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練習をサボらなければ、チャップマンはロースターに入っていたのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
アロルディス・チャップマン(ニューヨーク・ヤンキース)Aug 17, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ニューヨーク・ヤンキースは、10月11日から始まるディビジョン・シリーズで、クリーブランド・ガーディアンズと対戦する。

 ヤンキースのシリーズ・ロースターに、アロルディス・チャップマンは入らない。チャップマンは、10月7日にヤンキー・スタジアムで行われた練習に参加しなかった。MLB.comのブライアン・ホックらによると、それに対する処分として、9日、ブライアン・キャッシュマンGMは、チャップマンをロースターには入れず、罰金を科す、と語ったという。

 チャップマンは、かつてのチャップマンではない。年齢は34歳。今シーズンの防御率は4.46だ。奪三振率10.65は自己ワースト。それまで、奪三振率12.30を下回ったシーズンはなかった。一方、与四球率6.94はキャリアで2番目に高く、2012年以降のワーストだ。

 6月に「チャップマンが復帰する日は近いが、ヤンキースのクローザーには戻れない!?」で書いたとおり、チャップマンは、シーズン途中にクローザーの役割から外された。また、8月下旬にシーズン2度目の故障者リストに入ったのは、左足のふくらはぎに彫ったタトゥーによる感染症が原因だった。

 ブレット・ブーン監督は、すでに3人の先発投手を発表している。第1戦(10月11日)はゲリット・コール、第2戦(10月13日)はネスター・コーテズ、第3戦(10月15日)はルイス・セベリーノだ。けれども、シリーズのロースターは、まだ明らかになっていない。ちなみに、第4戦(10月16日)と第5戦(10月17日)があれば、第4戦は中4日のコール、第5戦は中3日のコーテズがオープナーに近い形で投げるか、最初からリリーバーをつないでいくかのどちらかだと思われる。

 ロースターの構成が野手14人と投手12人なら、ブルペンは9人となる。右投手の5人、クレイ・ホームズスコット・エフロスジョナサン・ローアイシガルー・トリビーノクラーク・シュミットと、左投手の2人、ルーカス・リットキーワンディ・ペラルタは決まりだろう。ちなみに、昨年3月に「過去5年はメジャーリーグ登板なしの34歳左腕が、ヤンキースのブルペンを救う!?」で書いたリットキーは、2シーズン続けて50登板以上&防御率2点台を記録している。

 そうなると、残るは2枠だ。パターンとしては、先発投手が早々に打ち込まれた場合のロング・リリーバーとして、本来は先発投手であるジェイムソン・タイオンドミンゴ・ハーマン――どちらも右投手――の2人を入れるか、タイオンとチャップマン、あるいはハーマンとチャップマンだったのではないだろうか。

 チャップマンは、練習に参加していても、打撃練習で投げた内容次第で、ロースターから外れていたかもしれない。そうなる可能性があるため、練習に姿を見せなかったということも考えられる。

 今後、チャップマンがポストシーズンのロースターに入ることはあり得る。ディビションディビジョン・シリーズの途中で故障者が出れば、ロースターの入れ替えは可能だ。また、ロースターの26人は、シリーズごとに新たに決めることができる。

 ただ、チャップマンがヤンキースのユニフォームを着て投げることは、もうないかもしれない。3年4800万ドルの契約は、今シーズンまでだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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