した。これらの事故を受け、米陸軍は翌28日に安全停止を命令し、全ヘリコプターを運航停止にした。
AH64アパッチは1980年代半ばに就役して以来、米陸軍で最も広く使用されている攻撃ヘリの1つ。米陸軍自身が2020年まで行った5年間の安全性調査では、回転翼事故の35%がAH64によるものであることが判明した。AH64は2016年から2020年までに77件の事故を起こし、損害額は3億8450万ドル(約580億円)、死者数は12人に上った。
AH64の場合、被害総額が200万ドル以上や死者が出るような重大事故に当たるクラスAの事故率は10万時間あたり2.12で、クラスA~C全体の事故率は9.39だった。これに対し、米陸軍全体の回転翼機のクラスAの事故率は0.95で、クラスA~Cでは6.97だった。
また、この調査報告書によると、AH64のクラスAの主な事故原因の87%が人為的ミスだと特定された。
米軍準機関紙、星条旗新聞の2023年5月16日付の記事によれば、米陸軍は、少なくとも2040年までAH64部隊の飛行を続ける予定だ。また、ボーイングによれば、現在世界中で約1300機のAH64が飛行しているという。
●陸自も12機運用
令和5(2023)年度防衛白書によると、昨年3月31日時点で日本でも陸上自衛隊が12機のAH64Dを保有している。2018年2月には陸自目達原駐屯地(佐賀県神埼郡吉野ヶ里町)所属のAH64Dが神埼市千代田町の住宅に墜落、乗員2人が死亡し、住民の小学生がけがをする事故が発生した。陸自は翌2019年9月、主回転翼を機体につなぎ止めるボルトの破断が原因だとする調査結果をまとめた。そのボルトの破断原因としては「腐食防止剤の劣化による異常作動」と「搭載前の亀裂」の2つに絞った調査結果を発表し、点検や保管要領を見直すなど再発防止策を盛り込んだ。
(関連記事)
●オスプレイの事故率は本当に低いのか 米軍の最新データで読み解く
●米軍オスプレイに起きた内外の主な事故一覧 今年8月に豪州で演習中に墜落、乗員3人死亡、5人重傷