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【手食ブーム】ダンシングクラブで手を使って食べる意味はあるのか?

東龍グルメジャーナリスト
ダンシングクラブ

手食とは

手食(てしょく)をご存知ですか?

読んで字の通り、手を使って直接食事することを手食と言います。

食事をとる方法、つまり、食事作法は全部で3種類あり、他には、日本でも用いられている箸食(はししょく)、欧米を中心としたナイフやフォークやスプーンを使ったナイフ・フォーク・スプーン食があります。

世界的に主要な手食

では、世界の何パーセントくらいの人が手食を行っていると思いますか。

手食を行っているいる人は世界で40パーセントもいて、箸食やナイフ・フォーク・スプーン食を行っている人はそれぞれ30パーセントなのです。世界的にみてみると、手食は非常に主要な食事作法なのです。

三大食事作法

食事作法に詳しい大阪教育大学のサイトをもとにして、以下の通りまとめました。

手食

機能:まぜる、つかむ、つまむ、運ぶ

地域:東南アジア、中近東、アフリカ

箸食

機能:まぜる、はさむ、運ぶ

地域:日本、台湾、中国、韓国、朝鮮、タイ、ベトナム

ナイフ・フォーク・スプーン食

機能:切る、刺す、すくう、運ぶ

地域:ヨーロッパ諸国、アメリカ、ロシア

手食スタイルのレストラン

手食を行っていない人からすれば、手食は清潔さや文明的な成熟度で劣ると見做されることがあります。しかし、手食は、口だけではなく手でも料理の温度や素材の食感を味わえたり、道具よりも手の方が清浄であると考えられたりするので、一概に他の食事作法に劣っているとは言えません。

また、欧米ではサンドイッチやハンバーガーを手で食べますし、日本ではおにぎりや寿司を手で食べるので、世界中の人が手食を行っていると考えることもできるでしょう。

このように奥が深い手食を用いたレストランが今、話題となっています。

それは、2014年10月10日、新宿にオープンしたダンシングクラブ(Dancing Crab)です。

日本に初上陸

2014年4月にシンガポールで開業したアメリカ南部ルイジアナスタイルのシーフードレストランで、日本に初めて上陸しました。

ダンシングクラブを運営する株式会社ミールワークス広報の神事まゆみ氏は「ダンシングクラブは2014年4月シンガポールにオープンして、瞬く間に話題となった。シンガポールではシーフードレストランが人気で、アメリカ南部の味付けにしたことが差別化となって人気を博した」とシンガポールでの状況を説明します。

アメリカ沿岸部で人気のスタイル

手食に注目したきっかけは何かと問うと「4、5年前から、小島由夫社長がアメリカ沿岸部でシーフードを手で食べるスタイルが流行していることに目を付けていた。シンガポール料理ではなく、タイ料理でも同じスタイルで楽しめるので、様々な構想を練っていた」と答えます。

では、どうしてシンガポール料理になったのかと訊くと「当社が運営しており、チリクラブでご好評いただいているシンガポール・シーフード・リパブリックのグループにダンシングクラブがあった。その縁もあって提携することになり、シンガポール料理となった」と理由を説明します。

日本風にアレンジ

しかし、ただ縁があったからというだけで、ダンシングクラブと提携したわけではありません。神事氏は「アメリカ南部のケイジャン料理だが、シンガポールを経由することでナンプラーやペッパーも使い、アジア人向けにアレンジされていた」と決め手を述べます。

さらには「シンガポールではテーブルにビニールを敷いている。しかし、日本では衛生面を考えて、スープが染みず、肌触りや質感のよい紙を使うようにした」と、より日本に合うように改善したと説明します。

演出についても「シンガポールにはDJがいてパフォーマンスを行っている。しかし、日本では明るくて賑やかな雰囲気の方が好まれる。そのため、20時と22時にダンスを行って盛り上げるようにした」と補足します。

店内中央にはシンク

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「サラダとスープ以外は全て手で召し上がっていただく。そのため、手をすぐ洗えるように、店の中央に大きなシンクを設けた。時速690キロの風速で、僅か12秒で手が乾くダイソンのジェットタオルも完備している。このジェットタオルを完備しているのは、レストランでは当店だけ」と手で食べても快適に過ごせる環境を整えたとします。

手食によるシーフードレストランのメニューをご紹介しましょう。

ルイジアナ ダンシングとシンガポールダンシング

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左のルイジアナ ダンシングはテキーラにライム+レモンの爽快カクテルで、右のシンガポールダンシングはテキーラに、マンゴ+パイナップル+オレンジのフルーティーカクテルです。

コンボバッグ#1

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ソースと和えたシーフードや野菜を袋から取り出し、テーブルの上に置いてくれます。

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本ズワイガニ 400g、エビ 200g、ムール貝 200g、ポテト、コーン、人参、ソーセージというボリュームで、2~3人前もあります。

ソースはシグネチャー・ソース(マイルド or 辛口 or 超辛口)、チリソース、ブールブラン(ホワイトバター)ソースから選択できます。シグネチャーソースはトマトを合わせたケイジャンソースで、甘酸っぱさが癖になります。辛味も心地よいです。

ガーリック ヌードル

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ガーリックが効いたストレートタイプのヌードルです。ソースと合わせると、さらにおいしく食べられます。

ガーリック ソイソース チキン

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手羽先をガーリック風味にしてフライにしています。皮のパリパリ感を五感で味わえる貴重な一品です。

ダンシング シーザーサラダ

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ロメインレタスとチキン、パルメザンチーズをたっぷり使ったサラダです。紙で包んで和えてから供されます。

クラブケーキ

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大きなコロッケのフィリングはカニの身がこれでもかと詰まっています。カニの旨味が凝縮されており、存分に楽しめるでしょう。

ルイジアナ ベニエ

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ルイジアナを代表するスイーツであるベニエです。フランスとは違ってフィリングはなく、その代わりに大きくてダイナミックに。

アップル クランブル

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リンゴの食感を生かしたコンポートは酸味も適度で甘過ぎません。たくさんのクランブルがトッピングされていて、食感も楽しいです。

おいしくて楽しい食のエンターテイメントへ

神事氏は「ダンシングクラブのコンセプトは<おいしくて楽しい食のエンターテイメント>。ミールワークスは『本物であることの価値』を追求することを目指している」と語ります。箸食やナイフ・フォーク・スプーン食を用いている人も、それぞれの道具が発明されるまでは当然のことながら、手を使って食事をしていました。つまり、手食は人にとって食事の原点であり、本来の食事作法なのです。

本物の食のエンターテイメントは、人が持つ全ての感覚である五感で楽しめ、かつ、人の原点でもある手食によって実現できるのかも知れません。

情報

詳しくは公式サイトをご確認ください。

参考

ダンシングクラブについてはレストラン図鑑にも詳しく掲載されていますので、ご参考にどうぞ。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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